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2016年に読んで良かった本ベスト10

Books

 

年末!ということで、今年読んだ本のベストを並べておきます。今年は単著を作ってたせいでやたら忙しく、例年よりも本が読めずに悲しい思いをしておりました。結局、読めたのは全部で150冊ぐらい。もうちょい要領よくなりたいもんです。



 

10位 伝えるための心理統計

今年はパワーポーズが否定されたり意志力の消耗説にも疑問符がついたり、いろいろと心理学界が揺れた年だったんで、改めて統計について学んでおこうと思って読んだ一冊。「効果量の重要性」や「P値のヤバさ」みたいな現代統計のポイントが手際よくまとまっていて勉強になりました。もちろん、これを読んだからといって論文の統計ミスが発見できるわけじゃないですが、何がマズかったのか?みたいなとこは理解しやすくなる感じ。

 

 

9位 モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い

2005年に起きた「丸子実業高校いじめ自殺事件」の顛末を追った一冊。当初は悪の集団だと思われた教師たちが実は…という展開で、最後までとにかく読ませる。普段は夜の0時には必ず寝る私ですが、どうにもページをめくる手が止まらず、久しぶりに深夜3時ぐらいまで起きてしまいました(笑)。 同著者の前作である「でっちあげ」とセットでオススメ。

 

 

8位 宗教学 (ブックガイドシリーズ―基本の30冊)

 2011年の「オウム真理教の精神史」が最高だった著者による宗教本ガイド。……に見せかけて、原始時代から現代までの宗教の役割の変化、宗教のヤバさ、これからの役割を通観する野心的な内容になっております。人文書院に序文のPDFが掲載されてるんで、これの「宗教の四段階構造論」にピンと来たらぜひ本編もどうぞ。

 

 

7位 ネット炎上の研究

私の感想は以前に書いたとおり。海外では「ネット荒らし」の研究がちょこちょこ出てたんですけど、日本でもいい感じのデータが出てきて非常によかったですねー。上で紹介した「モンスターマザー」と合わせて読むのがオススメ。

 

 

6位 女の一生 (光文社古典新訳文庫)

Kindleアンリミテッドで何となく読んだら、異常におもしろくてビビった一冊。 勝手に地味な小説だろうと思ってたら、昼ドラ並みの超展開が続くストーリーに衝撃を受けました。ほかにも光文社古典新訳をいろいろ読みましたが、個人的には一番楽しかったです。ちなみに、その後で光文社古典新訳文庫が読めなくなったので、Kindleアンリミテッドは解約しました。

 

 

5位 セラピストのためのエクスポージャー療法ガイドブック

超定番の心理療法である「エクスポージャー」を、最新のマインドフルネス系のテクにもつなげるよ!という一冊。認知行動療法の本を読んでると、「なんてかんだでエクスポージャーって最強だよなー」と思うことがよくあるんですが、改めてその思いを新たにしました。「スピーチの恐怖を克服するには?」や「高所恐怖症はどうする?」といった感じで、用途別に「エクスポージャー」の具体的なステップが書いてあるので、セラピストじゃなくても十分に使えます。

 

 

4位 習得への情熱―チェスから武術へ―

こちらの感想も以前に書いたとおり。チェスマスターから太極拳のメダリストに転身した超天才が、高度なパフォーマンスを習得する方法を明かした一冊で、全編にわたって使えるパンチラインが満載。著者がHIITでメンタルトレーニングをしていると知り、私もたまに似たような訓練をしております。

 

 

3位 幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない

なんか安っぽいタイトルですけども、中身はまっとうなACT(マインドフルネス系の認知行動療法)の解説本になっております。いまいち用語が理解しづらいことで有名な「ACT」のポイントを、最高にわかりやすく説明してくれていて、マインドフルネス系の認知行動療法のポイントを知りたいならとりあえずこれがベストでしょう。ラス・ハリスの本では「よくわかるACT」も翻訳されてますが、こちらはガチのセラピスト向きなので、セルフヘルプ用には向いてないかも。

 

 

2位 The Undoing Project: A Friendship That Changed Our Minds

「世紀の空売り」とか「ライアーズ・ポーカー」 とか、傑作しか書かない男として有名なマイケル・ルイスの新作。しかも、今回のテーマは、行動経済学の祖であるカーネマンとトヴェルスキーだ!というわけで、当然のように面白かったです。もちろん理論を知りたいだけなら「ファスト&スロー」を読んだほうが早いわけですが、本書は2人の天才の性格と友情が深掘りしてあって、わりと泣ける仕上がり。行動経済学入門の新定番になりそうっすね。

 

 

1位 行動経済学の逆襲

「実践 行動経済学」 でおなじみリチャード・セイラー先生が、いかに従来の経済学に抵抗してメインストリームに躍り出たかを描いた半自伝。あいかわらず書きっぷりがユニークで笑えるし、同時に行動経済学の発展が時系列でわかるのでとても頭に入りやすいんですな。上の「The Undoing Project」と合わせ読んだうえで「ファスト&スロー」を再読すると、さらに行動経済学のキモが頭に刻み込まれそうであります。

 

 

番外 一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書

で、最後は宣伝。11月にパレオダイエットの解説本を書きまして、Amazonのレビューも良好なようでホッとしております。個人的には「内容が学術的すぎるかな…」とか思ってたんですが、こないだ70手前の母親から「わかりやすくて楽しかった!」と言われたので安心しました(笑)。年末年始の休暇にでもお手にとっていただければありがたいです。その他の書評などは「感想まとめ」をどうぞー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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