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砂糖を食べると食欲が増えて食べすぎる!はどこまで本当なのか問題

 

砂糖を食べると食欲が増す!」という説があるわけです。砂糖の甘味には食欲をブーストさせる働きがあるので、「もっと食べたい!」って気を起こしやすくするのではないか、と。

 

 

実際、一部の国では「カロリー摂取量を減らすために朝は低糖質な食事を食べよう!」と推奨してるとこもありまして、そこそこ広まってる考え方じゃないかと。「甘いものは別腹」なんて言葉もありますし、なんとなく説得力が感じられるわけです。

 

 

では、実際のところはどうなのか?ということで、「砂糖で摂取カロリーは増えるのか?」を調べたデータ(R)が出ておりました。

 

これはアバディーン大学の研究で、33歳前後で健康な29人の男女(そのうち76%は女性)に2パターンの食事を指示したんだそうな。

 

  1. 32gの砂糖を添加した朝食
  2. 8gの砂糖しか入ってないおかゆ

 

実験はクロスオーバー形式で、全員が上記の食事の両方を3週間ずつ変わりばんこに食べたとのこと。もちろん、2つの食事はカロリーが等しくなるよう調整されております。

 

 

ここで調査した項目は、

 

  • 空腹感
  • エネルギー摂取量
  • 代謝マーカー

 

などで、計6週間にわたって毎日のカロリー摂取をモニターしたらしい。

 

 

では、以下に結果です。

 

  • 参加者の1日あたりの糖質摂取量は、砂糖を加えた朝食を食べた時は287g、砂糖を加えない朝食を食べた時は256gだった(P = 0.009)
  • 砂糖が多い朝食を食べた場合のカロリー摂取量は1日あたり9,908kJ、砂糖を加えない朝食を食べた時は1日あたり9,393kJだった
  • どっちの朝食を取った場合でも、参加者の体重、安静時代謝率、満腹感、身体活動エネルギー消費量、総コレステロール、 空腹時血糖 には違いがなかった

 

とのことで、砂糖をたくさん食べようが食べまいが食欲がブーストすることはなく、1日の摂取カロリーも増えなかったらしい。

 

 

研究チームいわく、

 

砂糖の多い朝食は、特に甘いものへの欲求をかき立てることはなかったし、同時にその後のカロリー摂取を減らすわけでもなかった。

 

朝食で砂糖をたくさん食べても、食欲のコントロール能力に影響を与えることはないようだ。

 

とのこと。とりあえずこの実験では、砂糖による悪影響はみられなかったわけですね。

 

 

ただ、個人的に「どうかなー」と思う点もありまして、

 

  • なんだかんだで、砂糖が多い朝食の方が1日あたり225 kcalの違いが出てる(ただし、明確に「違いがある!」と言うには参加者の数が少なすぎる)
  • 食品の記録が不正確な感じがするので、カロリー摂取量の推定にエラーがある可能性もそこそこ高い

 

といったあたりは、まぁ「この研究じゃ決定打とは言えんよなー」って感じっすね。

 

 

ただ、もうひとつ研究チームの言葉を引くと、

 

一般的な健康ガイドラインでは、1日の砂糖の摂取量をできるだけ減らすように指示している。そのためには、朝食にふくまれる砂糖を減らすのがいいのかもしれない。

 

とも言っておられます。要するに、どうせ1日に食べる量が変わらないなら、朝食から砂糖を減らしちゃったほうが空腹に苦しまなくていいし楽なんじゃない?ってことですね。

 

 

まぁこのブログをお読みの方で、そこまでガツガツ砂糖を食べてる人は少ないのかもですけど、とりあえずご参考までに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。