「厳格なダイエット」と「ゆるいダイエット」はどっちが効果的なの?を調べた実験の話
「厳格なダイエット」と「ゆるいダイエット」はどっちが有利?みたいな調査(R)がおもしろかったんで、内容をメモっておきましょう。厳格なダイエットってのは、事前に「これは食べてよし!これは食べちゃだめ!」ってのを細かく決めておき、ひたすらその内容を守り続けるタイプの減量法っすね。
これのどちらがいいかは議論が分かれるところでして、
- 厳格なダイエットの方がルールな明確なぶんだけダイエットがはかどるのだ!
- 厳格なダイエットは摂食障害につながるから良くない!余裕を持たせた方がいいのだ!
といった意見に分かれてるんですよ。確かにどちらの意見もわかる気がしますねー。
そこで研究チームは、23人の男女を集めて20週間のダイエット実験を行ってます。参加者は健康で若くて筋トレ好きの人だけをそろえて、ベースライン時の体脂肪は平均19~24%だったとのこと。別に肥満でもなんでもない男女を対象に、いろんな種類のダイエットの効果をチェックしたわけっすな。
具体的な実験の進め方としては、参加者には体重維持に必要な量よりも25%少ないカロリーを摂取するよう指示したうえで、
- 最初に10週間は厳格なダイエットを実施:参加者に詳細な食事計画を記したメニューをわたし、果物、野菜、赤身の肉、ナッツなどの健康な食品だけを食べてもらう
- 続く10週間はゆるいダイエットを実施:三大栄養素の目標値と食べるもの選びに役立つ電子書籍(The Beginner's Guide to Macros by Sohee Lee)をわたして、摂取カロリーだけ守って好きなように食べてもらう
って感じだったそうな。どちらの食事も、タンパク質の摂取量を体重1kgあたり2gに固定し、残りのカロリーを炭水化物と脂肪に均等に割り当てたとのこと。そのうえで体脂肪や安静時代謝を測定し、さらにはみんなのメンタルの変化もチェックしたんだそうな。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、結果はこんな感じになりました。
- ダイエット期間中、自己申告によるカロリー制限は両群とも約20%(「ゆるい」:-20%、「厳格」:-17.7%)であり、両グループの食欲などに変化はなかったと思われる
- 10週間のダイエット期間中、筋肉量、脂肪量、体脂肪率についてグループのあいだで差はなく、どちらとも約3kgの体重減少が認められた(つまり、どちらのダイエット方法でも主に脂肪が減ったことに成功した)
- ゆるいダイエットグループは筋肉量が増加し(+1.7kg)、減額ダイエットグループでは筋肉量が減少した(-0.7kg)が、結果には多くのばらつきがあったため、これらの平均値はあんま深刻に受け取らないほうが良いかも
- ダイエット期間中、参加者の空腹感や食欲コントロールには変化がなく、安静時代謝率にも違いは見られなかった
ということで、ダイエットが厳格だろうがゆるかろうが、体型や空腹感についてはグループ間に差が認められず、どちらのダイエット法でも同じように体脂肪が減るからいいんじゃない?みたいな結果になってますね。
惜しむらくは、この研究って「ゆるいダイエット」グループが食べた食品の具体例を報告していないので、「厳格ダイエット」グループとの比較が難しいんですよねー。そこが公開されてれば、もうちょい判断もしやすかったんですが……。
あと、上記のデータを見て「ゆるいダイエットの方が筋肉が増えるんだ!」と思った方もいるかもですが、ゆるいダイエットグループは、ダイエット後の段階で25%多くの筋トレをしてまして、これが筋肉量の有意差につながっているのかなーって感じではあります。なので、ゆるいダイエットの筋肉量アップには期待しない方が吉。
ってことで、今回の研究結果を見る限り、
- ゆるいダイエットと厳格なダイエットはどちらも同じぐらい体重が減り、その体重減少の大部分は体脂肪からきたものだと思われる
- どちらのダイエットでも、体組成やダイエット中のメンタルへの影響に優劣はないっぽい
って感じでしょうか。まぁ、この研究にはいくつかの方法論的な問題がありますんで、しっかりした結論を出すのは難しいし、多くの結果が検証されたため偽陽性が生じた可能性もあるんですけど、個人的には、
- 摂取カロリーをちゃんと減らして、タンパク質をガッツリ取れてれば、厳格でもゆるくてもあんま関係ないのかな〜
って印象を持ちました。私は厳格なスタイルの方が取り組みやすいんですが、ここらへんは好きな方を選べば良いのかもですな。