スーパーエイジャーを目指せ!科学が示す「最高の健康寿命」を手に入れる9つの秘訣の話#2「最新の健康指標など」
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「スーパーエイジャーを目指せ!」の続きでーす。エリック・トポル博士の『スーパーエイジャーズ(Super Agers)』って本をもとに、今回も超元気な老人を目指す方法をまとめてみましょうー。
- アルコールに関しては、適度な飲酒でもメリットがないことが研究によって一貫して示されている。長年「心臓に良い」とされてきた赤ワインについても、精査の結果、支持されないことが判明した。
国際がん研究機関は、アルコール飲料を「発がん性物質」と分類しており、口腔がんや食道がんとの強固で確立された関連を指摘している。アイルランドなど一部の国では、アルコールとがんとの直接的な関連について消費者に警告するラベルの義務付けを開始しているほどである。
- ごく少量の飲酒(週に2杯程度)であれば、わずかに心血管系の恩恵がある可能性を示唆する研究もいくつかあるが、その効果は年齢によって異なり、それを超えるとリスクは急速に増加する。研究は一貫して、飲酒量が増えるほど血圧が高くなるという用量反応関係を示している。
- 現在のエビデンスから得られる最も正確な結論は、「少量飲酒は大きな問題ではないかもしれないが、リスクは急速にエスカレートする」ということである。健康寿命を最適化することが目標であれば、アルコールを控える、あるいは完全に断つことは、科学的に裏付けられた確かな戦略だと言える。これは依存症を避けるだけでなく、広範な慢性疾患のリスクを低下させることにもつながる。
- 人間は社会的な生き物なので、対人関係は感情的に重要なだけでなく、身体の健康にも実質的で測定可能な影響を与える。研究によると、孤独や社会的な孤立は、個人的な問題にとどまらず、深刻な公衆衛生上の問題になっている。孤独によって全原因死亡リスクの増加、心血管疾患やがんのリスク上昇などが起きることを示している。
- 科学者たちは、まだ正確な因果関係を解明している途中だが、すでに明らかになっているのは、一人暮らしが長かったり、他者との交流が限られていたりすると、健康トラブルが起きてしまうということである。社会的なつながりが限られていると、劣悪な食事や運動不足と同じくらい、私たちの健康に深く影響を与える可能性がある。
- 孤独の問題がどれほど重要なのかを示すものとして、トポル博士は、AIチャットボットが孤独感の解消に役立つという初期の研究を指摘している。最も重要なのは、強力な社会的つながりを築き、維持することが長期的な健康に不可欠であるという教訓を頭にたたき込むことである。家族や友人と時間を過ごしたり、クラブや趣味のグループに参加したり、地域社会でボランティア活動をしたりと、有意義な人間関係は、健康寿命を高める強力な方法である。
- 個人の健康リスクを理解することは、賢明な予防医療の基礎であり、最新の検査はかつてよりも正確に個人のリスクを指摘できるようになっている。たとえば、トポル博士は、心血管リスクのより正確な予測因子として「アポリポプロテインB(apoB)」を挙げている。apoBはコレステロールを血流に乗せて運ぶタンパク質そのものであり、LDLコレステロール値が正常な人でも、約20%は依然としてapoB値が高く、心血管リスクが著しく過小評価されている可能性があるとしている。
- 理想的には、apoBは標準的な脂質検査の一部になるべきである。当面は、非HDLコレステロール(HDLコレステロールを総コレステロールから差し引いたもの)が有用な代替指標となるが、実際には、直にapoBを測定するほうが、心疾患のリスクを真に理解するための一歩となる。
- ただし、脂質パネルはほんの始まりに過ぎない。近年は、CT冠動脈造影のような画像診断の進歩により、冠動脈内外の炎症を検出できるようになった。4万人以上を対象とした研究から得られたこの知見は、心血管の健康をより詳細に評価する道を開いている。
- さらに最近は最先端のツールも登場しつつあり、新しい血液検査では、わずか1滴の血液から500以上のウイルスへの曝露を検出し、数百もの自己免疫抗体を特定することができる。これらは、従来の検査では提供できない、免疫システムに関するより深い情報を提供してくれる。
- 遺伝子検査も強力な可能性を秘めており、約5万8000人のアイスランド人を対象としたある研究では、参加者の4%が、寿命を短くさせてしまう疾患原因変異(がんや心血管疾患などの状態に関連する変異)を持っていることが判明した。これらの知見は、遺伝子データが人生を変えるような情報を提供し得ることを示している。
- これらの検査は、すべてが広く利用可能であったりするわけではないが、どの評価が自分に適用されるかについて医師と話し合ってみるとよい。
- 心身の健康へのシンプルかつ強力なアプローチとして、「自然の中での時間」がある。公園を散歩したり、ビーチに行ったり、森で過ごしたりと、自然の中に身を置くことは、測定可能なレベルの恩恵をもたらしてくれる。
- 報告されている自然のメリットは多岐にわたり、血圧の低下、睡眠の改善、心血管疾患リスクの低減、認知機能の向上、免疫反応の強化、ストレスレベルの低下(コルチゾール減少で示される)、そしてうつ病症状の軽減などが挙げられる。これらには定量的な裏付けもあり、約2万人の参加者を対象とした大規模な研究では、週に120分以上自然の中で過ごした人々は、有意に健康状態と幸福感が向上した。
- 最後に、トポル博士は「老いを単に耐え忍んだり克服したりするのではなく、『受け入れるべきもの』として捉えるように主張している。老いは緩やかな衰退ではなく、並外れた明晰さ、創造性、つながり、そして成長の時期となり得るため、もし自分がそれを受け入れられるなら、老いは人生をより豊かに生きるための期間になり得る。
- 老いを受け入れるには、「老いはすべてを失うことだ」という文化的な物語に異議を唱えるのがよい。もちろん老いによる変化はあり、それによって困難を感じることもある。しかし、実際には、多くのデータに因ると、人生の老年期が新たな意味の次元を開くことが多い。
事実、多くのスーパーエイジャーは、より深い人間関係、より大きな感情のバランス、自分の価値観について、より視点が深くなった事実を報告している。それにより、若い頃の苦労から解放され、しばしばより大きな「到達感」や、コミュニティとのつながりが深くなったと語ることも多い。
- スーパーエイジングは、年齢を否定したり、それに逆らったりすることではなく、それは「意図、主体性、そして喜びを持って年齢を重ねる」ことだと言える。トポル博士が研究するスーパーエイジャーたちは、決して現実を避けているわけではなく、現実の中に完全に存在し、日常の中に美しさ、ユーモア、そして意味を見出しているのだと言える。