約8000の食品から選ばれた「もっとも健康的な食品」とは?みたいなお話
いろんな食品のなかから健康にベストなものを選んでみるぞ!みたいな研究(R)が発表されておりました。
これはタフツ大学の調査でして、3年をかけて開発した「フードコンパス」という栄養の判断ガイドラインを使ったものです。この手の判断基準はほかにもあるんですけど、たいていは食材の不健康な要素(栄養不足とか重金属リスクとか)に焦点を当ててることが多いので、やや偏りがちではあったんすよ。
が、フードコンパスは食品の健康ポイントと有害ポイントを同じぐらい重視したうえで、さらにそれぞれの栄養素、添加物などの最先端の知見を取り入れたんだそうな。旧来のガイドラインは特定の栄養素に焦点を当てているケースが多かったので、こちらもありがたいですねぇ。
いちおう研究チームの問題意識を紹介しておくと、
一般の人々は、食料品店やカフェ、レストランでどのように健康的な食事を選ぶべきかについて、かなり混乱している。消費者、政治家、メーカーも、より健康的な選択をするためのシンプルなツールを求めている。
とのこと。確かに、このブログにも「外食で健康的なメニューを選ぶ方法がわからない」みたいな質問がよく届くので、「これが健康的だ!」と決めてくれると楽っすね。
ってことで、このフードコンパスでは、8,032種類の食品と飲料のデータベースを使い、54のポイントを評価しつつ「どの食品はどれぐらい健康的か?」をチェックしてます。ここまでまるっと栄養をプロファイリングしたシステムは他にないでしょうな。
それぞれの食品は、1点(めちゃ不健康)から100(めちゃ健康的)の範囲でスコアがつけられてまして、だいたい70点以上なら「食べた方がいいよ!」って感じで、31~69点だったら「そこそこに食べて!」って感じで、30点以下なら「おすすめしないよ!」って感じらしい。わかりやすいですね。
では、どんな食品のスコアが 高かったかというと、まずは全体的な傾向を見てみましょう。
- 主要な食品のフードコンパスの平均スコアは 43.2だった
- 最もスコアが低かったカテゴリーは、スナックと甘いデザートだった(平均16.4点)
- 最もスコアが高かったカテゴリーは、野菜(平均69.1点)、果物(平均73.9点だが、生の果物はほぼすべて100点)、豆類・ナッツ類・種子類(平均78.6点)だった
ってことで、 このへんについては「まぁそりゃそうだよなぁ」って結論ですね。 地中海式ダイエットなどとあまり変わらない見解と申しますか。
さらに、細かい食材ごとのスコアもメモっておきますと、
- 飲料では、砂糖入りのソーダやエナジードリンクの平均は27.6点
- 100%のフルーツ&野菜ジュースの平均が67点
- 牛肉の平均スコアは24.9点、鶏肉は42.67点、魚介類は67.0点
- ランキングの上位に来たのは、生のラズベリー(100点)、野菜カレー(90点)、ヨーグルト(81点)、ツナサラダ(73点)だった
- ランキングの下位に入ったのは、プディング・加工肉・インスタントラーメン(すべて1点)、チーズバーガー(8点)、ピザ(25点)だった
みたいになります。こちらも納得の結果じゃないでしょうか。
ただし、個人的にはこの結果には不満点もありまして、
- 全粒粉シリアル、桃の缶詰、無脂肪のチョコレートフローズンヨーグルトが、バターで焼いた卵、チェダーチーズ、牛ひき肉よりも、だいたい50ポイントも高い!
ってのはどうなのかなーって 気もするわけです。
特に全粒粉シリアルについては、全粒オーツ以外は砂糖、コーンスターチ、変性コーンスターチ、コーンシロップで構成されてまして、脳の快楽が強い食事への警戒心が強い私としては「これってどうなんかなー」とも思うんすよね(このあたりはフルーツ缶詰とか無脂肪ヨーグルトも同じ)。
では、なぜこのシリアルの得点が高いのかというと、合成ビタミンで強化されているからだそうで、「まぁそれが悪いとは言わないけど、結局は食事報酬の罠にハマりそうだなよなー」って感想は持ちましたね。
ということで、一部に疑問点はありつつも、 全体的には使い勝手の良いナイスなガイドラインではないかと思った次第です。どなたかがこれの日本版も作ってくれるとありがたいんですけどねー。