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「五月病」って結局なんなの?対策はどうすればいいの?

 
 

こんなご質問をいただきました。

 

五月病ってありますが、これはどういう状態なんでしょうか?というか、本当にある病気(?)なんですか。

 

ってことで、この時期によく耳にする「五月病」ってのは、いったいどんな問題なのか、と。

 

 

で、一般に五月病といえば、ゴールデンウィーク明けに気分の不調が起きちゃう状態をいみしますけど、当然ながら正式な医学用語ではございません。なので、五月病を調べたデータもないわけでして、なかなか判断が難しいとこではあります(専門誌の論説みたいなものはいっぱいありますが)。

 

 

ただし、五月病ってのは要するに「新入社員や学生が新しい環境に適応できないせいで起きる精神的な症状」のことなので、ざっくり「適応障害」の一種みたいなものと捉えるのがわかりやすいのかなーとは思います。適応障害は、名前のとおり生活の変化によるストレスが積み重なって、そのせいで気分の落ち込み、意欲低下、不眠などの問題が起きちゃう状態っすね。

 

 

DSM-5では、適応障害の診断のために、以下のような基準が挙げられております。

 

  • はっきりとしたストレス要因のため、ストレスが始まってから3ヶ月以内に症状が出現。

  • 以下の症状のうち少なくともどちらかの証拠がある。

    • そのストレス要因に不釣り合いな程度の症状、苦痛
    • 社会的、職業的などの生活に重要な場面で重大な問題が起きてしまう
  • ほかの精神疾患では症状を説明できない。
  • ストレスの要因がなくなると、症状が6ヶ月以上は続くことがない。

 

ってことで、生活の変化によるストレスが大爆発しちゃって、生活に問題が出る状態のことなわけですな。

 

 

DSM-5 では、さらに6 種類の適応障害を挙げてたりします。

 

  1. 抑うつ気分を伴うもの。悲しい、涙もろい、絶望的な気分になる、以前は楽しんでいたことに喜びを感じなくなる、など。

  2. 不安を伴うもの。神経質、心配性、集中力や記憶力の低下、圧倒される感じ、など。

  3. 不安と抑うつ気分が混在。上記の抑うつと不安がまとめてくるパターン。

  4. 行動障害を伴うもの。喧嘩や無謀な運転などの行動上の問題が起きる。学校をさぼったり、会社を早退したりすることもある。

  5. 情緒障害と行動障害が混在。不安と抑うつと行動上の問題がまとめてくるパターン。

  6. 特定不能。症状は他のタイプの適応障害には当てはまらないが、身体的な問題、家族や友人との問題、仕事や学校での問題などを含むことが多い。

 

これに加えて、不眠症、筋肉のけいれんや震え、疲労感が起きる人がいたり、万引きや器物破損などに手を出す人もいまして、なにかと難しいもんです。

 

 

でもって、残念ながら、現時点では適応障害を確実に予防する方法はなし。専門家のセラピーを受けたり、認知行動療法や対人関係療法を試したり、人によってはSSRIのような薬物治療が効くかもしれなかったりといった感じであります。

 

 

ただ、適応障害の原因はあくまでもストレスなので、レジリエンス(心理ダメージからの復活力)を高めることが役に立つのは間違いないかと思うわけです。その具体的な方法については、「レジリエンス:人生の危機を乗り越えるための科学と10の処方箋」や「イラスト版 子どものレジリエンス: 元気、しなやか、へこたれない心を育てる56のワーク」あたりを参考にしていただければって感じですが、このブログで過去に紹介した手法としては。

 

 

あたりをご参照ください。さらに、自分のレジリエンスレベルを知りたいときは、「自分はどれぐらいストレスに強いの?を計測する6つの質問」をいただくとよろしいのではないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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