脳を劣化させないために大事なのは「何を食べるか」よりも「一緒に何を食べるか」だ!という観察研究の話
いつまでも脳が正しく働くためには食事の管理が必須!というのは改めて強調するまでもない話です。そのためには「野菜を増やそう!」とか「ナッツを食べよう!」とか「魚が大事だ!」とかいろんなことが言われるわけですが、新しいデータ(R)は、
- 大事なのは「何を食べるか」よりも「一緒に何を食べるか」だ!
みたいな結論になってて勉強になります。これはボルドー大学のテストでして、どんな研究だったのかと言いますと、
- 認知症の高齢者209人と健康な高齢者418人を参加者として集める(平均年齢78歳)
- 全員の食事を5年間ほど追跡する
- 認知症が悪化した人としなかった人の違いをチェックする
みたいになってます。参加者は1年ごとにアンケートに答えまして、 どのような種類の食物をどのくらいの頻度で食べたかを記録したんだそうな。
というと平凡な研究のように思われちゃいそうですが、実はここでは新しい試みをしてまして、研究チームはこうコメントしておられます。
食事の改善は認知症を予防する有望な方法だ。人の食事には複雑な相互関連性があり、そのつながりが脳に与える影響を理解するのは重要だろう。これは「食品ネットワーク」と呼ばれる観点だ。
過去に行われた複数の研究では、葉物野菜、ベリー類、ナッツ類、魚などを食べることにより認知症のリスクが下がることがわかっている。これらの研究の多くは、食品の摂取量と頻度に焦点を当てているが、本研究ではさらに一歩進んで、「食品ネットワーク」を調査した。
「食品ネットワーク」ってのは新しい考え方で、すごくざっくり言えば「どんな食べ物を一緒に食べてるか?」っていう全体的な傾向のことです。「この食品を食べれば頭が良くなる!」と言えれば話は簡単でいいんですが、普通に思えば、特定の野菜や肉を増やすだけで認知症がやわらぐとは考えにくいのは当然のこと。個々の食品にフォーカスするんじゃなくて、食事の全体像に焦点を当てたほうが実践的な結論が出せるんじゃないか?と研究チームは推定したわけっすね。
で、分析でわかったポイントを引用すると、こんな感じです。
認知症な人たちの食品ネットワークにおける「ハブ」は加工肉だった 。
認知症を発症した人は、ソーセージ、生肉、パテなどの高度に加工された肉と、ジャガイモ、アルコール、クッキー、ケーキ、スナック菓子などの高糖質の多い食品を組み合わせている可能性が高かった。
つまり、不健康な食品の摂取量よりも、「加工肉と他の不健康な食品を組み合わせる頻度の高さ」が認知症リスクに関わっているのかもしれない。例えば、認知症の人は加工肉と一緒にジャガイモを食べる傾向が強く、認知症がない人は肉と一緒に果物や野菜、魚介類などの、より多様な食品を食べる傾向が強かった。
要するに、「脳機能を保つにはどの食品を食べればいいの?」って話ではなくて、とにかく健康そうな食品をいろいろと食べるのが大事なんだ、と。
また「加工肉が食品ネットワークにおけるハブである」ってのもおもしろい発見で、「どうにも不健康な食事をしちゃうなー」って人は、「お菓子や酒をまとめてやめるぞ!」と考えるよりも「とりあえず加工肉から断つぞ!」ってとこから取り組んだほうがいいのかもしれません。加工肉にこだわらずとも、「自分の食生活におけるハブは何か?」と考えてみるのは超重要な視点でしょうな。
健康的な食品の多様性が高ければ高いほど、認知症の減少と相関することがわかった。食品ネットワークの違いは、被験者が認知症と診断される何年も前から見られた。食品ネットワークを見れば、食事と健康の複雑さを解くのに役立つかもしれない。
まぁこのブログをお読みの方はすでに健康な食生活を送ってる方も多いでしょうが、その場合でも「食事の多様性は保たれてるか?」ってあたりは気にしておくといいかもですね。