【結論:たんぱく質は量がすべて】肉でもヴィーガンでも筋肉はつくのか問題、最新研究でだいたい決着がつきました
「筋トレしてるなら肉を食え!」
「いや、ヴィーガンでもプロテインさえ摂れば筋肉はつく!」
みたいな議論が昔からあるわけです。この論争はここ10年ぐらいでますます加熱してまして、「植物派vs動物派」の論争を耳にしたことがある人は多いんじゃないでしょうか。特に、筋トレ民やダイエッターにとって気になるのは「植物性たんぱく質って本当に筋肉に効くの?」って問題っすね。
そんな中で登場したのが、今回ご紹介する9日間の実験(R)であります。対象者に完全に管理された食事を提供しつつ筋トレもさせて、そのうえで筋たんぱく合成(MPS)の量を直接測るという、なかなか手間もコストもかかってる研究なので、精度は割と高いのではないかと思うわけです。
研究に参加したのは20代前半の若者40人で、平均年齢25歳・平均BMIは24ぐらい。いわゆる「健康で筋肉のつきやすい人たち」を対象にしてまして、もとの体重は維持してもらいつつ、たんぱく質の量は体重1kgあたり1.1〜1.2g/日に設定しております。普通の人がちょっと意識してたんぱく質を摂ったら達成できるぐらいのレベルですな。
食事のパターンは以下の4つ。
グループ | 食事の種類 | 食事回数 | たんぱく質配分 |
---|---|---|---|
オムニバランス | 動物性中心(70%が肉・乳) | 1日5回 | 各食で20%ずつ |
オムニアンバランス | 同じく動物性中心 | 1日3回 | 10% / 30% / 60% |
ヴィーガンバランス | 完全植物性 | 1日5回 | 各食で20%ずつ |
ヴィーガンアンバランス | 完全植物性 | 1日3回 | 10% / 30% / 60% |
この期間中、すべての食事は研究側が提供し、さらに週3回の筋トレ(監督つき)も組み込まれていて、かなり徹底的なデザインになってますね。
で、どんな結果が出たのかと言いますと、
- 筋たんぱく合成の量に、どのグループ間でも有意差は出なかった!
ということで、植物でも動物でも、1日3食でも5食でも、筋肉が作られるスピードに違いはなかったわけですな。まあ過去にも「植物性たんぱく質でも筋肉は成長する!」って話は出てるんで、さほど驚きの結論でもないんですが、精度の高い実験であらためて結果が出たのはありがたいですな。
念のため、なぜ過去にはヴィーガンが筋肉的に不利だと言われてきたのかを振り返っておくと、
- 植物性たんぱく質は、必須アミノ酸の量が少ない
- 消化吸収が動物性より悪い
- 特にリジン、メチオニン、ロイシンあたりが不足しやすい
といった理由が挙げられてきたんですよね。たしかに、植物だけからたんぱく質を摂ろうとすると、単品食材ではアミノ酸のバランスが偏りやすいのは事実なんですよ。
ただし、最近の研究では、
- 食材を組み合わせればアミノ酸プロファイルは補える
- 一度に30g以上摂れば筋たんぱく合成は十分に刺激される
- プロテインパウダーの活用で吸収問題も解決可能
といったことが分かってきており、「植物性でもちゃんと工夫すればOK」って方向に傾いてきてるんですな。
これに加えて面白いのが、「たんぱく質は分散して摂った方が筋肉に効く」という“タイミング信仰”も、今回の研究では否定されたところっすね。従来の常識では、
- 一度に摂るたんぱく質は20〜30gが限界
- それ以上摂っても余った分は酸化(燃焼)される
- だからこまめに何回にも分けて食べるべき
と言われてきまして、これも確かに一理ある話ではあるんですが、最近の研究では「ちょっと違うんじゃない?」ってデータがいくつか出てきてるんですよ。
たとえば、2023年の研究(R)では、被験者に25g か 100gのミルクたんぱく質を摂らせたところ、
- 最初の4時間では差はなし
- 4〜12時間後の合成量は、100gの方が40%高かった
という結果が出てまして、「多く摂ると長時間にわたって合成が続く」って可能性が出てきたんですよ。また、たんぱく質の摂取タイミングを変えた(たとえば、8時間の間にすべて食べる vs 一日中に分ける)実験でも、筋肉量の変化には大きな違いは見られなかったという報告もあったりしまして、結局一番大事なのは「一日にどれだけたんぱく質を摂るか」じゃないかと思うわけっすね。たんぱく質の種類(植物か動物か)も、配分(1日3回か5回か)も二の次で、とにかく総量を確保することが最優先で、そこさえ満たせば、どんな食事スタイルでも筋肉はしっかり育つというわけですな。
ということで最後に、これから「筋肉を作るためにたんぱく質を意識したい」という方へのアドバイスをまとめておきましょう。
- 植物性たんぱく質で筋肉を育てたい人は、
- 大豆製品(豆腐・納豆・ソイプロテイン)、全粒穀物、豆類を組み合わせる
- プロテインパウダーはソイ・ピープロテイン・ライスなどを活用
- 1回30g、1日あたり体重×1.6gを目標に(例:60kgなら約96g)
- 動物性の食事をしている人は、
- 肉・魚・卵・乳製品をバランス良く取り入れる
- たんぱく質が多い食材(鶏胸肉、ギリシャヨーグルト、ツナ缶)を常備
- 間食にプロテインバーを使うのもアリ
いずれにせよ、食事回数・タイミングに関しては気にしなくてもいいんで、食べやすい時間帯にまとまった量を摂れば十分ぐらいに考えておくと良いでしょう。どうぞよしなに。