このブログを検索




子供のアレルギー対策に食事の改善はどこまで効くのか?という最新アップデート

 

乳幼児の悩みといえばアレルギーでしょう。私も生まれつきゴリゴリのアレルギー体質なので、幼少期は全身に湿疹が出たり、異様に肌が乾燥したり、かゆみで死にそうになったり、すぐ喉が腫れて痛くなったりとか、いろいろ苦労したもんです(かたっぱしからライフスタイルを改善したら何とかなりましたが、いまも気をぬくと鼻詰まりが爆発する)。

 

 

で、近ごろ米国小児科学会が、「世間でよく言われる乳幼児のアレルギーに関する食事法ってどこまで正しいの?」ってレポートを2008年以来ひさしぶりにアップデート(R)してくれまして、なかなか参考になりました。

 

乳幼児のアレルギー対策ってのは、「低分子のミルクなら安全!」とか「母乳しかダメだ!」みたいに極端な意見が広まりやすい世界ですんで、そこらへんを確かめてくれたのはありがたいですねー。

 

 

その要旨は、以下のようになっております。

 

  • 母親の食事について:一部には、妊娠期や授乳期に特定の食事を制限すると良いといった意見もあるが、現時点で指示されるエビデンスはない。

 

  • 乳幼児期の栄養について
    • アトピー全体に関しては、「母乳だけで育てた方が良い」「母乳以外のドリンクや固形物がアトピーを起こす」といった見解にはエビデンスがない

    • ただし、湿疹の症状については生後3〜4ヶ月までは母乳で育てた方が2歳児の段階での発症率は下がる

    • 呼吸のトラブル(呼気性喘鳴)については、生後3〜4ヶ月を超えて母乳で育てた方が2歳児の段階での発症率は下がる

    • 喘息の症状については、母乳による育児の期間が長い方が発症率は低下するとのエビデンスがある

    • フードアレルギーについては、母乳が発症リスクを低下させるというエビデンスはない

 

  • ペプチドミルクについて:ペプチドミルクは、牛乳のタンパク質を加水分解したもの。分子が小さくなるせいでアレルギー症状が起こりにくくなると言われるが、現時点ではこの見解を指示するエビデンスはない

 

  • アレルギー誘発性食品の導入時期について
    • ピーナッツ、魚、卵などのアレルギー誘発性食品の導入時期を生後4〜6ヶ月まで遅らせても、アトピーリスクが低下するとのエビデンスはない

    • ただし、安全に加工したピーナッツ(ピューレにしたピーナッツをフルーツのスムージーに入れるとか)の場合は、生後4〜6ヶ月に導入すると、将来のピーナッツアレルギーの発症リスクを減らせるとのエビデンスがある

    • 卵の導入時期によって卵アレルギーの発症リスクが変わるというエビデンスはない

 

  • その他の栄養について:食物繊維、ビタミンD、不飽和脂肪酸などがアトピーの予防になるかどうかは、満足なエビデンスがない

 

ってことで、全体的には母乳はリスクを下げそうだけど、まぁそこまで確かな話でもないなーぐらいの感じですかね。まだわかってないとこがありすぎて、ハッキリした所見を示すのは難しいかなぁ、という。

 

 

また、今回のガイドラインはあくまで食事法についてだけなんで、専門の治療法についてはまた別のデータが必要になりましょう。結局、クリーンな食事を心がけるぐらいしかあんまやることはない感じすかねぇ。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM