【質問】あらゆる不調の改善に役立つ(かもしれない)『酪酸』をガッツリ増やすにはどうすればいいですか?
こんなご質問をいただきました。
鈴木さんのブログには、よく酪酸が出てきますよね。これが体に良いのはわかったのですが、腸内の量を増やす方法にはどのようなものがベストなのでしょうか?
ということで、体内の酪酸レベルを上げる方法とは?というご質問です。
簡単におさらいしておくと、酪酸ってのは短鎖脂肪酸(SCFA)の一種で、腸の防御力を高める働きを持っております。腸内細菌にちゃんとご飯をあげることで生み出されまして、酪酸は最も研究が進んでいる短鎖脂肪酸なんですな。
いまの時点で、酪酸にどんなメリットが見つかっているかと言いますと、
- 免疫が調整された結果として炎症が減る(R)
- 炎症が減った結果として睡眠の質が高まる(R)
- 睡眠の質が高まったおかげで気分もよくなる(R)
といったあたりが報告されております。こうして見ても「研究例が多いなー」って印象でして、できるだけ増やしていきたい物質なんですよ。事実、酪酸が少なすぎる人は、がんや代謝性疾患、認知力や記憶力の低下が起きやすいって報告も多いですからね。
では、酪酸を増やしまくるにはどうすればいいかってことで、基本的な方法は以下のようになります。
方法1.プレバイオティクスが豊富な野菜と果物を食べる
酪酸を増やすためには、いまのところは善玉の腸内細菌(酪酸を産生する細菌)に、良い食物繊維をあげてやるのが基本中の基本。いろんな種類の野菜を食べるほど、酪酸を産生してくれる菌の種類も豊富になりますんで。
そのためには、カラフルで低糖質な果物、繊維が多めの野菜、ナッツ類、種子類、豆類などを摂取しまくりましょう。ほとんどの酪酸は発酵性の食物繊維から作られるんで、植物繊維が豊富な果物や野菜は酪酸を作るうえでも王道となります。
食物繊維が多ければなんでも良いですが、特に良く名前が上がるのは以下の食材です。
- アーモンド
- アスパラガス
- チコリの根
- 柑橘類全般
- 濃い葉物野菜全般
- タンポポ葉
- エンダイブ
- キクイモ
- ヒカマ
- キウイ
- ネギ
- マッシュルーム
- タマネギ
- 山芋
方法2.レジスタントスターチを集中爆撃する
酪酸を作り出すためには、レジスタントスターチを増やすのが2番目の基本。レジスタントスターチは大腸に移動してゆっくりと発酵し、酪酸の産生を促しやすい傾向があるので、短鎖脂肪酸を増やしたいときには特に役立つんですよ。
レジスタントスターチは、以下のような食材に豊富なんで、意識して食べてみていくださいませ。
- レンズ豆
- 黒豆
- インゲンマメ
- ひよこ豆
- 青くて熟していないバナナ
- タイガーナッツパウダー
- アーティチョーク
- ニンニク
- 玉ねぎ
- アスパラガス
- リンゴ
- アプリコット
- ニンジン
- さらに、以下の食品は、熱を加えてからいったん冷ますとレジスタントスターチが増えますんで、こちらもお試しください。
- オーツ麦
- 豆類
- 米
- ジャガイモ
また、宣伝になっちゃいますが、私が監修した「腸ハイブリッド・プロテイン」も、酪酸の産生につながりやすいレジスタントスターチがたっぷり入ってますんで、お試しいただきたいところです。
方法3.酪酸をふくむ食品を摂取する
なかには自然に酪酸を含む食品もありますんで、こちらを食べてみるのもアリです。ただし酪酸をふくむ食品は乳製品がメインなので、できるだけ高品質のものを選ばないと、悪い脂質のとりすぎで逆効果になっちゃう可能性もありますんでご注意ください。
- 牛乳
- バター
- パルメザンチーズのような硬いチーズ
- ギー
- 羊乳
- ヤギ乳
- 赤身肉
- ザワークラウト
このなかだと、バターが最も酪酸の量が多く、バターに含まれる飽和脂肪の約11%は短鎖脂肪酸に由来すると言われております。そのおよそ半分が酪酸で占められていたりします。まぁそんなにバターを食べるわけにもいかないので、結局はそこまで摂取できないかとは思いますが……。
方法4.酪酸サプリを使ってみる
サプリメントとして酪酸を摂取してみるのも、一部の専門家がおすすめする手法のひとつ。有名な酪酸サプリには、以下のようなものがあります。
もちろん、自分の腸内細菌に栄養を与えて、できるだけ多くの酪酸を摂取するのが理想ですだし、残念ながら現時点では酪酸サプリメントのメリットはまだ研究が進んでいないので、そこは覚えておいてくださいませ。