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紫外線を25分を浴びるだけでも男性ホルモンがドバドバ? 恋愛感情が高まる? みたいな話


  

紫外線を浴びると恋愛感情が高まる!」って話(R)が「Cell report」のカバーストーリーに掲載されてておもしろかったんでメモ。これはテルアビブ大学の研究で、まずはチームの問題意識を見てみましょうー。

 

過去の研究によれば、紫外線によって男性のテストステロン値は上昇する。さらに、日光が性行動とホルモンの両方の調節に大きな役割を果たしていることもわかってきた。

 

しかし、この調節のメカニズムはまだ不明であり、その詳細を解明するのが本研究の目的である。

 

これまでの調査でもすでに「紫外線がヒトの恋愛感情に影響するのでは?」みたいな話は出てたんだけど、なんでそういう現象が起きるのかを確かめたわけですね。

 

 

実験では動物とヒトの両方を使ってまして、概要はだいだいこんな感じです。

 

  • 動物実験では、マウスにUVB(波長320〜400ナノメートルの太陽光線)を照射したところ、メスのホルモンレベルが大幅に上昇し、卵巣が拡大し、発情期が長くなり、さらにはオスとメスのあいだで性交渉の回数が増加した

 

  • 次の動物実験では、マウスの皮膚からp53というタンパク質を取り除いた(p53はDNAの損傷を識別し、太陽光を浴びる際に色素を活性化して、その悪影響から身を守る働きをするタンパク質)。すると、p53を取り除かれたマウスはUVB照射による性行動への影響がなくなった

 

  • 32人のヒト男女を対象にした研究では、恋愛の情熱と攻撃行動に関するアンケートに回答するように指示。その後でUVBの照射セラピーを行なったところ、男女ともに恋愛の情熱が高まり、男性は攻撃性のレベルが高まった

 

  • また、ヒトの男女に2日間ほど日光を避けるように指示し、その後で25分にわたって日焼けしてもらったところ、やはり男女ともに恋愛の情熱が高まり、男性は攻撃性のレベルが高まる傾向が見られた


  • 血液検査をしてみたところ、日光を浴びた男女はテストステロンなどのホルモンが前日よりも多く分泌されるようになり、夏場ほどテストステロンが上昇する傾向があらためて確認された

 

ってことで、要するに人体の日焼けに関わるシステムが、実は人間の性欲や恋愛感情をコントロールしてるんじゃないか?って可能性が示唆されたわけっすね。わずか25分間の日焼けでテストステロン値が上昇するってのは、なかなかすごいもんですね。

 

 

研究チームいわく、

 

皮膚には、太陽光からの放射線に対処するためのさまざまな仕組みがあル。その一つがp53タンパク質だ。

 

紫外線を浴びる行為は危険であり、皮膚癌のようにDNA損傷をもたらす可能性がある。そのため、DNAの損傷を防ぐために、私たちの皮膚には、太陽光の照射に応じて活性化する2つのプログラムが組み込まれている。それは、DNA修復システムと、浴びた程度に応じた色素沈着、すなわち日焼けだ。

 

この2つのシステムを活性化することで、p53タンパク質はDNA損傷のレベルを調節しているが、今回の研究では、同じシステムが性欲や繁殖の内分泌システムも活性化することを発見した。

 

とのこと。もちろん、日焼けそのものは皮膚の老化をもたらす最大の原因ながら、一方では太陽光を浴びる行為には大きなメリットがあるのが難しいところ。そこらへんのバランスは個人的にも悩みどころで、私も夏場は必ず日焼け止めを使ってるわけですが、「室内にこもりすぎるのもアレだよなーとか思っております。

 

 

一応、2015年に「パレオダイエットの日光浴ガイドライン」みたいなものを書いてまして、とりあえずこの考え方を守る感じでやってますけど、夏場の旅行とかは紫外線のコントロールが難しいんすよね……。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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