2021年2月に読んでおもしろかった5冊の本
月イチペースでやっております、「今月おもしろかった本」の2021年2月版です! 今月に趣味で読んだ本は20冊ありまして、なかでもおもしろかったのが以下の5冊でした。
もっと! : 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学
ドーパミンの重要性はいろんなとこで書いてますけど、使い方によって毒にも薬にもなる劇薬なのはご存じのとおり。本書は愛・芸術性・モチベーション・依存症などあらゆる側面からドーパミンの影響を掘り下げげて、読後は「あれもドーパミン!これもドーパミン!」といった気分になりました。人生の大半はドーパミンのコントロールで決まるんじゃなかろうか?みたいな感じっすね。
明確なドーパミンコントロールの技法が書いてあるわけじゃないんですが、一読すれば、もう少しドーパミンに注意して生きよう……って気になれてよろしいのではないでしょうか。
ヒトはなぜ自殺するのか 死に向かう心の科学
自殺は複雑な現象なので、もちろん本書でも明確な答えがあるわけではなし。ただし、作者自身の体験も交えつつ、ロイ・バウマイスター先生に「自殺の逃避理論」(失敗のせいで自分に注意が向きすぎて、強烈なネガティブ感情から逃れようとして自殺企図が生じる、という考え方)を問いただしていくあたりに迫力があって、この問題を学ぶうえではマストな一冊でしょう。
ちなみに、同著者の過去作「ヒトはなぜ神を信じるのか」も非常に良い本でした。
格差は心を壊す 比較という呪縛
タイトルのとおり、「自分はあの人より劣ってるなー」と思うと貧しくなるし、生産性も下がるし、メンタルも病むしで、良いことが何もないよ!ってのを、データにもとづいてガンガン説得してくる一冊。格差問題というよりは、「いかに他者との比較はろくなことがないか」の事例集として読むといいかもっすね。
ただ、個人的には、後半で急に「経済成長は敵だ!」みたいな論調に進んじゃうのが残念ではありました。格差問題というと経済成長を否定したくなるんですかねぇ……。
また、本書の途中に出てくる「現代の若者は自己愛が増えている!」ってデータについては、わりと強力な反証があったりもしますので、その点もご注意ください。
デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる
「プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?」がおもしろかった、メアリアン・ウルフ先生の本です。
デジタルよりもアナログのほうが脳には良いのでは?って話はいくつかあって、どうも手書きや紙の本のほうが頭に残りやすいのでは?なんて風潮がある昨今。本書でも「デジタルデバイスはどうしても読みが浅くなる」と問題定義をしておられます。
ただ、ひたすらデジタルをディスるわけでもなくて、サクッと効率よく情報を集める目的では、ウルフ先生も否定はしておられません。要は使い分けが大事って話でして、そこが本書のサブタイトルである「バイリテラシー」につながるわけっすな。
まー、個人的には「デジタルデバイスが本当に理解力を妨げるか?」ってのはまだ断言できないと思いますけど、とりあえず両方のいいとこ取りをしようぜ!って発想はとてもよろしいのではないかと。
自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる
世界でもっともわかりやすいACTの本(マインドフルネス系の認知行動療法)を出してる、ラス・ハリス先生の新しい本。この前作である「相手は変えられない ならば自分が変わればいい」はピンと来なかったんですけど、今回は「自信をつけるにはどうすればいいのか問題」にテーマをしぼってて散漫さがなく、具体的なワークも多くてとてもよろしいです。
認知行動療法の考え方をベースに、「自信とは?」や「自信をつけるには?」を掘り下げてますんで、興味がある方はぜひどうぞ。
その他
おもしろかったのは以上ですが、あとは以下の本も心に残りました。
- 自由の余地(自由意志あるのかないのか問題に興味がある人向け)
- 人間失格(伊藤潤二のマンガ版)
- ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術(ポジティブ心理学をテクノロジーでブーストするには?みたいな本)