結局「意志力が強い」ってどういうこと? |「意志力3.0」 #5
結局「意志力が強い」ってどういうこと?
意志力について考えるシリーズの5回めでーす。前回は「意志力が強い人に共通する人」の特徴を並べてみまして、ざっとおさらいすると、
- 意志力が強い人は…
- そもそも意志力を使う場面を避ける
- 他人の気持ちになる能力が高い
- 抽象的で客観的な思考が得意
って感じでした。 恐らく、この3つを心がけるだけでも意志力は強くなるかと。
といっても、たんに「抽象的な思考を鍛えよう!」と言われただけでは、いまいち現実的には使い勝手が悪いはず。「そもそもなんで抽象思考や共感力と意志力が結びつくの?」ってあたりを理解しといたほうが、自分なりの戦略を立てやすくなるでしょう。
そんなわけで、今回は、意志力が強い人の特徴から「ひとつの共通項」を抜き出してみたいと思います。
現在の自分と未来の自分の距離
で、結論から言いますと、意志力が強い人の共通項ってのは、
- 現在の自分と未来の自分が近い
ってことです。と言われてもわかりにくいでしょうから、とりあえずベン図にしてみました。
要するに、未来の自分と現在の自分の心理的な距離がどれだけ近いかって話です。
ダイエット中の人の場合
例えば、「ダイエットをしたいけどケーキが食べたい!」って場面であれば、以下のようなイメージになります。
現在と未来の距離感が近いほど目標に対して現実味が生まれ、結果として意志力を発揮できるようになるんだ、と。
意志力が強い=未来が近い
もちろん、これは私が勝手に唱えてる説ではございません。例えば2009年にスタンフォード大学が行った実験(1)では、164人の学生の「現在と未来の心理的な距離」を調べたうえで、様々なセルフコントロールテストを行ったんですね。
その結果は明確で、現在と未来が近い学生ほど目先の欲望をガマンできる!というもの。この結果について研究者は、
(現在と未来が近いとは)未来の自分の身になって考えられることだ。そのため、現在の決定が未来におよぼす影響を実感できるようになる。
とのこと。これは専門的には「自己連続性」と呼びまして、現在と未来が切り離されていない状態を指しております。その意味で、意志力が強い人とは、未来の自分に確信を持った人とも言えましょう。
いかに未来を現在に近づけるか
以上の話を「意志力が強い人の特徴」に当てはめてみますと、
- そもそも意志力を使う場所を避ける=あらかじめ「誘惑」にさらされる可能性を消しておくことで、未来を確定させている。
- 共感力が高い=未来の自分の気持ちになって考えることができる。
- 抽象的で客観的な思考が得意=現在と未来の状況を引いた視点から確認できるため、現在と未来が近くなる。
って感じで一貫した絵が浮き上がってくるわけです。この考え方を軸に戦略を立てていくと、意志力を発揮しやすくなるはず。
つまり、意志力をアップさせる方法はいろいろありますが、ざっくりまとめてしまえば、
- いかに未来を現在に近づけるかを考える
に集約されます。例えば、ダイエット中にケーキを買わないようにしておくのは、未来を確定させて現在に近づけた状態。体重の変化を記録していくタイプのダイエット法は、客観的な視点を持つことで未来を現在に引き寄せております。
次回予告
というわけで、長くなったので今回はこのへんで。次回は、さらに具体的に「未来を近づける方法」について考えてみたいと思います。
ちなみに、今回の考え方を「マインドフルネス」に当てはめてみると、以下のようなベン図になったりとか。
いやー、禅画みたいですね(笑)