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本の内容を覚えられない!を解決する超手軽な方法とは?

 
 

こんなご質問をいただきました。

 

パレオチャンネル質疑応答放送を見ていると、鈴木さんは細かいことをよく覚えているように思います。本の内容などはどうやって覚えているのですか? こつがあれば教えて下さい。

 

ということで、記憶についてですけど、確かに質疑応答放送ではいろいろとお答えしてるので、めちゃくちゃ物覚えが良いように見えるのかもしれません。

 

 

が、これについてはいくつかポイントがありまして、

 

  1. よほど細かい質問でなければ、同じ答えを使いまわせる:人間の悩みは共通するところが多いので、意外と少ない武器でもどうにかなったりします。たとえばメンタルの悩みとかは、認知行動療法を持ち出せば、何らかのアドバイスができることが多かったりしますね。


  2. そもそも覚えてることしか言ってない:当たり前ですが、口に出してるのは頭の中に残ってることだけでして、その裏では「あれ?もうひとつ大事なポイントがあったような気がするけど、出てこないなー」と考えてるケースはしょっちゅうです。つまり、実際には覚えてないことがめちゃくちゃあるんだけど、第三者から見ると「物覚えがよい!」と思われるケースが多いってことですね。


  3. 大抵の本や論文は似たようなことを言っている:わたくし日常的に大量の文献を読んでますが、世の中にそんな新しいことはないので、だいたいは似たようなことを言ってたりします。なので、いろんなものを読むほど重要なポイントを何度も復習することになりまして、それで少しずつ頭に入っていくってのはありますね。

 

ってあたりが大きいんだろうと愚考しております。その昔は、記憶の宮殿とかを使って「細かい相関係数とかも覚えたるで!」みたいに意気込んでた時代もありましたけど、よほど重要な情報だと思わない限りはやめてしまいました(めんどうなので)。

 

 

というわけで、私がものごとを覚えるために意識的にやってることってあまりないんですけど、唯一こころがけていることがあるんで、簡単にご紹介しておきます。それがどういう内容かと言いますと、

 

  • なんらかの新しい情報を取り入れたら、その後で10~15分ぐらいひたすら何もしない時間を作る

 

って感じです。本を読んでて「あ!これは初めて知った!」と思ったら、その章(または段落)を読み終わったあとでいったん本を閉じて、ひたすらボーッと時間を過ごすわけっすね。

 

 

なんだか無駄な時間を過ごしてるようですけど、私の実体験では、「新しい知識を記憶するぞ!」とかがんばるよりも、上記のやり方をしたほうが明らかに効果がデカかったもんですから。

 

 

といっても、これは別に目新しい話ではなくて、もともとは1900年から言われてきた定番の考え方ではあります。たとえば、ドイツの心理学者チームが行った実験では、休憩を取らずに記憶をさせるよりも、6分間の休憩をとった後で記憶したほうが、学習した内容の50%近くを記憶していたというんですよ(休憩しなかったグループは平均28%)(R)。

 

 

でもって、この現象は後の時代にも再現(R,R)されてまして、いずれの実験においても「なんもせずにボーッとする時間」を作った健康な被験者は、いろいろと物覚えがよくなり、その効果は最初の学習から1週間が経過しても持続したんだそうな。いまんところ、この効果は老若男女を問わず確認されてまして、誰にでも試す価値があるんじゃないかと思うわけです。

 

 

このような現象が起きる正確なメカニズムはまだわかっていないんですけど、最近は「いったん脳に取り込んだデータを長期記憶として定着させるためには強化期間が必要だよねー」って考え方が一般的ですからねぇ。わざと何もしない時間を作ることで、情報が定着しやすくなるってのはあるでしょうね。

 

 

ちなみに、この作業を行う際のポイントとしては、

 

  • できれば薄暗く静かな部屋でじっと座る
  • 10〜15分のあいだは、絶対にスマホみたいに気を散らすものは見ない
  • 休んでいる間は、ただぼんやりとした時間を過ごすように努め、過去や未来の出来事を想像しないようにする

 

ってあたりがコツになります。

 

 

ここでなにか集中して考えちゃうと、脳が最近学習したことを定着させるための休止時間が取れなくなりますんで、休憩中はできるだけ余分な刺激を減らすのが吉。つまり、メールをチェックしたり、スマートフォンでネットサーフィンをしたりせず、脳を完全なる放置モードにしとくんですな。

 

 

まー、これが皆さんの役に立つかはわかりませんけど、かなりの追試で効果は認められてるんで、お試しいただければ幸いです。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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