今週末の小ネタ:体重が増えるヤバい肉、海のモンスターの正体、大人の効率的な学び方
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
体重がリバウンドしちゃうヤバ肉はどれ?
「牛や豚の肉はタンパク質が豊富だけど、健康面ではいまいちこころもとないよなー」ってのが、現時点における肉類へのコンセンサスでしょう。魚とか鶏肉などは健康への悪影響が見られにくいのに対して、牛や豚などのレッドミートはどうも旗色が悪いんですよね。
といったところで、新たな研究(R)では、「ダイエット後のリバウンドへの影響が大きいのはどのお肉?」みたいなポイントを調べてくれてておもしろかったです。肉が体に良いか悪いか?って問題についてはいろんな視点がありますが、ここではダイエット後のリバウンドへの悪影響に的を絞ってるわけですね。
ここで調査の対象になったのは8%以上のダイエットに成功した人たちで、26~70歳の男女688人からデータを集め、みんながいつもどんな食事をどれぐらい食べているかをチェックしたんだそうな。その上で、年齢や運動、野菜の摂取量などを調整して、肉だけの影響を絞り込んでみたところ、結果はこんな感じになりました。
- 1日の加工肉の摂取量が10g増えるごとに、体重は1年で0.18kgリバウンドする(95%CI;0.10~0.25)
- 逆に、1日の魚介類の摂取量が20g増えるごとに、体重は1年で0.01kg減る(95%CI;0.03~-0.004)
- 肉類の総摂取量や普通のレッドミート、乳製品、鶏肉、卵の摂取量は、リバウンドにも減量にも関連しなかった
ってことで、予想どおり「悪いのは加工肉だ!」って結論でして、加工されてない牛や豚は特に影響がないかも?って感じですね。ちなみに、ここでは「加工肉を他の肉に置き換えたらどうなる?」ってとこも調べていて、その結果は、
- 加工肉を他のタンパク源に置き換えた場合、それが魚でも鶏でも卵でも乳製品でも豆類でも、なんでも体重のリバウンドを抑えてくれる
- 特に強いのは魚で、加工肉を同じカロリーの魚介類に置き換えると、中性脂肪がガンガン改善される
ということでして、いつもながら魚最強説がまた補完された感じがするわけです。この結果について研究チームは「AGEs」を問題視していてまして、こいつがリバウンドを引き起こしてるんじゃないか、と。そう考えると、加工肉だけでなく、高熱で焼きまくったレッドミートなんかも良くなさそうな気がしてきますな。
海で目撃される謎のモンスターの正体とか
ダービー大学のマイケル・スイート博士が、「海で目撃される謎のモンスターってクジラのアレじゃない?」ってツイートをしてて、おもしろかったです。
Back in day, travellers/explorers would draw what they saw. This is where many sea monster stories come from ie. tentacled and alienesque appendages emerging from the water - giving belief to something more sinister lurking beneath....however, many cases it was just whale dicks. pic.twitter.com/6ZH1nJZvB1
— Prof. Michael Sweet (@DiseaseMatters)
博士の引用画像を見ればお分かりいただける通り、クジラのアレは動物界で最も大きく最大3メートルにもなるんだそうな。世の中には、海から長い首をニョッキリ伸ばした謎の海獣画像みたいなのが定期的に出回りますが、これはクジラのアレが海面に飛び出ただけではないのか、と。
ちなみに、このツイートのレスには、「1741年に目撃された海のモンスターはザトウクジラとかセミクジラじゃない?」と提案する文献(R)へのリンクが貼られておりました。「怪獣=クジラのアレ説」ってわりとメジャーなんですな。
ちなみに、このツイートでは、「でもネッシーとかは湖で目撃されてるからクジラじゃないよね!」とか「でも世界中の疲れきった船乗りたちが(様々な種の)アレを取り違えたのは確かだ!」みたいな議論がされてておもしろかったです。まぁネッシーについてはテレビ局のやらせだったことがあきらかになってますけど、海の目撃談についてはクジラと考えたほうがいいんでしょうね。
大人の効率的な学び方とは?
「Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ」っていう良い勉強本がありますが、その著者であるアーリック・ボーザー先生が、アトランティックでインタビューに答えていて(R)、「大人の効率的な学び方」を端的に語ってくれていて参考になりました。詳しくは「Learn Better」をお読みいただくのがベストですが、ここでボーザー先生がどんなアドバイスをしてらっしゃるのかと言うと、こんな感じです。
- 再読や強調表示などは受動的なものなので効果はめちゃ低い。本当に学ぶためには「知識と知識の関連性」を作る必要があるので、「自分に自分で説明してみる」ように負荷が高いことをする必要がある。なので、会議の前に資料を読むような場合は、資料の内容を自分で自分に説明してみると良い。
- 「他人に教える」のもめちゃくちゃ効果がある。もともと「自分に説明する」って学習法の効果はかなり証明されているが、他人に説明すると「もっとわかりやすくしなくちゃ!」って意識が働くため、さらに効果が高くなりやすい。
- といっても、学習に楽な道はないので、そこは大前提にしておかねばならない。みんなすぐに「楽な勉強法」とか「楽しく学習」みたいなことを言いたがるが、本当に使えるスキルってのは自分のコンフォートゾーンを出ないと身につかない。そのため、苦しさを感じられないような学習は、その時点で失敗しているといえる(ボーザー先生はそこまで言ってませんが)。
- 学習にはフィードバックが欠かせないが、もっとも効果が高いのは、自分がミスをした後に「正しい答え」を伝えられた場合である。これは、自分がミスったことで感情が刺激されるため、それによって記憶に叩き込まれるからである。
- 「感情をともなう」ことは記憶に取って本当に重要で、たとえば人の名前を記憶したい時は「あの人の名前は、私の好きなアスリートと1文字違いだな……」みたいに、自分に身近なものと結びつけることで感情が動きやすくなり、記憶に残りやすくなる。
- ビル・ゲイツは「考える週」を意図的に作る習慣を持ち、定期的に日常の業務から離れて重要なテーマを考える時間を持っている。これは大人の学習において非常に重要で、私たちが新しいスキルを身につけるためには、いったんすべてから離れて静かに時を待つ時間が絶対に必要となる。静かな内省によって学習が効果的になるという証拠も多い。
ってことで、全体的には「感情の重要性」を重視した内容になってまして、「お説ごもっともでございます」って気分になりました。個人的にも「学習は根本的に苦しい」って意見にはめちゃくちゃ賛成で、自分が勉強するときの心の支えになってる考え方だったりしますね。