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目標を達成したいなら「フレッシュスタート効果」を使わない手はないでしょう!みたいなペンシルベニア大学の提案

 

変わる方法(How to Change)」って本を読み終わり。著者のケイティ・ミルクマン先生はペンシルベニア大学の行動科学者で、意思決定と判断力の専門家であります。これまでに、Googleyたアメリカ国防総省に向けて、「いかに前向きな変化を起こすか?」を教えているすごい人とのこと。

 

 

もちろん本書も「いかに自分を変えるか?」がテーマになっていて、「運動する」「貯金する」「英語を勉強」といった目標を続けるため、効果が高めな手法をいくつも紹介してくれてます。なかでも博士がおすすめしてるのが「フレッシュスタート効果」で、すごーくざっくり言えば「特別な日から始めると習慣が続くよ!」みたいな話です。

 

 

フレッシュスタート効果の効果は過去に何度も確認されてきた現象で、このブログでも、

 

 

みたいな話を過去に取り上げたことがありました。他の曜日に比べて、「月曜日」は「新しい週の始まりだ!」みたいな印象が強いんで、そのぶんだけ新たな気持ちでものごとに取り組みやすいみたいなんですよね。めちゃくちゃ単純な心理ですけど、この効果を使わない手はないと申せましょう。

 

 

で、本書でも「フレッシュスタート効果」に関する研究がいろいろ取り上げられてて、個人的に勉強になったポイントはこんな感じです。

 

  • 「フレッシュスタート効果」は、本人が「新しい日だ!」とさえ思えば得られる。1月、週の初め、学校が休みの日、新学期の初め、誕生日の後などでも、運動を始める日の割合が増加した

 

  • 博士自身の研究では、多くの人は、新年や自分の誕生日などは「やり直し」の心理を与えてくれると報告した。たいてい人は、新しい日は過去の失敗から距離を置き、別人として未来をやり直すチャンスを与えてくれる。つまり新しい日は、「過去に失敗したから、また失敗するのではないか……」という意識を克服する作用が大きい

 

  • もっともフレッシュスタート効果が大きくなるのは新年で、月曜日や月初めなどよりもはるかにデカい行動を与える。「節目」の感覚が大きければ大きいほど、過去の失敗と決別するきっかけになる

 

  • フレッシュスタート効果は「環境」を変えてみても得られる。例えば、新しいコーヒーショップやジムを探してみるなどが代表例である


  • さらには、「人生の変化」もフレッシュスタート効果をもたらす。例えば、昇進、引っ越し、病気などもまた、新しいことを始めるメンタルをもたらす

 

  • やや効果は下がるが、なんでもない日を特定の日として扱うのも効果がある。例えば、ある研究では、ある学生に3月20日を「春の始まり」と表現させ、また別の学生には「3月の第3木曜日」と表現させたところ、前者の方が目標達成のモチベーションが20〜30%ほど上がった 

 

というわけで、できれば新年に目標に取りかかるのがいいものの、そこまで待てなければ月曜でもいいし、月初めでもいいし、誕生日を使ってもいいし、なんなら適当な日を「生まれ変わりの日!」と名付けてもいいし、さらに言えば新しい勉強を知らないカフェで初めてもいいし、運動のために新たなジムを探してもいいし……ってことで、なかなか使い勝手のよい手法じゃないでしょうか。

 

 

が、そう言うと「新年の誓いって達成率が低いって聞くけど……」と思った方もいるでしょう。実際のところ、過去の調査でもアメリカ人が立てた新年の抱負の3分の1が1月末までに挫折し、最終的には全体で5分の4が挫折するなんてデータも出てたりするんですよね。こんな報告を見ちゃうと、確かに「フレッシュスタート効果」って意味あるの?って気にもなっちゃうわけです。

 

 

この問題について、博士はこう言っておられます。

 

ゲームに参加しなければ、ホームランを打つことはできない。私の意見では、新年の抱負は素晴らしいものだし、春の決意も、誕生日の決意も、月曜日の決意も素晴らしい。いずれにせよ、決意をするということは、自分自身をゲームに参加させるということだからだ。

 

新年の抱負に関する統計を裏返せば、毎年1月に設定される目標のうち20%が成功していることになる。あなたが人生を前向きに変えたいと思っているなら、再出発の機会を探すことだ。

 

ってことで、新年の誓いに失敗する人が多いのは確かだけど、それはあくまで「そもそも目標達成が難しい」から。確実に成功してる人もいるのだから、せっかくのフレッシュスタート効果を使わないのはもったいないでしょ!って話っすね。

 

 

いろいろ書いてきましたけど、話をまとめると、

 

  1. 「新しいやり直し」の効果は確実にあるから、手軽な方法として使っておきたい

  2. フレッシュスタート効果を使うのであれば、まずは「過去との決別を象徴するような日はないか?(誕生日や夏の始まり、あるいは単なる月曜日など)」「物理的な環境を変えることができるか?」と考えてみる

  3. 具体的な期日か場所が見つかったら、それに応じて新しい目標に取りかかる

 

みたいになります。かなり使い勝手が良い方法だと思いますんで、ぜひお試しをー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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