今週末の小ネタ:30分エクササイズのメンタル効果、シトラスの香りがボディイメージに、ランナーはお腹を壊しやすい
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
30分のエクササイズでもポジティブに反応しやすいメンタルになる?
有酸素運動がメンタルに良いって話は山ほどあるわけですが、新しいデータ(R)は「1回のエクササイズでも割と良い効果があるよ!」って報告されてて、「やっぱ運動は頼りになるぜ……」とか思いました。
ざっくり実験のデザインをまとめると、こんな感じ。
- 18歳から31歳の男女66名を集める(そのうち中等度の抑うつ症状を持つ者が8人、軽度の者が7人、重度な者が5人)
- 全体を「エアロバイクを30分やる」グループと、「静かに30分座り続ける」グループの2つに分ける
- その後、すぐに脳の反応を調べるテストを行う
するとエアロバイクをこいだグループには、はっきりと良い違いが現れまして、
- 運動をしたグループは、ポジティブな画像に対する感情の反応がアップした
- 感情の反応がアップしたグループは、座っていたグループよリモポジティブな感情や覚醒度が高かった
って感じになってます。
ご存じのとおり、抑うつ状態だとポジティブな出来事に反応しにくくなる傾向がありまして、そのせいでいよいよ気持ちが沈んでいくことが多いんですよね。なので、1回のエクササイズでポジティブなものへの反応が高まるのはすばらしいことなんですよ。
研究チームいわく、
1回の運動は、環境のポジティブな刺激に対する反応を変える可能性があり、ポジティブな刺激に鈍化しがちなうつ病の特徴を正常化するのに役立つかもしれない。
とのこと。ということで、「なんかポジティブなものごとに反応できない……」みたいな方は、30分の中程度のエクササイズを試すのもいいかもしんないですね。
シトラスの香りでボディイメージが改善?
ボディイメージ大事!ってのは近年よく言われることで、「自分の体をどう思うか?」ってのはかなりメンタルの状態を左右するみたいなんですよ。
なので、メンタルを健やかに保つには自分の体に否定的なイメージを持たないのが重要なんですけど、近ごろ出た研究(R)では、「香りによってボディイメージが左右されるんじゃない?」って仮説を提示してておもしろいです。これがどんな実験だったかと言いますと、
- 参加者にレモンの香りかバニラの香りをかいでもらう
- 香りをかぎつつ、PC上に映るアバターの体型をできるだけ自分のイメージに近くなるよう調整してもらう
みたいになってます。当然、ボディイメージがよくなればアバターを細身にするだろうし、ボディイメージが悪くなればアバターをより太めにするだろうと考えられるわけです。
で、いかに結果です。
- レモンをかいだ参加者は、自分の体型を細めで体重が軽いと見積もった
- バニラをかいだ参加者は、自分の体型を太めで体重が重いと見積もった
まぁそこまで明確な違いではないものの、これが事実ならちょっとおもしろいっすね。このような現象がなぜ起きるかは謎ですけど、「人間の行動は周囲の香りに左右される」みたいな研究は意外と多いので、ボディイメージに影響が出ることもあるのかもっすな。
今後の追試で否定される可能性もありそうな研究ですけど、シトラス系のアロマをかぐぐらいなら害もないので、ボディイメージ改善にお悩みのかたはお試しいただくのも良いかもしれません。
なぜランナーはお腹を壊しやすいのか?
ランナーは下痢をしやすい!ってのは昔からよく聞く話。一説には、長時間の運動で生まれた熱が腸内細菌にダメージを与えて、そのせいでお腹が壊れちゃうとか言われてるんですが、くわしいメカニズムはよくわかってなかったんですよ。
そこで新たに摂南大学などのチームが調査(R)を行いまして、「なんでランナーはお腹を壊すのか?」のかを深掘りしてくれました。どんな実験だったかと言いますと、
- 女性長距離ランナー15名と普通の女性14名を集める
- みんなの腸内環境を調べて、両グループの違いを調べる
みたいになってます。すると、女性ランナーの腸内はちょっと違いがありまして、
- フィーカリバクテリウムやヘモフィルス、ロチアといった菌の数が多かった
って感じだったんだそうな。フィーカリバクテリウムってのはコハク酸を産んで下痢を引き起こし、ヘモフィルスなどは体内の炎症を悪化させる働きが知られて増して、いずれにせよ女性ランナーは腸内環境が悪化してる可能性があるわけっすね。
とはいえ、これはあくまでハードな運動を長時間続けた場合の話でして、「適度な運動であれば逆に腸内環境は良くなる!」ってレビューもありますのでご安心ください。腸内環境のためには、運動はやりすぎすやらなすぎずのレベルを保つのがいいよーってことでひとつ。