楽観的な人は9%長生きする
楽観バイアスが高いほど病気にかかりにくい
「楽観的な人は長生きするぞ!」っていうオモシロデータ(1)が出ておりました。
これはハーバード大の調査で、看護師健康調査から70,021人の女性(平均年齢70才)のデータセットを使ったもの。2004年に全員の「楽観レベル」をテストしたうえで、2006〜2012年に参加者がどうなったかを調べたんですね。いわゆるコーホート研究です。
ここでいう楽観主義っていうのは、「先行きが不透明な時期でも未来は良くなると感じられる」みたいな性質のこと。悪く言えば単なるバイアスなんですが、この傾向が高い人ほど病気にかかりにくいようなんですな。
楽観主義だと生存率が29%もアップ
具体的な数値をあげると、
- 楽観主義が高い人は…
- 楽観レベルが低い人に比べて生存率が29%高かった
- 癌の発症リスクは16%低かった
- 心疾患の発症リスクは38%低かった
- 脳卒中の発症リスクは39%低かった
- 感染症の発症リスクは52%低かった
みたいな感じ。なかなかの違いですねぇ。ちなみに、この数値は、年齢・教育レベル・パートナーの有無といった変数を調整しております。
性格が楽観的なだけでなぜか長生きする
で、この手の論文が出ると、これまでは「楽観的な人は健康的なライフスタイルを送りやすいからじゃない?」って説明がつくのが定番でありました。楽観的な人ほどタバコを吸わないし、運動もするんじゃないのか、と。
というわけで、今回の研究では、そのへんの変数も調整したんですね。具体的には、
- レステロールや血糖値のレベル
- タバコを吸うかどうか
- 定期的に運動をしているかどうか
- 野菜をたくさん食べてるかどうか
みないな要素も省いていったところ、
- それでも楽観的な人は死亡率が9%低い!
って結果だったんですね。つまり、健康的なライフスタイルとは関係なく、性格が楽観的なだけでなぜか長生きしちゃうんだ、と。おもしろいですねー。
なぜ楽観的な人は長生きなのか?
研究者いわく、
楽観的な人たちは、不慮の事故に備えて計画を立てるのが上手いのかもしれない。(中略)
または、楽観主義が直に生物学的な機能に影響をあたえ、免疫系を改善して炎症レベルを下げているのかもしれない。
とのこと。ハッキリしたことは何も言えないものの、体内と行動の両面から効いてる可能性はあるわけですな。
まぁ、生まれつき悲観的な人が楽観的になれるかどうかはまだ科学的にはわからないんですが、私は以前にも書いたとおり「長期的にはポジティブに考えて、短期的にはネガティブに考える」を心がけるようにしとります。