自信があるかどうかなんて生まれつきの問題なんだから、「自信がない…」と悩むだけムダじゃね?という話
「自信」に関するご質問をいただきました。
いつも楽しく読ませていただいています。パレオさんのブログでは、「自信」のメリットを否定する記事が多いですよね?それはそうなのかなと思うのですが、やはり自信がないのは苦しいので、自信のある人にあこがれてしまいます。やはり自信をつける努力はすべきなのかと思うのですが、どう思われますでしょうか?
とのこと。ちょっと考えてみましょう。
自信が高いほうが良いことを示すデータはほぼない
確かに当ブログでは「自信を持てば人生が上手くいく!」みたいな主張をディスることが多いです。たとえば、
あたりが代表的なところ。実際のところ、自信が高いほうが有利なことを示すデータってほとんどないんですよね。
とはいえ自信がないと不安は増すし、自己否定の感情も強くなりがちなんで、そこから避けたいって気持ちもよくわかります。かく言うわたしも、人生で自信があったことは一度もありませんしね(笑)
自信の有無は遺伝で決まるのでジタバタしてもムダ
が、結論から言ってしまうと、「自信をつける努力」はムダに終わる可能性が高いんでオススメしません。というのも、自信があるかないかは遺伝で決まっていて、後から変えるのは超難しいんですよ。
そのあたりを調べてくれたのが、パーソナリティ研究で有名なリチャード・ロビンス博士の論文(1)であります。ウェブで約32万に調査を行って、性格のビッグファイブと自信の関係を調べたんですね。
ビッグファイブとは、現時点でもっとも信頼度が高い性格分類のこと。くわしくは「5分で自分の正しい性格を把握する『簡易版ビッグファイブテスト』」をご参照ください。
その結果、自信とビッグファイブの相関は、
- 開放性 0.17
- 誠実性 0.24
- 外向性 0.38
- 調和性 0.13
- 神経症傾向 0.50
みたいな感じ。この数字からわかることは、
- 自信の高さは生まれつきの性格と明確に関連がある
- 生まれつき外向的で感情が安定している人ほど自信は高い(特に感情の安定が大事)
- 知性や他人との協調性は自信の高さと関係がない
といったところです。以前にも書いたとおり、ヒトの外向性と神経症傾向の54〜58%は遺伝が影響してますし、特にアラフォーの性格は変えられない可能性が高いですからねぇ。自信をつけようとジタバタしても無意味かと思われます。
そもそも自信のなさは悪いことではない
そんなわけで、自信をつけようと努力するのは時間のムダ。一時的に気分は良くなるかもしれませんが、やがて遺伝の力で元にもどっていくんじゃないかと。
というか、そもそも「自信がない」のは悪いことではなくて、心理学的には「未来の危険に対して準備をしたほうがいいですよー」と教えてくれるシグナルとして機能しております。要は道路標識みたいなもんで、進みたい方向に対して「右折禁止」や「通行止め」といった指示を出してくれてるわけですね。
当然ながら、道路標識はサインを伝えるための装置でしかなく、本質的に良いも悪いもございません。我々は標識の指示に淡々と従いつつ、ちゃんと目的地に向かう道を進めばよいだけであります。
個人的には、自信のなさに悩むよりも「セルフコンパッション」に気を配ったほうがいいのではないかと思う次第。遺伝には逆らわず、できるとこから手をつけていただければと考えております。それでは、どうぞよしなに。