50カ国語がペラペラになった教授が勧める2つの学習法とは?
50カ国語をマスターした男
アレクサンダー・アーゲルズ教授って有名な人がいるんですよ。
エミレーツ・アメリカ大学の言語学者さんで、ポイントは50カ国語が話せるとこ。英語、フランス語、スペイン語みたいに現在も使われてる言語はほぼ堪能なうえに、古ノルド語がペラペラだったり、サンスクリット語もスラスラ読めるんだそうな。
当然、言語学の世界ではスターみたいな扱いで、「Babel No More」(人並み外れた語学力を持つ人をまとめた本)って本でも大々的に取り上げられておりました。
1日16時間は勉強しないとだぜ
アルゲレス教授いわく、
よく「語学学習の秘密はなにか?」と尋ねられる。そして、自分には他言語の単語とフレーズを吸収する能力があるかどうかを聞いてくるのだ。
が、大方の予想通り、結論は「たゆまない集中力」に集約される。違う言語の本を読み、学び、文法を練習し続けるのだ。(中略)
まだ妻も子供もいなかった5才か6才のとき、私は1日16時間を学習に当てた。アイルランド語、ペルシャ語、ヒンズー語、トルコ語、スワヒリ語などを翻訳し続けたのだ。
そして、少しずつすべての言語は形を作り始め、私はより多くの偉大な作品を理解できるようになった。新たな言語を学ぶのは困難だが、その見返りは果てしない。
ってことで、とりあえず1日16時間は勉強しないとだぜ!という常人には不可能な内容になっておりました。それぐらいモチベーションが高いわけですな。
ちなみに、博士にとって難しいのはアジアの言語で、韓国語をネイティブレベルまで磨くのに10年かかったとのこと。執念。
博士が勧める2つの学習法とは?
というと「努力する」以外に方法がないようかのようですが、いちおう博士が愛用しているテクニックが2つだけあるそうな。それが、「シャドーイング」と「スクリプトリウム」であります。
1.シャドーイング
シャドーイングは、外国語の音声を聞きながら、その文章を自分で声に出して再現していくというもの。で、博士いわく「言語の基礎作りには最適」とのこと。語学学習ではおなじみのテクニックで、私も英語の勉強でだいぶお世話になりました。
ただし、ここで博士はシャドーイングのコツを3つ上げております。
- 外を早歩きしながらシャドーイング
- 背筋はピンと伸ばす
- 大きな声でクリアに発音する
うーん、意外。シャドーイングで早歩きと姿勢の話が出てくるとは……。歩行と学習の関係はデータがないものの、過去にセス・ロバーツ博士も「外国語は歩きながらやろう!」って主張をしてまして、親和性は高いのかも。シャドーイングを推す人は多いですが、早歩きと姿勢を強調するケースは珍しいっすね。
さらに博士が強調するコツとしては、
- 1回のセッションは15分が理想だが、自分のレベルに合わせて5分、10分、30分に変えてもOK
- 細かいセッションを1日に何回も行う。1日のセッション数が増えるほど基本的に習得は早くなる
ってのも挙がっておりました。このへんは納得ですな。
ちなみに、私がシャドーイングをしてたときは、「ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 」を定期的に購入して付属のCDを使ってたりしました。ただし、文章がわりと上級編なんで、初心者の方は普通に「ゼロからスタートシャドーイング 入門編」とか使ったほうがいいかも。
2.スクリプトリウム
スクリプトリウムは、ざっくり訳せば「複写法」です。自分のレベルに合ったテキストを用意して、ひたすら手でその文章をノートに書き写していけばOK。こちらは日本じゃあんまり聞かないテクニックですな。
なんで博士がスクリプトリウムを推してるかというと、外国語の構造にもっと注意を払うためであります。文章を手書きで複写すれば自然にペースが落ちるので、見逃してた細部に目が行くようになるわけっすな。
具体的な方法としては、
- 文章を大きな声で読む
- それぞれの単語を再び大声で声に出し、それを複写する
- 自分が書いた文章をさらに声に出して読む
だそうな。かなーりめんどうな方法なんですが、博士いわく、
大量の外国語を機械的に書き写す作業は、他のトレーニング法にくらべても非常に良い方法だ。しかし、その効果は、あくまでスクリプトリウムを正しく行わなければ得られない。もしスクリプトリウムを正しく行う習慣が身につけば、中級または上級レベルの知識をさらに磨き上げるための素晴らしいテクニックになる。
ってことで、かなり激しく推奨しておられます。確かに、シャドーイングとかディクテーションだと、文章を雑に理解しちゃう傾向はあるんで、スクリプトリウムが効くのもわかる気がいたします。やってみようかしら……。
まとめ
そんなわけで50カ国語をマスターした男の学習法は以上でした。ちなみに、博士は外国語を学ぶ利点として「性格の変化」をあげておられました。
私はもともと外交的な人間ではなく、ネイティブスピーカーと母国語で話すときも不安が抜けないことがよくあった。しかし、他言語を生きたものにするためには、実際に言葉を話して、活かさねばならない。現在では、自分が他言語のなかに没入しているときは、私はもっと社交的なペルソナを備えることができるようになった。
そのおかげで、人生は豊かになったと思う。ペルソナのおかげで自信がついたからだ。
ブライアン・リトル博士が言う「性格が変えられないなら、行動を変えればいいじゃない」 に近いものがありますなぁ。