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古い生産性アップ法はもう捨てよう!現代の生産性向上とはこれだ!って本を読んだ話

 

超効率(Hyperefficient)』って本を読みました。著者のミトゥ・ストロニさんは、ケンブリッジ大学で医学を学んだ神経科学研究者だそうで、現在は複数の企業に対してストレス管理に関するアドバイスを行っているらしい。

 

で、本書は「現代における“効率性”って昔と違ってない?」ってのがテーマで、現代人が考える“効率”は賞味期限が切れているケースが多いから、今の環境に適した内容に変えようねーって話が展開されております。この問題意識には、確かになるほどって感じでありました。

 

ってことで、いつものように本書から勉強になったところをまとめておきましょうー。

 

 

  • 「生産性を高めたい!」と願う人は多い。しかし、生産性アップのために多くの人が使う戦略のほとんどは、大量生産の時代に生まれたものである。言い換えれば、頭よりも手を使うほうが重要だった時代に生まれた手法が、いまだに使われている。

  • 一方で、現在の自動化とAIの時代においては、手よりも頭の価値が増している。頭脳は筋肉とはまったく異なる方法で働くため、組み立てラインで良いアイデアは出せないし、作業のスピードを上げても良い思考は生まれない。

 

  • かつては「仕事の効率」とは、1時間あたりに大量の製品を生むことを意味した。しかし、この考え方は、部品を組み立てて製造する製品が主流だった時代に生まれたものでしかなく、今日の知識労働では、ソリューションやデザインといった無形の製品が主流となっている。

    このような仕事をする場合、単に生産量を増やすだけでは効率的とは言えないため、現代では製品の品質を磨くことこそが効率につながると言える。言い換えれば、平凡なアイデアを100個生み出すよりも、天才的なアイデアを1つ生み出す方が良い。

 

  • それにも関わらず、現代では生産性を量で測るケースが多く、長時間働いて大量の仕事をこなしたかに焦点を当てている。しかし、上述の理由から、現代では仕事の質に焦点を当てないと、本当の効率性は判断できない。効率は、アイデアの数や費した時間ではなく、アイデアの素晴らしさによって定義されるべきである。

 

  • 良いアイデアや解決策が生まれるのは、条件が整ったときだけである。特定の作業に最適な精神状態にしないと、良いアイデアは生まれない。

    私たちの精神は車のギアのようなもので、仕事の内容に合わせてギアを入れ替える必要がある。やるべきことに適したギアに変えてやれば、頭の働きは最高の状態になる。

 

  • 脳のギアを変えるには、以下のような方法がある。


    • 時間帯の効果を使う:私たちの注意力は正午から低下しがちなので、朝の方が集中力を要する作業に最適な精神状態になることが多い。午前中に会議を予定し、午後の早い時間に集中力が必要な作業を行うと、脳のギアは上手く切り替えられない。

      その代わり、午前中に集中力が必要な作業を行い、午後の早い時間に定例会議を行うと、脳が両方の作業に適した状態を維持できる。

      また、早朝(起床から午前9時または10時まで)と深夜(午後8時から10時頃、就寝まで)は創造的な思考に最も適しており、この時間帯は、脳内に浮かぶ雑多なアイデアを探すことに適している。そのため、朝の時間は脳を刺激するメールやソーシャルメディアは避け、ゆったりと思考をさまよわせるのが良い。


    • 「スプリント」で作業する:スプリントとは、一生懸命働いた後で、完全に作業を中断して休憩する時間を作る戦略のこと。具体的には、休憩を挟みながら60分から90分のスパンで仕事をするとよい。それ以上の時間を働くと、ほとんどの人は疲労を感じ、パフォーマンスが低下し始める。

      理想としては、最初の20分で最も困難なタスクに取り組み、残りの時間をより簡単なタスクに使い、最後に10分の休憩を取ることで、各90分のブロックを構成してみると良い。

      いずれにせよ、私たちの脳にとって望ましいのは、短い時間で集中的に働き、長い時間ほどほどに働き、それ以外の時間は軽く働くという、パワープールのような働き方である。

      現代の知識労働の職場では、連続して均一な作業を強いられるケースも多いが、これは「流れ作業」が当たり前だった時代の名残である。しかし、知識労働がますます複雑化し、精神的な負荷が増加し続ける状況では、パワープール的な働き方のほうが望ましいと言える。


    • プロセスにモチベーションを見出す:私たちの脳は、幸せでやる気に満ちた状態でないと、良いアイデアを生み出せないようにできている。しかし、多くの職場で使われてきた昔ながらの報酬(キャリアアップや昇給など)は、変化が激しい現代では徐々に無効になりつつある。

      というのも、現代の労働環境では、努力の成果が保証されていないからである。たとえば、苦労して新しい言語モデルを学んでも、習得した途端に時代遅れになるかもしれないし、数か月かけて解決した問題が、新しいテクノロジーの出現によりさらに大きな問題が生じるかもしれない。

      このような環境では、これまでとは異なるモチベーションが必要となる。ここでのモチベーションは、仕事の成果ではなく、仕事のプロセスから生まれるものでなければならない。

      そんなモチベーションを喚起する方法は、スキルや知識をできるだけ早く少しずつ吸収していくことである。このプロセスは「ラーニング・プログレス」と呼ばれ、非常に効果的なため、人工エージェントの動機付けにも利用されている。 ラーニング・プログレスを活用すれば、不確実性を乗り越えてモチベーションを維持することができる。


    • とにかく歩く:仕事で壁にぶつかったら、とりあえず散歩に出かけるのも良い。ウォーキングには、「適度に集中力を保ちながらも意識が浮遊する」という独特の精神状態に脳を切り替える力があるため、困ったらひたすら歩くのもあり。


    • 午後の昼寝を受け入れる:研究によると、体には12時間ごとに眠たくなるバイオリズムがある。そのため、多くの人は昼食後にエネルギーの落ち込みを感じる。この落ち込みが激しい時は、昼食後にタイマーを20分にセットしてうとうとしてみるとよい。その後、一時的にぼんやりするかもしれないが、それ以外はいつもの午後のエネルギーの落ち込みはなくなる。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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