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歳を取ってから成功をつかむための『探索と活用』戦略


こないだR25さんのYouTubeに出させてもらいまして、「歳を取っても伸びる能力はあるし、良い仕事をする確率も別に低くならないよ!」みたいな話をしております。

 

 

まぁ、この動画では「歳を取ってから大金を稼げるか?」って話とはまた別の観点で語ってるんですが、近年の研究だと、実は起業家は歳を取ってからのほうが成功しやすい(だいたい45歳以降)ってデータもありますんで、その点でも、私のようなオッサンも安心していただければと。

 

でもって、その流れで、近ごろヘンリー・オリバーさんの「セカンド・アクト」って本を読んでいたら、「人生の後半で成功した人は何が違うのか?」って疑問についてまとめてくれていて良い感じでした。

 

その内容は、割と拙著「運の方程式」に似ていて、だいたい以下のような話が展開されておりました。

 

 

 

  • これは、コンピュータサイエンスの考え方である「探索/利用」のダイナミズムに似ている。つまり、最善の決断を下すためには、情報を集めること(選択肢を探索すること)と、知っていることを最大限に活用すること(その情報を利用すること)の間で適切なバランスを見つけねばならない!って考え方である。良い決断を下すためには、探索と活用のバランスをとる必要がある。

 

 

  • 上記の研究で重要なポイントは、探索と活用のどちらもがホットストリークに欠かせないという点だけではなく、“探索から活用への移行”こそが大きなインパクトを与えるという点である。 「探索→活用」の手順をふむ人ほど、最も生産的なアイデアを発見し、創造的な可能性を広げることができる。

 

 

  • ホットストリークを起こすためには、探索から活用に切り替える必要がある。この効果はキャリアの初期であろうと後期であろうと変わらず、キャリアの後半に切り替えても、同じ効果を得られる。

    ただし、探索のしすぎは危険なので注意されたい。探索をしすぎると、やがて飽きが生じ、新しい情報を発見できなくなり、面白く独創的な仕事をすることが難しくなる。

 

 

  • このような、探索から活用への移行は、遅咲きの成功者の人生にもよく見られるパターンである。

    遅咲きの人のほとんどは、最初に長く曲がりくねった道を歩み、基本的に無計画なままキャリアを進んでいく。その間に、どこかのタイミングで、適切な人々、適切な場所、適切な時間が組み合わさることによって、成功の機会を得る。

    このような、適切なネットワーク、新しい文化、個人的な変化、あるいはこれらすべての組み合わせが、「探索」の期間で得たバラバラの経験を、「活用」フェーズの集中したアウトプットに変える。これにより、探索から活用への転換が行われ、ホットストリークの状態が生まれる。遅咲きの人は、その時期が、たまたま同業者より遅かっただけだと言える。

 

 

  • つまり、キャリアの進歩とは、基本的にスムーズで着実なものではなく、断続的で途切れ途切れなのだと言える。探索の段階では、遅咲きな人のキャリアは休止状態か、一見バラバラのパーツで構成されたパッチワークのようなものに見える。そのため、ぱっと見は停滞し、方向性がなく、非効率的にすら見えてしまう。

    しかし、遅咲きの人は、探索の段階で特定の目標に向かって努力するのではなく、未知のこと、予期せぬこと、まだ明確になっていないことに備えている。活用フェーズに移動した時に成功をもたらすのは、たいていは明白なものでも、予想されたものでもないケースが多い。その時点で称賛されるアイデアや、最も人気のあるアイデアが、後で役に立つケースは実は少ない。

 

 

  • また、遅咲きの人は、たいていは探索の時点でニッチやチャンスを見つけている。この時点で運が向いてきたり、発見があったり、環境が変わったりして、なんらかのリソース、サポート、機会を得ることで、活用フェーズに移行するための準備ができる。これは、純粋に運の問題だと言える。

 

 

  • 「運の良さ」をもたらす要因の多くは、社会学者が言う「弱いつながり」である。これは、ほんの少ししか面識がない人を指す言葉だが、このような人たちとの広くて薄いネットワークを維持することで、ふと探索フェーズで得た情報が独自の意味を持ち始める。優れたネットワーキングとは、影響力がある人と仲良くなることではなく、私たちの探索を活用に変えてくれる人たちとつながることだと言える。

 

 

  • 探索フェーズにおける「個人の変容」は、別の文化に浸り、別の世界を体験し、周囲の環境を変えることで起こる。 新しい環境の中で、新しい考え方、生活、仕事のやり方を少しずつ試していくことで、私たちはチャンスの発生率を変えることができ、おそらく自分自身をも変えることができる。

 

 

  • 以上のような「探索→活用」の移行を行うためには、当然ながら、以下のパーソナリティ特性が必要になる。

    ・粘り強さ:遅咲きの人は、人生を無駄な些事に費やさず、自分の興味や野心に執着し、ひたすら追求を試みる。

    ・真面目さ: 遅咲きの人はまじめすぎることが多く、こだわりが強く、ときに風変わりで、気まぐれで、変人に見えがちである。 あまりにひたむきなため、周囲からは奇妙な人に見えたり、不快に思われたり、才能がないようにすら思われることもある。

    ・静かさ: 遅咲きな人は、自分の野心をたいてい秘密にし続け、自分の興味を静かに追求するケースが多い。そのなかで経験とともに成長を重ね、能力と自信を身につけていく。そのため、自分の能力が実際に何か特別な仕事に向いていると気づくタイミングも遅い。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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