ネガティブな性格をたった4週間で変える方法
性格を変える方法ってあるの?
「性格って変わるの?」 ってのは昔から定番のテーマ。心理学の世界でも議論が続いてるとこですけど、いまのところは、
ってあたりがコンセンサスかと思います。年を取るごとに神経症傾向が低下したりといった変化はあるものの、大筋では性格は変わらないわけですな。
そこで気になるのが、「何らかのテクで性格を変えられないの?」ってとこ。もちろん遺伝は逆らえないけど、後天的にある程度はコントロールできないのか、と。
とか思ってたら、新しく「性格を変える方法」について調べた論文(1)が出まして、ちょっとおもしろい結論になってました。
セラピーを使えば4週間で性格が変わる
これはイリノイ大学の研究で、過去に出たメンタルセラピーに関する207件の論文をまとめたもの。20,000人以上のデータを精査したメタ分析になっていて、わりと信頼が高い感じ。
まずは大きな結果から並べますと、
- セラピーを受けておよそ4週間で性格は有意に変化する
- 性格の変化は、その後、数年にわたって定着し続けた
- セラピーが8週間を過ぎると明確な変化は起きにくい
みたいな感じ。なんと、たった4週間で性格は変えられるんだそうな。これは凄いですねー。
ちなみに、ここでいう「性格」とは、当ブログではおなじみの「ビッグファイブ」のこと。現時点でもっとも正確性が高い性格分類であります。
ネガティブ&消極的な性格は変えられる
で、さらに細かいポイントを見ていくと、
- もっとも大きく変わるのは「神経症傾向」(恐怖や不安、怒りといったネガティブな感情が起きやすい傾向)
- 「外向性」(社交性とか自己主張に関わる性向)もセラピーで変化するが、そのレベルは「神経症傾向」に比べるとだいぶ小さい
- セラピーの種類が変わっても、性格は同じように変化する(認知行動療法でもサイコダイナミクスでもいい)
- 鬱病やパーソナリティ障害の診断を受けた人のほうが、他の症状よりも性格の変化が起きやすい
- セラピーによる性格の変化は、性別や年齢とは関係なく起きる
みたいな感じ。「落ち込みやすい」とか「積極的になれない」みたいな性格は、セラピーを受ければ、たった1カ月で変えられるみたいなんですな。
というと「それって性格が変わったんじゃなくて、鬱病のレベルが下がったからじゃないの?」ってツッコミが出そうですが、この論文では、メンタルが健康な参加者に対して行われた試験も組み込まれております。その結果は同じで、
- メンタルが健やかな成人でも、セラピーで性格を変えることができる
というもの。どうやら、単にセラピーで症状が改善しただけではないみたい。
性格はオープンシステム
研究者いわく、
今回のデータは、性格は柔軟なオープンシステムで、生涯にわたって変化に対応できることを示している。
とのこと。「ネガティブな性格で…」とか「引っ込み思案で…」とかでお悩みの方には、非常に希望がある結論じゃないでしょうか。
こうなると、あとは「セラピーの何が効いてるの?」ってとこが気になりますけど、いまのところは不明。そこがハッキリすれば、セルフヘルプにも応用できそうっすね。個人的な体験で言うと、認知行動療法を実践していると、頭のなかに浮かぶ自動思考が変化していくのが実感できますので、そのへんが関係してるのかなーと思いますが。
ちなみに、性格を変える方法としては、他にも「イフゼンプランが有効なんじゃない?」ってデータもあったりします。セラピーに行くほどじゃないけど性格を変えたい!って方は、お試しになってはいかがでしょう。