歳を取るほど筋力と筋肉が減ってしまう問題を解決するシンプルな方法の話
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歳を取って体力や筋力が衰えるのは誰にでもある話。私も10年前に比べるとあきらかに筋力や体力は衰えつつありまして、「もうちょい負荷を上げないといかんか……」とか思っているところです。これは健康寿命や生活の質に直結するんで、どうにか対処しておきたいところです。
その点で、近ごろの研究(R)は、この問題にシンプルな解決策を提示してくれて良い感じでした。年を取っても健康的な筋肉を維持するために役立つ内容なんで、私と同じ世代の方は、チェックしておくと良いかもしれません。
この研究は、64~75歳の男女369名を対象にした試験で、みんな健康に大きな問題はなし。実験では、参加者を以下の3つのグループに割り振っております。
- ヘビーな筋トレグループ:
- 負荷:1回の最大挙上重量(1RM)の70%~85%ぐらいのハードさで筋トレをする
- 回数:1セットで6~12回繰り返すことを目安
- 実施頻度:週2~3回
- 主な運動:レッグプレス、チェストプレス、ニーエクステンション、ローイング、レッグカール、足底屈筋トレーニング、ヒップアブダクション、腹筋運動、背筋運動など。
- 中ぐらいの筋トレグループ:
- 負荷:1RMの50%~60%ぐらいの、そこそこのハードさで筋トレをする
- 回数:1セットで10~18回繰り返すことを目安
- 実施頻度:週3回
- 実施方法:エクササイズバンドを使用した筋トレ。
- なにもしないグループ
その際に、1年後、2年後、4年後の各時点で、すべての参加者の筋力や筋肉量、内臓脂肪量を測定して、これらのデータをもとにトレーニング効果を評価したところ、結果はこんな感じになりました。
- 筋力の変化:ヘビーな筋トレを1年行ったグループは、その後4年間にわたって脚の筋力を維持できていた。一方で、中ぐらいの筋トレグループと、トレーニングを行わなかったグループは、筋力が減少した。具体的には、以下の変化が観察された。
- ヘビーな筋トレグループ:筋力は変化なし(維持)
- 中ぐらいの筋トレグループ:筋力が約3%減少(p=0.28)
- なにもしないグループ:筋力が約7%減少
- 体組成の変化:筋肉の量についても、ヘビーな筋トレを行ったグループは、その後4年目まで筋肉量が減らずに維持された。一方で、中ぐらいの筋トレグループと、トレーニングを行わなかったグループには、以下のような減少が見られた。
- ヘビーな筋トレグループ:筋肉量に変化なし(維持)
- 中ぐらいの筋トレグループ:約0.4kgの減少
- なにもしないグループ:約0.5kgの減少
- 内臓脂肪量の変化:4年後において、ヘビーな筋トレを行ったグループと中ぐらいの筋トレグループの内臓脂肪量は、筋トレ前と比較して変化は見られなかったが、なにもしないグループは内臓脂肪量が8%増加した。
ということで、この結果を見ると、ハードな筋トレを1年やれば長期的に筋力と筋肉量が維持されるし、中ぐらいの筋トレでも糖尿病やメタボのリスクが低減する感じなわけですな。つまり、年を取れば取るほど、ハードめなトレーニングをしたほうが良いわけですな。
この研究を参考にすると、私のようなオッサンは、以下のようなポイントを心がけたほうが良いと思います。
- トレーニングの最適な負荷:高齢者が筋トレのプログラムを設計する際には、1セット6~12回を繰り返せる重量(1RMの70~85%)を使用し、休息時間は各セット間で1〜2分を取るのが良いかも。具体的に使うメニューは、以下のようなものがいいっぽい。
- レッグプレス(脚全体の筋力強化)
- チェストプレス(胸部・肩・腕の強化)
- ローイング(背中の強化)
- ニーエクステンション(大腿四頭筋の強化)
- レッグカール(ハムストリングの強化)
- カーフレイズ(足底屈筋の強化)
- ヒップアブダクション(ヒップ外転筋の強化)
- 腹筋運動(腹直筋・体幹の強化)
- 背筋運動(背中・体幹の強化)
- 片足立ち(バランス力強化):片足30秒ずつ、3回繰り返す。各セット間30秒
- ヒールトゥウォーク(バランスと歩行力強化):5メートルの直線を往復する。3往復で各セット間1分。
- ストレッチング(柔軟性の向上):各部位20〜30秒間伸ばす。1〜2セット
- 神経適応を意識したトレーニング:筋肉量の維持が難しい場合でも、ハードな筋トレを行うことで神経の適応がブーストして、筋力の維持を図れる。神経適応は筋肉量に依存しないので、筋力の維持や動作の効率性を目標とするトレーニングを行うことで、長期的に筋力を維持できるようになるっぽい。
ってことで、年を取れば取るほど、ちょっとハードめな筋トレを心がけてくださいませ。どうぞよしなに。