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今週半ばの小ネタ:めまいがビタミンDで治るかも、騒音と肥満、なぜ人はアイコンタクトが苦手なのか?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

めまいがビタミンDで治るかも?

ビタミンDがめまいに効くかも?ってデータ(R)が出ておりました。これは「良性発作性頭位めまい症」に悩む男女1050人を対象したもので、全体を2つのグループに分けたそうな。

 

  1. ビタミンD400IU+カルシウム500mgを1日2回飲む
  2. 何も飲まない

 

「良性発作性頭位めまい症」ってのは、頭を動かしたり身体の位置を変えたりすると、なんかフラついたり周囲のものがグルグル回ったような感覚におちいる症状のことです。過去の研究では、この症状が起きている人は体内のビタミンDが少ない上に、骨がもろい傾向が確認されてまして、今回の実験とあいなった次第です。

 

 

すると、サプリを飲んだグループは、

 

  • めまいの発生が約25%減少した
  • ビタミンDのレベルが20ng/dl未満の人に最大の効果が見られた(45%の減少)

 

という変化が現れたそうで、やっぱビタミンD不足が原因のひとつだったのかなーって感じっすね。

 

 

では、なんでビタミンDがめまいに効くのかもしれないのかと言いますと、一説には、内耳のカルシウム結晶が関係していると言われています。ビタミンD不足で骨が分解されると、結晶が内耳の管の中に詰まっちゃって、おかげでバランスが取れなくなっちゃうみたいなんですな。

 

 

ところが、ここにビタミンDとカルシウムを補給すると、骨が再石灰化されて、結晶の問題がなくなるのではないか、と。あくまで仮説の段階ではありますが、ビタミンDを補給するぐらいなら簡単ですし、お悩みの方は試してみてもいいかもっすね。

 

 

住む地域の騒音が10デシベル増えるごとに2%ずつ肥満する?

5年前にも「騒音がデカい場所に住むと太る」みたいな話を書きましたけど、また似たような調査(R)が出ておりました。

 

 

これはオックスフォード大学などの研究で、「車のノイズがうるさいとこに住むと肥満になりやすいのでは?」ってポイントを調べたもの。英国、オランダ、ノルウェーの3カ国から50万人以上のデータを集めて、住んでる場所と肥満の指標を比べたんだそうな。

 

 

分析の結果を引用するとこんな感じです。

 

あくまで控えめな変化ではあるが、データは交通騒音地域と肥満の相関を示した。住む地域のノイズが10デシベル増えるごとに、肥満率も約2%ずつ増えていくようだ。

 

この分析においては、喫煙、アルコール使用、身体活動、食事などの幅広い生活習慣因子を考慮した。また、その他の個人と地域全体の裕福さを組み込んで調整した場合にも、同じ相関が確認された。

 

ってことで、騒音が増えるごとに太った人も増えていく傾向があったみたい。もちろん、このデータだけだとハッキリした証拠とは言えないんですが、チームはこうも言っておられます。

 

不要なノイズが生活のクオリティを下げ、睡眠不足につながってしまうことはよく知られている。

 

最近の研究では、騒音が心臓発作や糖尿病との相関を示した研究もあり、一般的な健康にも影響を及ぼす可能性は否定できない。交通の騒音はストレスレベルを高め、その結果、ウエストサイズを増やしてしまうのかもしれない。

 

はっきりした因果関係はわからないものの、とりあえず騒音が良くないのは間違い無いでしょうから、対策しておくに越したことはないっすな。

 

 

 

みんなアイコンタクトが苦手な理由

コミュニケーションにはアイコンタクトが大事!だと頭では分かっていても、意外と難しいのも事実ではあります。専門家は会話時間の60~70%はアイコンタクトをしよう!とか言うんだけど、気まずさを感じちゃう人も少なくないでしょう。

 

 

ってことで京大のチームが行った研究(R)は、「なぜ多くの人はアイコンタクトが苦手なのか?」ってとこを調べてくれててためになりました。

 

 

具体的には、26人の被験者に適当な名詞を見せ、その名詞に関係する動詞を答えてもらうという連想ゲームをしてもらったんだそうな。例えば、「ボール」って単語を見せられた場合、参加者は「投げる」とか「握る」などの動詞で答えるわけっすね。

 

 

その間、参加者が作業を行うモニタには人間の顔が表示されてまして、目線をこちらに向けたりそらしたりをくり返すように設定したらしい。この状態で、参加者がどれだけ早く動詞を連想できたかを計測したら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 参加者がモニタ上の顔とアイコンタクトを維持しているときほど、連想を思いつくのに時間がかった
  • 目をそらすと連想を思いつきやすくなった

 

ということで、要するにアイコンタクトは脳への負担が大きく、情報をよりスムーズに処理するために、多くの人は目をそらすのではないか?って可能性が浮かび上がったわけですね。確かに、アイコンタクトをすると反射的に相手の表情を読み取ろうとして脳が動き出します気はしますな。

 

 

そう考えると、会話中に相手が目をそらしたとしても、決してこちらを嫌ってるわけではなく、たんに脳をもっとうまく働かせようと試みてるだけだと言えるのかもっすね(もちろん本当に嫌がられてる可能性もありますが)。

 

 

とはいえ、やはりコミュニケーションにおいてアイコンタクトが大事なのは変わらないので、以前に「他人と目を合わせるのが苦手で……を解決するにはどうすればいいのか?問題」で書いたようなことを心がけつつ、脳の処理能力をキープしていくしかないですかね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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