エクササイズをしても効果が出ない「ノンレスポンダー」はどうすればいいのか?
エクササイズの効果が出ない人もいる
人によってトレーニングの効果が大きく違うのは有名な話。例えば2001年の有名なレビュー論文(1)によれば、
年齢や性別、人種などはトレーニングの効果に大きな差をもたらさないが、いっぽうで遺伝子の表現型は、心拍数や血圧などに大きな違いをもたらす。
というわけで、まったく同じように走り込みををしても、異常にスタミナがつく人がいるいっぽうで、ほとんど成果が出ない人がいるんだ、と。一般的に「ノンレスポンダー」と呼ばれてまして、筋トレやダイエットでも似たような現象が確認されております。
それぐらい遺伝子の働きは強烈なんで、ドカ食いしているのにガリガリなモデルとか、食事制限をしないで体脂肪6%のビルダーとかに憧れるのは時間のムダ。どの世界にも必ず「遺伝子エリート」はいるので、彼らに立ち向かうのは無理筋ででしょう。
もっとも、近ごろ出た論文(2)では、「ノンレスポンダーもあきらめてはいけない!」って内容になっていて励みになりました。
普通の有酸素運動とタバタ式でくらべてみた
これはクイーンズ大学の実験で、21人の男女を対象にしたもの。全員のVO2max(心肺機能を現す指標)を調べたうえで、2タイプのワークアウトをしてもらったんですな。
- 典型的な有酸素運動:週4で1回30分だけエアロバイクをこぐ。負荷は中レベル
- タバタ式トレーニング:週4でエアロバイクを使ってタバタ式。くわしくは「タバタ式トレーニング初級ガイド」をどうぞ
エクササイズの期間はそれぞれ3週間ずつ。クロスオーバー試験なので、各エクササイズの間には3ヶ月ほどの休憩期間がもうけられております。
ノンレスポンダーにも適したエクササイズは存在する
で、結果。
- 3分の1の参加者は、普通の有酸素運動ではあんまりVO2maxが上がらなかった
- 3分の1の参加者は、タバタ式ではあんまりVO2maxが上がらなかった
- ただし、有酸素運動がダメだった人にはタバタ式が効果的で、タバタ式がダメだった人には有酸素運動が効果的だった
みたいな感じ。特定のエクササイズに反応しないノンレスポンダーは必ずいるんだけど、その場合は別のテクニックがハマる可能性は高いみたい。
自分に適したエクササイズを見つけるには?
研究者いわく、
どんなエクササイズでもある程度の改善は見込めるが、すべての人に当てはまるようなアプローチは存在しない。自分に適したエクササイズを見つけるには、トライアル・アンド・エラーをくり返すしかないだろう。(中略)
しかし、自分にとってベストなエクササイズを見つければ、その効果は絶大だ。
とのこと。完璧なエクササイズなどは存在しないものの、すべてのエクササイズに反応しない人も存在しないので、とにかく試行錯誤が大事なんだ、と。
具体的な手順としては、
- 新しいエクササイズを始めたら、その直後に心拍数を計測してベースラインを把握
- 新しいエクササイズを1カ月ほど続ける
- 同じエクササイズをして、再び心拍数を計測
って感じ。もし再計測したときに心拍数が下がっていなければ、そのエクササイズに対してはノンレスポンダーだってことになります。この手法は筋トレでも同じで、1RMを使って計測すればよいかと思います。