体力が大事なのは当然ですが、具体的にどれだけの体力があれば長生きできるのかを見てみましょう
ここ数年は「BMIは古い!」って意見が主流であります。BMIは体脂肪の量を計算に入れないんで、肥満や寿命のバロメーターとして使いづらいんですよね。
肥満対策の前にまずは体力をつけたほうがいいよ!
そのかわりに、近ごろ「寿命を予測する最良のモノサシ」と言われるのが心肺能力。要は体力があって疲れにくい人ほど長生きしやすいって話です。
なんとも当たり前の結論にも思えますが、ヒトの寿命について調べた2014年に出た研究(1)によれば、
- 普通の体型で体力がある人にくらべて…
- 肥満で体力がない人の死亡率は2.46倍!
- 普通の体型で体力がない人の死亡率は2.42倍!
- 肥満だけど体力がある人の死亡率は1.21倍!
って結果だったんですね。肥満だろうが普通体型だろうが、体力がないと死亡率は同じぐらい跳ね上がっちゃうわけですね。ここからわかることは、
- 肥満対策よりも体力を付けるほうがアンチエイジングには重要!
- 肥満の人はダイエットの前に体力アップが先!
といった感じ。この論文は過去に行われた10件の実験データをまとめたメタ解析で、科学的にも信頼が高い内容になっております。
具体的にどれだけの体力があればOKなのか?
というと「アンチエイジングのためにはどれぐらい体力があればいいの?」って疑問がわくはず。そこで参考になるのが、2009年に筑波大の先生が行った調査(2)であります。
こちらは体力と死亡率の関係を調べた論文で、過去に行われた33件の実験データをまとめてメタ解析したところ、
- 心肺機能が高い人とくらべて…
- 心肺機能が低いと死亡率は1.7倍!
- 心疾患の発症率も1.62倍!
- 心肺機能が普通の人とくらべて…
- 心肺機能が低いと死亡率は1.4倍!
- 心疾患の発症率も1.47倍!
といった結果だったそうな。やはり体力が高いほど死亡率は下がるとの結論ですねー。
さらにこの論文では、死亡率を激しく下げるための体力のガイドラインも示してくれております。具体的には、
- 40代:男性は9METs、女性は7METs
- 50代:男性は8METs、女性は6METs
- 60代:男性は7METs、女性は5METs
あたりが最低ラインです。1METs(メッツ)は何もしていない時に体が消費するカロリーのことで、たとえば「8METsの体力」と表現した場合は、安静時の8倍のカロリーを使う運動をこなせるだけの体力といった意味になります。
わかりやすくジョギングの例に直すと、
- 8METs=時速6.4km(早歩き)
- 10METs=時速8.4km(スロージョギング)
- 12METs=時速9.6km(ジョギング)
ぐらいの運動量になります。つまり50代の男性であれば、1時間に6.4kmを走れれば合格ライン。1時間に10kmも走れる体力があれば、死亡率はかなり下がる計算になりますね。
まとめ
そんなわけで、長生きのためにもアンチエイジングのためにも体力は必須。といっても長時間のランニングは体への酸化ストレスが大きいので、短時間で心肺機能アップの効果が大きいHIITをおすすめしておきます。20〜60分の範囲で行えば、ストレスホルモンの害も少なくて済むかと思いますんで。