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今週末の小ネタ:機能的イメトレでダイエット成功、仲の良いカップルの特徴、幸せな子供育ての秘密

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

機能的イメトレでダイエットがはかどりまくるかもよーみたいな実験

こないだ「機能的イメトレはモチベーションアップの効果が高いよー」みたいな話を書きました。くわしくは当該のエントリをお読みいただければ幸甚ですが、簡単に言うと、

 

  • 自分が目指す目標のプロセスや、その過程で味わうだろう障害をくわしくイメージしておく

 

みたいになります。この作業を行うと行わないでは、ゴールの達成率がかなり変わってくるみたいなんですよね。

 

 

でもって、新しいデータ(R)もまた同じ手法の効果を調べたもので、こちらは「機能的イメトレはダイエットに効くか?」ってのがテーマになってます。

 

 

実験デザインはシンプルで、141人の男女を2グループに分けてます。

 

  1. 機能的イメトレのトレーニングを受ける
  2. 動機づけ面接のトレーニングを受ける

 

「動機づけ面接」も個人のモチベーションアップに欠かせない手法で、こちらも詳しい手法については前回のエントリをご参照ください。

 

 

ここで行われた機能的イメトレの方法を、研究チームは以下のように説明しておられます。

 

私たちはまず、レモンについてのエクササイズを行った。レモンを見て、触って、果汁を搾って、果汁を飲んで、果汁が目に入った場面などを詳しく想像してもらうことで、イメージがいかに感情を呼び起こし、身体的な感覚と密接に結びついているかを実体験させたのだ。

 

次に、ダイエットの想像をしてもらったが、ここでは「痩せたらどんなにいいか想像してみてください」といった指示ではなく、「痩せたら、どんな新しいことができるようになると思いますか? その新しいことはどんな体験なのか? どんな音がするのか? どんな匂いがするのか? などを、五感をフルに使って考えてみましょう」と指示した。

 

ダイエットの達成により周囲から褒められたり、いままでできなかった運動ができたりなど、成功後のイメージを五感に訴える形で思い描いてもらったわけですね。

 

 

すると、6カ月後の結果はやはり機能的イメトレの圧勝でして、比較グループが約700gの減量にとどまったのに対し、イメトレグループは約4.5kgもの減量に成功したそうだ。この差は1年後にも確認されてまして、イメトレグループが約6.5kgの減量に成功したのに対し、比較グループは約700gの減量にとどまったままだったそうな。

 

 

ちなみに、この研究に参加した人たちは、特別な運動やダイエットをしたわけではなかったそうで、これはなかなかの結果ですな……。

 

 

さらに研究チームいわく、

 

体重を減らすためには、食事量を減らし、運動量を増やす必要があることは多くの人が認めるところだが、多くの場合、そのアドバイスを実行するだけのモチベーションが得られないのが現状だ。

 

そこで機能的イメトレでは、自分にとっての変化をイメージし、それをどのように達成し、困難に直面しても継続できるかを考えてもらうことを重要な目的としている。

 

とのこと。どうやら機能的イメトレはいろんな目標達成に幅広く使える優秀テクニックみたいなんで、なんらかのゴールを達成する前に試すといいかもっすねー。

 

 

 

うまくいくカップルはアレがよく似ている

カップルがうまくいく原因はいろいろありましょうが、新しい研究(R)では、「お金に対するリスクの感覚で、パートナーが離婚するかどうかを予測できる!」みたいな話になっておりました。

 

 

これはドイツで暮らす5,300組の夫婦を調べた研究で、「お金へのリスク選好」について尋ねたんだそうな。例えば、「借金についてどう思うか?」とか「危険な投資についてどう考えるか?」みたいなことっすね。

 

 

その結果なにがわかったかと言いますと、

 

  • お金のリスク選好がかけ離れた夫婦ほど離婚する可能性が高い

 

だったそうです。パートナーの一方はお金でリスクを取りたいタイプなのに、もう一方のパートナーがお金に慎重だった場合ほど夫婦間の摩擦が生じ、別居のリスクが高まるって話ですね。。

 

 

一方で、パートナーのどちらともが「お金はリスクを取るものだ!」と思ってる場合は、一緒にいられる可能性が高くなるそうで、やっぱある程度まで好みが似てないと、夫婦関係を長く続けるのは難しいのかもしれんですなー。

 

 

研究チームいわく、

 

お金でもめて離婚に進むことはよくあるが、このような喧嘩の主な原因はリスクへの態度の違いにあると考えられる。お金へのリスク選好は、家族のための住宅などの投資決定を左右するからだ。

 

配偶者のリスク選好が異なる場合、結婚生活における共通の、そして非常に重要な投資について意見が合わないことが多いだろう。

 

とのこと。お金への態度は人生の重要な場面に関わるので、それだけに大きな喧嘩のもとになりやすいわけっすね。

 

嗜好の同化は、結婚生活の中での対立を解決するメカニズムになるかもしれない。オンラインの出会い系サイトでは、最適な相手を見つけようとするアルゴリズムが設計されているが、このようなサービスが、リスクの考え方が似ている者同士をマッチングしてくれれば、カップルの関係性を長期化する役に立つかもしれない。

 

ってことで皆さまも、長期的なパートナー選びの場面においては、お金への選好を確認しといた方がいいかもしれません。

 

 

 

幸せな子供を育てるためには、両親はアレをせよ!

子供のメンタルを健やかにする秘密はこれだ!」みたいな話(R)が出てたのでメモっときます。これは256人の大学生を対象にした調査で、

 

  1. みんなに対して「子供時代にポジティブな感情とネガティブな感情の両方に対して両親がどのように反応したか?」を尋ねる(例えば、「子どもの頃に悲しいことがあったとき、あなたのお母さんやお父さんは何をしましたか?」みたいな質問をした

  2. 上記の質問の答えを、みんなのメンタルの状態と比べる

 

といった感じの観察研究になってます。そんな厳密な内容ではないものの、得られる結論は参考になりましょう。

 

 

さて、分析の結果どんな結論が出たかと申しますと、

 

  • 親が子供も感情表現をサポートすると、若年になってからの鬱や不安症が減少する

 

  • 良いことや悪いことがあった際に、親が子供の話を聞いてくれたり、慰めてくれたり、問題解決を手伝ってくれた場合、子供はより幸せに育つ傾向がある

 

  • 感情表現をサポートする親に育てられた子供は、心に余裕ができ、注意力をコントロールする能力が高まり、自分自身や世界に対してよりオープンで受容的な傾向もあった

 

ということで、「子供の話を聞く」「子供に安心感を与える」「子供の問題解決を助ける」というスキルを持った親に育てられた子供は、長じてからも非常に幸福なんだ、と。私の場合は、かなり感情を抑えつけようとする父親に育てられたんで、こういう両親のもとで育った子供はいいっすねぇ。

 

 

研究チームいわく、 

 

親が子どもの感情を受け入れ、判断せずにサポートするような対応を行うと、子供は自分の経験をより受け入れられるようになる。一般的に、子供の感情に関心を持ち、それを共有することを奨励する親に育てられた人は、感情に対処するためのスキルが高いことがわかった。

 

とのこと。要するに、親が子供の感情をサポートしてやると、子供がマインドフルに育つ傾向があるわけっすね。こ、これはうらやましい……。

 

 

そんなわけで、いま子育て中の諸兄におかれましては、ぜひ子供の感情表現をサポートを心がけてみると良さそうですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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