今週半ばの小ネタ:骨を健康にするタンパク質、お金が重要でない国の方が幸せ、ビタミンDサプリと大腸がん
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
骨の健康に役立つのは動物性タンパクか植物性タンパクか?
「骨の健康を維持するためにベストなタンパク質とは?」って問題を調べたデータ(R)が出ておりました。骨の形成にタンパク質が必要なのは間違い無いけど、果たして動物性の食事と植物性の食事のどちらが良いのか?って問題っすね。
具体的には136人の男女を対象にしたテストで、
- 動物性タンパク質食:肉、魚、乳製品などをメインに食べる
- 植物性タンパク質食:豆類、ナッツ類、種子などをメインに食べる
- ミックス食:動物性と植物性のタンパク質を50/50の量で摂取する
って3つのグループに分けた上で、12週間の違いをチェックしております。すべての食事は総エネルギー摂取量の18%になるように調整したんだそうな。
その上で、骨にどんな変化が出たのかと言いますと、
- 骨のターンオーバーマーカーの上昇は、植物性タンパク質がもっとも大きかった
- 次にターンオーバーマーカーの上昇が大きいのはミックス食のグループで、動物性の食事が最も小さかった
だったそうです。って、これだと意味がわかりづらいですけど、すごーく簡単に言ってしまうと、
- 長期的に見ると、植物性の食事は長期的には骨量の低下につながる……かも?
って話です。研究チームは「植物ベースの食事だとカルシウムとビタミンDの摂取量が減るからでは?」と推測してますが、詳しいところは不明。果たして、本当に長期的なダメージがあるのかも謎ですが、とりあえず動物性タンパクも取り入れたほうが良さそうっすね。
お金が重要でない国の方が幸せ?
「科学的な適職」には「お金で得られる幸福には限界がある」みたいなことを書いたんですが、新たなデータ(R)では、
- お金の意義がほとんどない国の方が幸せだ!
みたいな結論になっておりました。どんな調査だったかと言いますと、ソロモン諸島とバングラデシュという最貧国で678人の男女にインタビューを行い、みんながどれぐらい幸福を感じているかをチェック。「お金」の存在感が強い都市部と、「お金」へのこだわりが低い漁村部で、幸福度がどのように違うかを比べたんだそうな。
それで何がわかったかと言いますと、
- 豊かな人が多い都市部の住人よりも、貧しい人が多い漁村部の従人の方が幸福度は高い
- 漁村部の幸福度は、北欧の国々(昔から幸福度の高さで有名)と大差がない
って感じだったそうな。要するに、貧しいエリアに住む人たちの幸福度は世界最高レベルだったんだってことっすね。
研究チームいわく、
金銭の意義が低いエリアでは、家族と過ごす時間や自然との触れ合いを幸福の要因として挙げる人が多かった。しかし、金銭の意義が高くなるにつれ、社会的および経済的な要因のほうを幸福の要因として挙げる人が多かった。全体的に見て、金銭的な意義の強調は、実際には幸福に有害である可能性がある。
近年では、経済的な成果は幸福を支える重要な要素ではないとの認識が広まっている。快適で安全で強いコミュニティの中で自由に生活を楽しむことができれば、お金を稼いでいるかどうかに関わらず、人々は幸せになるのだろう。
とのこと。もちろん、だからといって経済成長が不要だとは思わないものの、こういうデータがあるってのは知っといたほうがいいっすよね。
ビタミンDサプリで大腸がんの死亡率が改善?のメタ分析
毎度おなじみ必須成分であるビタミンDに、「大腸がん患者の死亡率を改善するかもだ!」みたいなメタ分析(R)が出ておりました。
どんな研究だったかと言いますと、
- 5件のランダム化比較試験から815人の参加者をピックアップ
- 全体のうち2件ではビタミンDサプリと大腸がん患者の死亡率を検討
- 全体のうち3件ではビタミンDサプリと大腸がんの無増悪生存率を検討
みたいな内容になってます。もともと大腸がんとビタミンDには深い関係がありまして、たとえば太陽の光を浴びない人ほど大腸がんを発症しやすいってデータは多いんですよ。
でもって、分析の結果、以下のような傾向が確認されました。
- いずれの試験でも、ビタミンDサプリで大腸がん患者の生存率にメリットがあった(ただし統計学的に有意だったのはひとつだけ)
- 具体的には、ビタミン D サプリは疾患の進行または死亡のリスクを35%減らすかも
ってことで、まだまだデータとしてはゆるい感じがしつつも、かなり有望そうな結果が出ております。全体的に見てみると、1日に2,000~4,000IUのビタミンDは安全で効果的な範囲っぽいので、おおまかな参考になりそうっすね(あくまで主治医さんに相談のうえお使いください)。