このブログを検索




メンタルの安定を左右する「ボディイメージへの不満」を持ちやすいのはどんな人?を調べたメタ分析の話



ボディーイメージはメンタルの安定に大事!」って知見を近ごろよく見かけるわけです。ボディイメージは「自分の体型やルックスをどう考えているか?」ってポイントで、人生の満足度をかなりのとこまで左右してるっぽいんですよね。


その他にも、病気の発症率が上がったり、肥満のリスクが増加したりと、どうにもいろいろな要素を左右してるのが興味深いところ。とにかく人間は自分の体に不満を持つと、自分自身に幸せに感じられなくなり、セルフケアをなまけがちになるらしい。


かように自身の見た目への感覚は大事なんですが、近ごろウーロンゴン大学が行ったメタ分析(R)では、「ボディイメージがダメになりがちな人ってどんな特徴を持ってるの?」って問題に取り組んでくれておりました。


具体的には、チームは「ボディイメージと性格」の関係について調べた過去の研究から26件を選び出して、約4万人の男女を対象にしたデータを集約。ボディイメージを左右する性格とはどのようなものなのか?について大きな結論を出してくれてます。


性格の特性については当ブログでおなじみの「ビッグファイブ」を使ってまして、

  • 神経症(不機嫌になったり不安などのネガティブな感情を経験しやすいかどうか)
  • 外向性(社交的な傾向)
  • 開放性(好奇心を持ちやすく新しもの好きな傾向)
  • 協調性(他人と協力してものごとをやれる傾向)
  • 誠実性(セルフコントロールがうまい傾向)

という5つの要素とボディイメージの相関をチェックしたんだそうな。


では、その結果がどうだったかと言いますと、

  • 神経症傾向が強い人々は、ボディイメージに不満を持つ可能性がはるかに高かった
  • 外向性と誠実生が低い人たちも、ボディイメージへの不満も大きい傾向があった(神経症傾向ほどではないものの)
  • 以上の結果に、女性と男性の違いは見られなかった

だそうです。つまり、ものごとをコツコツやるのが苦手で不安になりやすく、なおかつ内向的な人ほどボディイメージの問題を抱えやすいわけっすな。なんとなく納得しやすい結果ですね。


では、なんで神経質で内向的な人ほど自分のルックスに不満を持ちやすいのかと言いますと、

  • 神経症の人は自意識過剰なケースが多いので、他人の意見に敏感になる傾向が強く、他人と自分を比較することが多い。その結果として「あぁ、自分の顔はあの人に比べて下の下だ……」みたいな気分が強くなる
  • 外向性と誠実性が高い人は、より自己主張が強くて自信も大きな傾向がある。逆に内向的で誠実性が低い人は自信が下がりがちなんで、自分よりも美しい人を見た場合にメンタルのダメージを受けやすい

といったあたりが大きそうであります。いずれにせよ他者との比較をブーストさせやすい性格だってとこが問題なんでしょうね。


もちろん、これは観察研究のメタ分析なんで、性格とボディイメージの不満のどちらが先に来るかはわからないのが難しいところではあります。が、人間の性格は生涯を通してわりと安定してるんで、おそらくは性格がボディイメージへの不満をアゲサゲしてるんだろうなーとか思うわけです。


というわけで、心当たりがある方はボディイメージの改善法としてヨガをやってみたりセンタリング法などでセルフケアしてみるのもいいんじゃないかと。どうぞよしなにー。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM