紫外線は怖い!しかし、日光不足も怖いぞ!という本を読んだ話
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『日の光を擁護する(In Defense of Sunlight)』って本が出ておりました。著者のローワン・ジェイコブセンさんは、光と人体の関係にくわしいサイエンスライターらしい。
で、本書はタイトルどおり「日光を避けすぎるのも問題じゃない?」ってテーマを扱っております。もちろん、紫外線の浴びすぎが皮膚がんや白内障などのリスクを上げるのは間違いなく、紫外線は肌老化の原因にもなるわけですが、だからといって日光を完全に悪者にしちゃダメなんじゃない?と主張してるわけですな。とかく日光を避けがちな現代では、まさに時宜にかなった一冊でありましょう。
というわけで、今回も本書から勉強になったところをチェックしてみましょうー。
- 日光と健康についての研究では、昔から少し奇妙な結果が出ている。日光を多く浴びる人ほど、皮膚がんのリスクが上がるのは当然で、紫外線はDNAを傷つけ、皮膚の老化やがんにつながる可能性がある。そのため、日焼けが危険なのは間違いない。
一方で最近の調査では、日光を多く浴びる人は、心血管疾患、糖尿病、認知症、一部のがんなどのリスクが低い傾向がある、という報告も増えてきた。ただし、これらの調査は観察研究なので、「日光で健康になれる」とは言えず、たんに日光を浴びる人は屋外で運動する人なのかもしれないし、散歩やスポーツをする習慣があるかもしれないし。
とはいえ、現時点では、日光にまったく意味がないとも言い切れない。少なくとも、日光を浴びることは、私たちが昼間であることを体に知らせる強い合図になってくれるからである。朝から昼にかけて明るい光を浴び、夜に暗くなるというリズムは、睡眠と覚醒のサイクルを整えるために欠かせない。日光はただ景色を明るくしているだけではなく、体に「いまは活動する時間だぞ」と伝える信号でもある。
- 周知のとおり、太陽光には、紫外線、可視光線、赤外線など、さまざまな波長の光が含まれている。そして、それぞれの光は、人体に違った影響を与えている。
紫外線は、皮膚でビタミンDの合成を始めるきっかけになる一方で、浴びすぎれば皮膚や目にダメージを与える。青色の光は覚醒や注意に関わり、夜に強く浴びすぎると睡眠を乱しやすい。
さらに、紫外線が皮膚に当たることで、一酸化窒素が血管を広げ、血圧に影響する可能性も研究されている。もっとも、この作用が現実の病気予防にどこまで役立つかは、まだわかっていない。
要するに、太陽光とは、体内時計、ホルモン、皮膚、血管、脳の覚醒などに関わっている。しかし、現代人はその刺激を受ける時間をかなり減らしており、これが問題になりうる。
- 現代人は、ほとんどの時間を屋内で過ごす。家や電車、オフィスなど、主観では外に出ているつもりでも、私たちが屋根のある空間にいる時間はかなり長い。その結果、体が「朝が来た」「昼になった」と十分に認識できず、夜になっても覚醒が落ちにくい、ということが起きやすくなる。日中は暗い室内で過ごし、夜はスマホやLEDの強い光を浴びるという生活は、体内時計からすると、かなり奇妙な環境だと言える。
もちろん、だからといって日光浴をせよという話ではなく、「日中に少し外へ出る」ことを意識するだけでいい。たとえば、朝に少し散歩する、昼食後に外を歩く、ベランダで数分ぼーっとする、通勤の一部を徒歩にする、などである。生活のなかで自然に外へ出る回数を増やすほうが、たぶん現実的である。
- では、どれぐらい日光を浴びればいいのか。これは、かなり答えにくい問題で、肌の色、年齢、住んでいる地域などで、必要な光とリスクは大きく変わる。肌が白くてすぐ赤くなる人と、日焼けしにくい人では、紫外線への反応がまったく異なるからである。そのため、「毎日何分、直射日光を浴びれば健康になる」といった万能ルールはない。
ただし、ひとつ確実に言えるのは、「日焼けするまで浴びる必要はない」ということである。少量の紫外線はビタミンDの合成に必要である一方、過剰な曝露は皮膚、目、免疫系に悪影響を与える。肌が赤くなったり、ヒリヒリしたりするまで太陽光を浴びるのは、普通にダメージになってしまう。特に夏場は、紫外線指数を見ながら、帽子、衣服、日陰、日焼け止めなどを使うのが基本になる。
- そのため、大事なのは「日光を浴びるべきだ!」と焦るよりも、外に出る生活を取り戻したほうがいい、という点である。日光には、ビタミンD、体内時計、気分、血圧などに良い影響があるが、屋外に出るメリットは、それだけではない。歩いて遠くを見たり、気温の変化を受けたり、季節の変化に気づいたり、といった要素は、人工照明の下でデスクに座っているだけでは得にくい。現代の健康法は、「何を摂るか」「何分運動するか」「どの数値を改善するか」が強調されがちだが、外に出て自然光のなかで少し歩くことは、その複数をまとめて改善する可能性がある。
- 日光と健康の関係には、まだ分からない部分が多い。しかし、どちらかと言えば紫外線による皮膚がんや光老化のリスクは、はっきり存在しているのが現状である。それでも、「紫外線が怖いから、日中もずっと屋内にいる」という極端な方向に向かうのも悪手である。
そのため、肌を焼くことは目標にせず、朝か昼に少し外へ出る。日焼けしそうなら日陰や帽子を使う。これぐらいの付き合い方が、いちばん現実的だと思われる。
ということで、今回は『日の光を擁護する(In Defense of Sunlight)』って本のお話でした。日光は過剰に浴びれば害になるが、避ければ避けるほど健康になるとも限らないってのは、昔から言われてることではありますけど、そこをしっっかりまとめてくれてていいっすね。まー、個人的には、光老化のほうがやはり嫌なんで、本書を読んでも「よし!日の光をもっと浴びるぞ!」って気にはなりませんでしたが、ほどほどに付き合っていくぞって気持ちにはなりましたねー。


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