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「自分はできる!」って気持ちを高めて自分を変える方法の話「変わる方法(How to Change)」

 

以前に取り上げた変わる方法(How to Change)」って本は、有名行動科学者のケイティ・ミルクマン先生が「いかに前向きな変化を起こすか?」をまとめた有用な1冊。ここんとこ、いくつかのシリーズに分けて、そのポイントをまとめております。

 

 

で、前回は「リマインダー」についてチェックしてみましたんで、今回は「習慣化」と「自己効力感」について触れたパートをメモしておきます。確かに、どちらも「変化」を起こすには欠かせないとこっすねー。

 

 

 

▼習慣化のポイント

  • 自分を変えたいなら習慣にせよ!とよく言われるが、これは紛れもない真実。習慣とは「脳のデフォルト設定」であり、意識しなくても実行できる反応を意味する。脳科学の研究によると、いったん習慣が身につくと、脳の中で推論に使われる部分(前頭前野)の働きが少なくなり、行動や運動の制御に使われる部分(大脳基底核や小脳)に頼るようになる。

 

  • 特定の行動を習慣にするにはその行動をくり返すしかないが、「つねに決まった時間に決まった行動をする」と「ある程度の柔軟なスケジュールで特定の行動をリピートする」パターンを比べると、両者の効果には違いがある。Googleの社員に「ジム通い」の習慣を身につけさせたテストでは、「常に決まった時間に行動した社員」は、「柔軟スケジュールで行動した社員」よりも、いつもの時間にジムに通う回数が少しだけ増えていた。

    ただし、「常に決まった時間に行動した社員」は、実質的にその時間にしか運動しない習慣を身につけてしまったため、状況の変化にめちゃくちゃ弱くなっていた(つまり、いつもの時間にジムに行けなかった場合は、それから別の時間に運動しようとはしなかった)。一方でより柔軟なスケジュールで運動を続けた社員は、他の時間帯もたくさん運動するようになった。

    以上のことから、どんな状況であっても柔軟に目標の行動を行う方法を見つけ、それをやり遂げた自分にご褒美を与えるように設定した方が、最終的な習慣はさらに強くなると考えられる。

 

 

 

▼自己効力感のポイント

  • 自分を変えられない人に多いのが「自己効力感」の欠如。自己効力感とは、自分の行動やモチベーション、状況をコントロールする能力に対する自信を意味し、これがない人は、そもそも目標を設定しようとすらしない傾向がある。

    例えば、「自分の発言が人に評価されない……」と思っている人は、そもそも会議で発言しようとはしないはず。実際の研究でも、「自分には変化する能力がない……」と思っている人ほど変化できない事実は何度も確認されている。

 

 

  • そこで、自己効力感をアップさせるためにおすすめなのが、「同じような目標を持つ人にアドバイスをする」方法。フロリダ州の7つの高校に通う約2,000人の生徒を対象にしたテストでは、そのうち半数の生徒に「勉強や宿題に悩む後輩たちにアドバイスをしてください」と指示したところ、ほんの10分ほどアドバイスをしただけで、その生徒たちは他の生徒よりも成績が改善していた。

    この”アドバイス効果”はあらゆる生徒に見られ、勉強が得意な生徒、苦手な生徒、貧しいの生徒、裕福な家庭の生徒など、すべての学生の成績が向上した。

 

 

  • 他人へのアドバイスに効果があるのは、誰かに助言をすることで「私は他者から期待されている」という感覚が生まれ、これが自信につながっていくから。

    と同時に、他人にアドバイスをした後は、「自分でも同じことをしないと私は偽善者だ!」という気分が生まれるのも大きい。いわゆる認知的不協和が関係してまして、誰かに何かを言った後は、自分もそれを信じる可能性が高くなる。

 

 

  • この手法を現実に活かすには、自分と同じような目標に向かって努力している仲間を探して「アドバイスクラブ」を作ってみると、お互いにアドバイスをし合うことで全員が自信を持ち、問題解決のアイデアを見つけることできまるはず。

    また、もうひとつシンプルな方法として、困難に直面したときにアドバイスを裏返してみるのも良い。具体的には、「もし友人や同僚が同じ問題に悩んでいたら、私はどんなアドバイスをするだろうか?」と自問してみる。このような視点を持つことで、同じ問題に自信と洞察力を持って取り組むことができるようになる。

 

 

ってことで、今回は「習慣化」と「自己効力感」について見てみました。「習慣化」に関しては、本書ではもっといろんなことが書かれていたんですが、わりとよくある内容だったのでざっくり割愛しております。興味がある方はぜひ本書をご参照ください。

 

 

また、「自己効力感」で出てきた「他人にアドバイスせよ!」って話は、過去に「「やる気が出ない!」を解決するには他人にアレをするといいよ!みたいな研究」ってタイトルで、さらに詳しく実験内容を紹介してたりします。こちらも合わせてお読みいただくといいかもしれません。ではまたー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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