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ド定番の目標達成テク「リマインダー」を正しく使いこなすための5大ポイント

 

以前に取り上げた変わる方法(How to Change)」って本は、有名行動科学者のケイティ・ミルクマン先生が「いかに前向きな変化を起こすか?」をまとめた有用な1冊でありました。

 

 

前回は「コミットメント・デバイス」についてチェックしてみましたが、その続きで今回は「物忘れで変化が続かない問題 」について触れたパートをメモしておきます。というのも、私たちの多くが「習慣化ができない!」や「また悪癖に飲み込まれた!」って状態におちいってしまう原因のひとつに、

 

  • つい忘れてしまった!

 

みたいな問題があるからです。めちゃくちゃ基本すぎて今更考えもしない問題ですけど、「あ、運動に行くんだった」とか「そういえば本を読もうと思ってたんだっけ」みたいな事態は誰にでも心当たりがございましょう。

 

実際、ここ数年の研究でも「もの忘れ」は思ったよりも深刻で、

 

  • 平均的な成人は1日に3つのことを忘れている!(家事とか記念日とか)

  • 私たちは学んだ情報の半分近くを20分以内に忘れ、24時間後には約70%、1カ月後には約80%が失われてします!

 

といった事実があきらかになってたりします。当然のことながら、日々のタスクが増えるほどもの忘れの量も多くなりまして、「すべきこと」の量が膨大になっている現代人にはかなり重要なポイントだと申せましょう。

 

 

ではどうすればいいのか?ってことで、ミルクマン先生は以下のようなアドバイスを提案しておられます。

 

 

  • リマインダーは5分以内に設定すべし:もの忘れを防ぐためにリマインダーを使う人は多いでしょうが、タイミングを間違えるとほとんど役に立たないので注意が必要。ある研究によると、行動をリマインドしてから、その行動を実際に行うまでの時間が5分を超えると、私たちは何をすべきか忘れてしまう傾向がある。つまり、「運動をする」というリマインドを送るなら、実際にジムに入る5分前にリマインダーを設定しなければならない

 

 

  • 実行意図はやっぱり最強:このブログでもくり返し取り上げてる「実行意図」は、やっぱり本書でも定番テクとして紹介されておりました。要するに、「○○が起こったら○○をする」という形式で目標やリマインダーを設定するテクニックのことであります。「毎月の貯金を増やす」ではなく「昇給したら毎月の貯金を増やす」とか、「オンライン英会話にもっと時間をかける」ではなく「火曜と木曜の午後5時にオンライン英会話をする」みたいな感じっすな。 

    ちなみに、この方法が効果的なのは「実行意図を考えるためにはある程度の時間と労力が必要だから」で、その分だけやりたいことが記憶に深く刻まれていくのが大きいらしい。実行意図はもの忘れ対策にも有効なわけですね。

 

 

  • 実行意図はキャッチーで記憶に残りやすいものと組み合わせる:その昔、「トイストーリーのキャラを使ったリマインダーで、目標の達成率が格段に上がった!」みたいな研究を紹介しましたが、実はこの実験、ミルクマン博士によるものだったりします。つまり「ちゃんとクーポンを使う」という文字だけのリマインダーよりも、三つ目の宇宙人をリマインダーに使った方が脳に残りやすく、計画を思い出すのに役立つわけですな。

    この事実を考えると、たんに「ジムに行く」みたいなリマインダーを設定するだけではなく、「好きなキャラの画像」とか「子猫の映像」とかと組み合わせると、さらに記憶が残りやすくなるはずであります。

 

 

  • プランニング・プロンプトを使う:プランニング・プロンプトは実行意図の変種バージョンで、やりたい行動の手がかり(時間、場所、行動)を意識的に設定する形で行います。たとえば、「運動をしたい!」って行動を習慣にしたい時は、

    1. 何時に運動をする予定か?
    2. どこで運動をする予定か?
    3. 運動の直前には何をしているか?

    といった質問を自分に投げてみればOKであります。これもまたプランニングに時間と労力を使うので、脳に情報を刻み込む効果があるわけです。

 

 

  • 行動が複雑な場合はチェックリストに落とし込む:「運動する」ぐらいシンプルなタスクなら問題はないんですが、「企画書を作成する」レベルの複雑なタスクになると、「実行意図」だけではうまく効果を得られないことがあります。「企画書」ってタスクには、「情報を集める」「アウトラインを作る」「同僚のチェックを受ける」みたいに複数の行動がふくまれるんで、たんにプランニング・プロンプトを作っただけだと「やることが多すぎる!」って心理状態になりがちなんすよね。

    ってことで、ひとつのタスクに複数の行動がふくまれる場合は、すべての行動をシンプルなチェックリストにしておくのが吉。「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」でも示されたとおり、単純なチェックリストを使うだけでも生産性と収益が大幅に向上することが示されてますんで。

 

 

ってことで、今回は「リマインダーをいかにうまく使うか?」がメインの話でした。「実行意図」については「最高の体調」でも取り上げてますし、個人的にも愛用してきた手法ですが、あらためて勉強になりましたねー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。