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ボランティア活動をすると心身にメリットがありまくるかもよ?という観察研究の話

 

 

近ごろは「ボランティア活動は体にいい!」なんて話をよく見かけるようになったわけです。どうやら他人のために働くことでストレスなどが改善し、健康状態がよくなるっぽいんですよ。

 

 

でもって、ハーバード大学から新しく出たデータ(R)は、「ボランティア活動にはどんな良いことがあるのか?」ってとこを調べてくれていておもしろかったです。

 

 

これはアメリカに住む平均年齢66歳の男女12,988人を対象にした研究で、HRS(R)っていう有名な健康調査からランダムに選ばれております。調査期間は2010年から2016年までの4年間で、2つのグループに分けて追跡したとのこと。

 

 

そこで、まず大きな結論をまとめてみると、

 

  • 年間100時間ぐらい(週に2時間程度)のボランティアをした高齢者(50歳以上)は、メンタルと身体がどちらも健康な傾向があった

 

だそうです。あくまで観察研究なんでハッキリとは言えないものの、やはりボランティアは心身に良いのでは?と思わせる結果になってますね。

 

 

さらに、具体的に「週に約2時間のボランティア活動」でどんなメリットが見受けられたかと言いますと、

 

  1. 早期死亡リスクが下がる
  2. 身体機能の衰えが少なくなる
  3. 身体活動の量が増える
  4. 他者との関係性などの改善
  5. 友人と付き合う回数が増える
  6. 孤独感が減る
  7. 楽観主義が増える
  8. 人生の目的意識が強くなる
  9. 絶望感が少なくなる
  10. 抑うつ症状が減る 

 

みたいになってます。こうして見ると、「もっとボランティアをするか!」って気分になりますねぇ。

 

 

 

ただし、この研究では「ボランティア活動は万能じゃないよ!」って傾向も出てまして、

 

  • ボランティア活動をたくさんする人でも、関節炎、癌、心疾患、慢性痛、認知機能の低下、糖尿病、高血圧、肺の病気、肥満、脳卒中などの改善とは相関していなかった

 

だったそうです。全体的にみれば心身にメリットはありそうなんだけど、慢性病に影響をおよぼすレベルではないのかな……?といったところでしょうか。

 

 

で、研究チームいわく、

 

高齢者が持つ多彩な経験とスキルは、ボランティア活動を通じて社会に大きな利益を与えることができる。さらに研究が進めば、健康と社会の利益を向上させる方法としてボランティア活動を推奨する可能性もあるかもしれない。

 

とのことです。

 

 

もっとも、新型コロナがはびこる現在では「高齢者は対面でボランティアをしよう!」などと推奨するわけにもいかないのは当然の話。さらに言えば、今後の追試では「やっぱボランティアには心身へのメリットがなかった!」なんて結果が出ちゃう可能性もあるんですが、そうであっても間違いなく社会的な貢献にはつながりますからね。新型コロナが落ち着いたら、社会の役に立ちそうな活動への参加を考えてみるとよさげです。

 

 

ちなみに、「GIVE&TAKE」で有名なアダム・グラント博士は、「ボランティア活動は年に100時間を超えると幸福度が逆に下がるかも?」って説を提唱してますので、こちらも合わせてご参照ください。確かに情けは人のためならずなんだけども、あまりにやり過ぎると逆にストレスが増えちゃう可能性もあるみたいなんで。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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