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【質問】家庭でできる腸内環境テストって意味がありますか?

 

 

こんなご質問をいただきました。

 

腸内環境が悪い気がするので、市販の腸内検査キットを試してみようかと思っています。でも、たくさんキットがありすぎて、どのキットを選ぶべきかわかりません。おすすめはありますか?

 

ってことで、近ごろよく見かける「自宅で腸内細菌をチェック!」みたいなサービスは、どれを選ぶべきなのかってご質問です。腸内細菌を調べるサービスは、私もいくつか使ったことがありますんで、その体験もまじえつつ私が思っていることをお答えしてみましょう。

 

 

で、現在、家庭用の腸内チェックサービスの多くは、ユーザーの腸内細菌を調べてお腹のトラブルを解決するのに役立つアドバイスを提供してくれるものが多め。自宅で便を採取してラボに送り、細菌、ウイルス、酵母、寄生虫を検査したり、腸内フローラにもとづいて病気の発症リスクを調べたり、食物過敏症の有無をチェックするものもありますね。

 

でもって、この手のサービスについて、私がどんな感想を抱いているかをまとめると、以下のようになります。

 

  • 会社によって報告が違うじゃん!:いままで4つほどのサービス(名前は挙げませんが)を試してみたところ、会社によって結果が違うことが普通にあった。たとえば、A社では「あなたの腸内環境は健康長寿の人に多い!」と言ってきたかと思えば、B社は「糖尿病のリスクがあります!」と言ってきたり、C社は「大腸がんになりやすい!」と言ってきたりと、サービスごとに病気のリスクがバラバラだったりする。

    そのため、出してくるアドバイスもバラバラなことが多く、ある会社は「糖質を控えよう!」と言い、また別の企業は「睡眠が足りてないかも」と言い、さらに別のサービスは「よく嚙みましょう」とか言ってきたり……みたいな感じ。

 

 

  • 腸内の明確な判断基準ってなくないか?:上の話に関係する話ですが、そもそも現時点で「どんな細菌がどんな健康状態と関係しているのか?」ってところがまだわかっていない(R)。健康な人の腸内環境には大きなバリエーションがあるため、ある腸内環境が他の腸内環境より優れていると断言できような基準は、いまのところ何もない。

    なので、「この腸内環境を持つ人は健康ですよ!」って基準ができるまでは、家庭用の腸内検査キットが役に立つとは思いづらい。

 

 

  • 腸内環境なんて常に変化してるでしょ:腸内環境は、食事・運動・睡眠の改善によって割と簡単に変わっちゃうし、逆に言えば、ちょっとライフスタイルがダメになっただけでも悪い方向に向かうので、腸内環境テストを受けたところで、「便を取った日の腸内環境がどうだったか?」のスナップショットしか得られない可能性がある。なにせヒトの腸内環境ってのは、食事を変えてから24時間から48時間以内に変化するレベルなので。さらに言えば、ストレスでも腸内環境が変わる可能性もあるので、検査結果は週ごとに変わっちゃうかもしれない。

  • これらの検査がFDAの承認を受けていないのは、ここらへんの問題も影響しているんじゃないかと思う。

 

 

  • そもそも腸内細菌って、何が何だかまだわかってなくないか?:最後にもうひとつ、現時点では、お腹の問題を引き起こすかもしれない細菌については、科学的な解明はまだあんま進んでいないのが現状。私たちが正確に特定できる腸内細菌は、全腸内細菌の10%から15%に過ぎないと言われている。

    私たちの腸内に存在する細菌種の大半はまだ明らかになってないし、これらの細菌の50~90%は培養できないので、実験室で特定するのも困難を極めているはず(R)。

 

 

というわけで、大事なポイントとしては、いまのところ腸全体の健康レベルを評価するためのちゃんとした基準がないので、となればちゃんとした検査もしようがないはずなんですよね。

 

もちろん、感染症などのせいでお腹の調子が崩れているときは、ジアルジア、カンピロバクター、ピロリ菌など特定の細菌の検査をするのには意味があります。食餌療法の一環としてGIマップやSIBO検査を定期的に行うのも悪いことじゃないでしょう。

 

が、いまの研究を見てみると、腸内環境をもとに病気のリスクを判断したり、それを使ってライフスタイル改善のアドバイスをするようなことは、世界最高レベルの学術機関でもできないはず。アンチエイジングのためには健康的な腸内環境をたもつのが重要なのは間違いないものの、残念ながら、いまのところは家庭でできる腸内環境テストに賛成するほど根拠はまだないよなーって感じです。

 

そんなわけで、現時点では、家庭でできるテストはほっといて、腸内に良さそうなライフスタイル改善を片っ端からやってみるしかカナいんじゃないでしょうか。どうぞよしなに。


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