アートにのめり込むと成績は上がるしキャリアは改善するしで良いことだらけかもよーみたいな観察研究の話
「アートっていろいろメリットあるよなー」みたいな話を何度か書いております。「アート好きは寿命が長いかも?」とか「アートの幸福度アップがすごい?」とか、アート好きってのはいろんな変化があるみたいなんすよね(アートがなぜそこまで効果があるのかはまだ謎ですが)。
でもって、新しいデータ(R)も「アートすごいぜ!」って話でして、まず結論から申し上げますと、
- 経済的に恵まれていない若者がアートを実践すると、勉強の成績はアップするし、より良い仕事につくことができる!
みたいな感じです。アートは創造性に効くだけでなく、勉強にも人生のモチベーションにも効くんだ、と。うーん、すごい。
これはヨーク大学などの調査で、およそ25,000人以上の高校生を10年にわたって追いかけて、4つの縦断的研究をしております。具体的には、学校の内外でアート活動を行っていた子供たちを追跡してて、
- 音楽
- ダンス
- 演劇
- 視覚芸術などのコースワーク
- 学校外での芸術レッスン
- バンド
- 演劇
などの活動を行なってた人たちの変化を見ていったんだそうな。
その結果について、研究チームはこんなことを言っております。
経済的に恵まれないが芸術に深く関わった経験がある若者は、そうでない若者に比べて、学校の成績が良い傾向があった。彼らはより良い成績を修め、大学への入学率や達成率も高い。例えば、高校で芸術に触れた生徒は、そうした経験がない生徒に比べて、学士号を取得する可能性が3倍も高いことがわかった。
また、芸術的な背景を持つ若年層とそうでない若者のキャリア志向にも顕著な違いがあった。芸術への関与が高かった成人の半数は、法律、医学、教育、経営などの専門職に就くように頑張っているのに対し、芸術への関与がなかった人は21%にとどまっていた。
また、高校時代にアート活動をした若年層は、ボランティア活動、投票、地元や学校の政治への関与など、市民意識の高い行動を示していた。
ってことで、なかなかの違いが出てますね。ちなみに、この研究は経済的に恵まれない若者を中心にした調査ですが、一部の調査では「恵まれた環境にある若者にもアートは効果的だ!」と示唆されてまして、どうもアートは万人に意味があるんじゃなかろうかと。
まー、相変わらず「なんでアート活動がそこまですごいの?」ってあたりは謎なんですが、さまざまなアートプログラムから得られた証拠によると、
- アートに触れると問題解決力が高まる
- 問題の多い行動を回避する能力も高まる
- 自尊心、自己効力感、レジリエンス、共感力、協力的なスキルなども身に付く
って傾向があるようでして、なんかわからんですが幅広いソフトスキルに働きかけてくれるみたいっすね。こりゃおもしろいですな。
いまんとこ「どんなアートでも意味はある!」って報告が多いので、興味がある方は、自分でコツコツと小説を書いてみるもよし、地元で行われてる音楽、演劇、ビジュアルアートのワークショップに参加してみるもよしって感じじゃないでしょうか。個人的な見解としては、なんらかのアートグループに参加して、定期的にプロジェクトに取り組むスタイルの方がソフトスキルのトレーニングになりそうな気がしますが、とりあえず好きなところから手をつけていただくといいんじゃないかと。
ただ、この手の活動ってのは、往々にして「ソフトスキルを高めるぞ!」みたいな意気込みでやると失敗しますんでご注意ください。あくまでアートそのもののおもしろさにのめり込む感じでやっていただくとよろしいかと存じます。