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お腹の脂肪を落とすベストな方法のトップ5は?腹筋運動?ストレス解消?



 

こんなご質問をいただきました。

 

鈴木さんはお腹の脂肪を落とすのに腹筋運動は賛成されてませんよね?それはなんとなくわかるのですが、YouTubeを見ると「お腹の脂肪を落とすワークアウト」みたいなものがいっぱい出てきてまどわされます(笑)あと、検索をすると、お腹の脂肪を落とすなら逆に腹筋をやめろという意見もあってよくわからないです。結局お腹の脂肪を落とすにはどうすればいいですか?

 

ということで、お腹の脂肪を落とす最も効果的な方法は?ってことですね。

 

 

で、この問題については、過去に「腹筋を割ろう!」ってシリーズで軽く触れたことがありまして、もう6年も前の話ですが、わたくしこんなことを書いております。

 

そもそもシットアップやクランチといった定番のトレーニングでは腹筋は割れないことがわかっております。


いくら腹筋を鍛えても体脂肪が減らない限りシックスパックは手に入らないので、特に腹筋エクササイズにはこだわらないのが吉。いかにカロリーを減らしていくかに集中しましょう。

 

要するに、「腹の脂肪を減らすにはカロリーを減らすしかない!」っていう非常に当たり前の話でして、このポイントに関係しない手法はすべて無意味だと言えるでしょう。

 

 

といっても、この説明だとシンプルすぎるので、もうちょいくわしくデータを紹介しておきましょう。

 

 

お腹の脂肪と腹筋運動に関するもっとも有名な研究は1980年代半ばに行われてまして、この研究では、13人の男性に27日間にわたって5,000回の腹筋をしてもらったんですよ。でもって、この腹筋運動の前後に、参加者たちの腹、尻、背中の上部から脂肪の生検を行ったところ、脂肪の量は3つのスポットすべてで同じだけ減少してたんだそうな。

 

 

もうひとつ、2011年の研究(R)では、腹筋運動に焦点を当てた6週間のトレーニングを参加者に指示しまして、

 

  1. 腹直筋(腹部の前面にあるいわゆる「シックスパック」の筋肉)をターゲットにした7つのエクササイズを、毎週5セッション行い、10回2セットのトレーニングを1日約15分ずつかけて行う

  2. 指示された運動の内容は、膝を曲げた腹筋、体幹の横屈、レッグリフト、斜めのクランチ、スタビリティボールのクランチとツイスト、アブドミナルクランチなど

 

って感じで、お腹の脂肪にどのような変化が出たかをチェックしたんだそうな。その結果について研究チームいわく、

 

腹部の運動は、腹部の筋持久力を向上させたが、腹部脂肪の測定値にいかなる変化ももたらさなかった 。

 

って感じだったそうです。つまり、人間の体ってのは、鍛えた筋肉のまわりから脂肪を使うのではなく、全身にたまった脂肪から脂肪を燃やしているわけでして、お腹の脂肪を本当に減らそうと思ったら、全身から少しずつ脂肪を削っていくしかないんですよね。

 

 

その点で、腹筋やクランチは小さい筋肉群しか鍛えられないので、腹の脂肪を減らすのは超ムズいんですよね。ただし、お腹の脂肪を減らすには、体温が十分に上昇して、脂肪を燃やすのに必要な代謝作用が引き起こされる必要があるんだけど、腹筋のような小さな筋肉を使っても脂肪燃焼に必要な量の熱を生み出すほどの変化は起きないんですよね。

 

 

もちろん、腹筋のトレーニングはコアを鍛えられるし、腰痛の予防にもなるし、ケガのリスクを減らすし、血行を促進するのに役立つので、8~12回 × 3セットを週に3回ぐらい行うのがよいことなのは間違いありません。とはいえ、一般的には、かなり多くの人がシットアップやクランチを正しい動作で行えておらず、怪我をしたり、効果的なトレーニングができてないケースが珍しくないんですよ。

 

 

また、個人的には、そもそもシットアップやクランチ自体にも問題があると思ってたりもします。というのも、腹筋ってのは安定性とバランスを保つために備わった筋肉でして、強力な収縮を繰り返し行うようには設計されてないんですよ。考えてみれば、日常生活でシットアップやクランチに似たような動きをするって、ほとんどないですもんね。なので、正しい姿勢でシットアップやクランチができない人は、プランクやサイドプランクに徹するほうがいいのではないかと思う次第です。

 

 

では、実際にお腹の脂肪を減らすにはどうすればいいのかって話ですけど、効果が大きいもののトップ3を上から並べてみると、こんな感じになります。

 

  1. カロリー制限:意識して食事の量を減らす。もちろん、加工食品、ファーストフード、アルコールの摂取を控える

  2. ちゃんと寝る:睡眠不足は脳にストレスを与え、食欲を激しくブーストさせてしまうので

  3. ストレス解消:多くのストレスにさらされると、体内ではコルチゾールが多く分泌され、通常よりも脂肪が蓄積されやすくってしまうので
  4. 高強度の有酸素運動:ランニング、サッカーやバスケットボール、縄跳び、パワーウォーキングなどの負荷が高い運動を、1週間のうちほとんどの日に45~60分、または高強度インターバルトレーニング(HIIT)を20~30分
  5. 複数の筋肉を使う筋トレ:ランジ、スクワット、ショルダープレスなど、一度に複数の筋肉を使うトレーニングほど、脂肪は燃えやすい

 

まー、この順位はあくまで個人的な感想なんで、人によってはストレス対策と運動の順位が変わるかもですけど、カロリー制限が不動の一位なのはおそらく変わらないでしょうね。非常に常識的なラインナップになってますけど、「なんだかんだでこれしかない!」と念頭に置いておくと、お腹の脂肪に立ち向かう際の姿勢も変わってくるのではないかと。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。