早死にのリスクを高める原因をランキングにしたらこうなったぞ!という観察研究の話
「早死にのリスクを高める原因ランキングはこれだ!」みたいなデータ(R)が出ておりました。
これはブリティッシュ・コロンビア大学の研究で、1992年から2008年の間にアメリカの男女13,611人から集めた健康データを使って、そこから2008年から2014年の間に死亡した人のデータをピックアップ。早死にした人たちには、どのような原因があったのかを調べたんたんだそうな。
ただし、ここで研究チームが調べた「原因」には遺伝とか体型などの生物学的な要素はふくまれてなくて、喫煙や運動のようなライフスタイルの問題や、貧しさや差別のような社会的な問題、怒りっぽさやネガティブ思考などの性格的な問題などを扱ってます。「遺伝の問題」と言われちゃうと自分ではどうにもできない気分になっちゃいますが、ここでは、ある程度まで自分でどうにかできそうな問題をあつかって
参加者の年齢は50歳から104歳までで、平均は69.3。アメリカ生まれの人が9割を締めてるんで、日本人にどこまで当てはまるかは判断しづらいですが、わりと納得の結果が出ております。具体的に、どんな要因が死亡リスクと関係していたかというと、こんな感じです(末尾の数字はハザード比)。
- 現在の喫煙者 1.91
- 離婚歴 1.45
- アルコール依存症 1.36
- 最近の経済的困難 1.32
- 失業歴 1.32
- 喫煙歴 1.32
- 人生の満足度が低い 1.31
- 結婚したことがない 1.30
- フードスタンプの履歴 1.28
- ネガティブな感情の多さ 1.23
- 家族とのネガティブな交流 1.23
- 子どもとのネガティブな交流 1.22
- 日常的な差別 1.22
- 不安の感じやすさ 1.21
- 子どもとのポジティブな相互作用の低下 1.21
- 子ども時代の心理社会的逆境 1.20
- 怒りを外に出す 1.18
- 差別の体験 1.17
- 友人との否定的な相互作用 1.17
- シニカルな敵意 1.16
- 悲観主義 1.16
- 活発な活動が少ない 1.15
- 食糧の不安に悩んだ経験 1.14
- 絶望感 1.14
- ポジティブな感情の低下 1.14
- 楽観主義の低下 1.13
- 職業的地位の低下 1.13
- 裕福度の低下 1.13
- メディケイドの利用歴 1.13
- 近隣の安全性の低下 1.13
- 内に隠した怒り 1.13
- 孤独感 1.12
- 近隣の結束力の低下 1.12
- 中程度の身体活動が少ない 1.12
- 生活目的の低下 1.12
- 近所づきあいの乱れ 1.11
- 睡眠の問題 1.11
- 家族との積極的な交流の低下 1.11
- 誠実性の低下 1.10
- 障害に対する認識 1.09
- 神経症の低下 1.09
- 外向性の低下 1.09
- 収入の低さ 1.07
- 低学歴 1.07
- 幼少期に家族が経済的な援助を受けていた 1.07
- 達成感の低さ 1.06
- 父親の職業的地位の低さ 1.06
- 賃貸の履歴 1.04
- 幼少期の転居 1.03
- 経験に対する開放性の低さ 1.02
- 宗教性の低さ 1.00
- 父親の低学歴 0.98
- 父親は幼少期に無職 0.97
- 友人との積極的な交流度が低い 0.96
- 協調性の低さ 0.94
- 成人期の心理社会的逆境 0.93
- 母親の低学歴 0.86
ってことで、タバコがダントツにトップなのは驚くことじゃないですけど、ネガティブな感情や失業のインパクトの強さが思いのほかすごいですね。全体的に見るとネガティブな感情の悪影響が上で、運動や睡眠の問題より大きく出てるのが意外でした。
ちなみに、ネガティブな感情が早死にを起こす理由としては、毎度おなじみなコルチゾール(ストレスホルモン)のせいで慢性炎症が起きちゃうのに加えて、「アドレナリンが増えるせいで血圧の上昇が起きるのも大きいんじゃないの?」と推測されておりました。いずれにせよ、上位にランクした原因に心当たりがある方は、気をつけておいたほうがよさそうっすねー。