運動が癌の予防に良いのは当たり前ですが、具体的にどれぐらい動けばいいのか?という観察研究のお話
ご存じのとおり、日本は「がん大国」などと呼ばれてるわけです。なんせアメリカなどでは癌の発症率が減っているのに、日本はなぜか新規患者数が増えてるんですよね(タバコ規制とか検診数の問題と考えられてますが)。
ってことで、日本人としてはやはり十分に注意しときたいわけですが、新たなデータ(R)では「癌になりたくなければ運動だ!とにかく運動なのだ!」って結論になってて参考になります。
これはテキサス大学癌センターのチームが行った研究で、REGARDSっていう有名な健康調査に参加した45歳以上の男女8,002人が対象。このデータセットは米国国立衛生研究所(NIH)がスポンサーで行われた大規模な研究で、2003年から2007年の間に30,239人のアメリカ人を調べております(人種はかなり多岐にわたる)。
具体的にどんなポイントをチェックしてるかというと、
- みんなに加速度計をつけてもらって、どれぐらい体を動かしているかを調べる
- その後で追跡調査を行って、癌で死んだ方々の運動量がどうだったかを比べる
みたいになってます。ここで調べた「活動量」ってのは、「どれぐらい座ってるか?」「ウォーキングぐらいの軽い運動をどれぐらいやってるか?」「ランニングぐらい負荷がキツい運動をどれぐらいやってるか?」といった3つの観点で分類したんだそうな。
さて、その結果、研究の間に268人の参加者が癌でお亡なくなりになりまして、だいたいこんな結果になりました。
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活動量がもっとも多いグループと比べて、ほとんど座りっぱなしだった人の癌死亡リスクは82%も高かった
- 1日の座ってる時間を30分ほどちょいキツめの運動に置き換えると、癌の死亡リスクは31%減る
だったそうです。前から「座りすぎは不健康の素だ!」という意見は多かったものの、もしかしたら癌の死亡リスクにも関わってるんじゃないか、と。
ちなみに、ここでいう「ちょいキツめの運動」ってのは俗にいう「中高強度身体活動(MVPA)」のことでして、早歩きからランニングぐらいの負荷の運動とお考えください。「1日30分の早歩き!」と考えれば、そこまで厳しいクリア条件でもないんじゃないかと。
この結果について研究チームいわく、
これは、活動不足とがん死亡との強い関連をハッキリと示した最初の研究である 。今回の知見は、私たちがいつもの生活でどれぐらいの時間を座って過ごしたかどうかが、がんで死ぬまでの時間を予測することを示している。
特筆すべきは、癌の死亡リスクを下げるためには、そこまでの運動マニアである必要はないということだ。どのような強度であっても、ほんの少量であっても、運動には癌の死亡リスクを下げる効果があると考えられる。
とのこと。もちろん今回のデータは観察研究なので、必ずしも「運動で癌が予防できる!」と証明されたわけじゃないものの(日本人が対象のテストでもないですしね)、まぁ「ほんのちょっとの活動でも癌には結構な効果がありそう」って結論は希望があっていいですね。
というわけで、研究チームのオススメをまとめると、
- いつもは座って作業をしている時間を、1日10〜30分の軽い運動(ウォーキングとか)または中〜高強度の運動(ジョギングとかエアロバイクとか)に置き換える
- とにかく「座る時間を減らしてより動くのが大事!」ってのを意識しておく
ぐらいに考えておくといいかもしれません。どうぞよしなにー。