スーパー糖質制限の落とし穴その1「甲状腺異常からの慢性疲労とコレステロールの急上昇」
https://yuchrszk.blogspot.com/2014/09/blog-post_26.html?m=0
ちょっと前に「糖質は必要な栄養素なのか、それともただの毒なのか? その2」で、スーパー糖質制限を続けると甲状腺に悪影響が出る可能性があるよーって話を軽く書いたところ、「もっとくわしく!」と言われましたので、ちょっと書いてみます。
まず前提として、多くの研究(1,2,3,4)により、超低糖質な食事にはホルモンのバランスを変える作用があることがわかっています。
具体的には、T3(脂肪燃焼ホルモン)やテストステロン(男性ホルモン)の量が減り、ストレスホルモンであるコルチゾールが増えちゃう。簡単にいえば、元気になるホルモンが減る傾向があるわけですね。
このなかで甲状腺が関係するのがT3。甲状腺は新陳代謝に関わる器官でして、この働きが弱くなれば、当然ながらアンチエイジングには悪影響が出まくっちゃう。
糖質制限でT3が少なくなるケース(Low T3 syndrome)に関しては、江部先生も何度かブログに書かれているとおり(5)でして、甲状腺はちゃんと働いてるのに大事なホルモンは減っちゃうという、変わった現象が起きます。
というと「機能が正常なら別に問題無いじゃない!」と思っちゃいそうですが、ホルモンそのものは減ってるわけで、やっぱり甲状腺機能低下に近い症状は出てきちゃいます。具体的には、
- 慢性疲労
- うつ状態
- 脱毛
- 貧血
- むくみ
- 便秘
などなど。スーパー糖質制限でこの症状が出てきたら、炭水化物を増やしてみるのも手かと思います。
さらに、クリス・マスタージョン博士のブログ(6)によりますと、T3ホルモンの減少にはLDLコレステロールを増やす作用もあるんだとか。これはT3にLDLコレステロールの受け入れ口を増やす効果があるからで、つまり、
- T3が増える=LDLコレステロールが細胞に取り込まれやすくなる
- T3が減る=LDLの行き場がなくなり、血中の濃度が増える
って仕組みです。「糖質制限を始めたらコレステロールが上がった!」って方が意外と多いのは、こんな仕組みが働いている可能性があるんですね(考えられる原因はこれだけじゃないですが)。
そんなわけで、やはり極端な低糖質にはイマイチ賛成できず。「結局、炭水化物は1日にどれだけ食べるのがベストなのか?」でご紹介した摂取量をキープするのが安全かなーと思う次第です。
credit: Rob Swatski via FindCC