今週の小ネタ:メンタルの安定はアレで決まる、眠れない人に特有の栄養素、記憶力アップに効く運動量
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
メンタルの安定は感情を説明できるかどうかで決まる
まずは「メンタルの低下を防ぐための方法」について調べた論文(R)から。これはエモリー大学などの調査で、193人の若者に対して、
- 1日4回ずつ、その時に自分がどんな感情を抱いていたかを記録してくださいねー
- この作業を1週間ほど続けてくださいねー
みたいな指示をしたんですよ。その上で18ヶ月後にメンタルの状態を再チェックしたところ、
- 自分の感情をハッキリと言葉にできる人ほどメンタルが落ち込まない!
だったそうで、「超ストレス解消法」にも書いた内容と似た結論になっております。研究者いわく、
「私は苦悩している」「イライラしている」「恥を感じている」など、より細かな言葉で感情を表現した若者は、たんに「気分が悪い」とだけ表現した若者よりも、ストレスを受けた後で鬱の症状が出にくい傾向があった。
人間の感情には、大量の情報がふくまれている。当人のモチベーション、覚醒のレベル、感情価、状況の解釈レベルなどだ。
私たちは、これらの情報を正確に理解する必要がある。「これは怒りか?」「イライラか?」「それとも別の感情か?」といった具合だ。
とのこと。せっかく感情がいろんな情報を伝えてくれてるんだから、もっと解読のスキルを磨いた方が幸せになれるぜ!ってことですね。
ちなみに、「そんな細かい分析は苦手だなぁ……」とか思った方でも、とりあえず激しい感情の動きを感じたら「いま自分は本当はどう感じている?」と自問してみるだけでも効果はあるそうです。お試しあれー。
眠れない人に不足してることが多い栄養はこれだ!
続いては米国国民健康栄養調査っていう大規模なデータを使った研究(R)で、
- 1日の睡眠が7時間以下の人
- 入眠のトラブルを抱えた人
- 睡眠の質が低い人
などを対象にしております。そのうち短眠に悩む33%の人たちを深掘りしたところ、以下の栄養素が妙に足りない傾向があったそうな。
- マグネシウム
- ビタミンB1
- ビタミンD
- カルシウム
- 食物繊維
ってことで、いずれも脳機能や炎症の抑制には欠かせないものばかりですねー。さらに、短眠だけでなく不眠や入眠トラブルまでふくめた場合は、
- マグネシウム
- ビタミンB1
- ビタミンD
の3つが強く関連してたそうな。さらに「睡眠の質」に的を絞った場合は、
- ビタミンK
- リン
との相関が見られたとのことで、研究チームは「眠れない時は栄養改善するといいよ!」と主張しておられます。このなかだと、特にマグネシウムはメラトニンの産生にも必要なんで、切らしたくないですねぇ。
記憶力アップに効く運動量とは?
最後はまだマウス実験(R)の段階なんですが、「記憶力が上がる運動量とは?」って問題をチェックしてくれれていい感じでした。
具体的にはマウスを何度か運動させて、脳の海馬にどんな変化が出るかを調べたんですよ。ご存じのとおり、海馬ってのは短期記憶をつかさどる超大事なエリアであります。
そこでどんな結果が出たのかと言いますと、
- 軽い運動でもMtss1L遺伝子が活性化する!
- 結果、海馬のニューロンが成長する!
って感じだったんですよ。いままでも運動で頭が良くなるってデータは大量にあったものの、今回見つかったメカニズムは割と新しいものでして、ちょっとおもしろいんですよ。
で、この実験でマウスの脳が改善した運動量をヒトに当てはめると、
- 4000歩でOK!
みたいなるそうです。まぁこの知見をそのまま人間に適応できるかはわからんのですけど、4000歩なら普通にクリアできるレベルなんで、身体活動量アップのモチベーションにお使いください。