運動で脳をデカくするためにはどれぐらい動けばいいのか?問題
運動はどこまで脳にいいのか問題
運動で頭が良くなる!って話をさんざん書いております当ブログ。 1日10分の早歩きで脳の老化が防げるとか、運動を10日サボるだけで頭が悪くなるとか、運動をするオッサンは脳がデカいとか、とにかくエクササイズと脳の関係を示すデータには事欠かないわけです。
というと、科学界では完全に意見が一致してるかのように思えるかもですが、いっぽうで懐疑派がいたのも確かではあります。「運動で頭が良くなる」って説は観察研究にもとづいたものが多いので、「頭がいい人ほど運動をする傾向があるだけじゃないの?」って疑問はどうしても出てくるんですよね。
が、近ごろこの問題に精度の高い論文(1)が出まして、運動好きには非常によい結論になっております。
運動の後にどんな変化が出たかを脳スキャンでチェック
これはウェスタンシドニー大学が中心の研究で、過去の研究から実験のデザインが良い14件を抜き出してまとめたメタ分析。ちゃんとコントロール群を作ったうえで、「運動のあとに脳をスキャンしたらどうなる?」ってとこをチェックした研究だけを採用したみたい。運動で頭が良くなるか?問題については、現時点で最良の証拠だと申せましょう。
サンプル数は737人でして、具体的な運動の種類は、
- エアロバイク
- ウォーキング
- トレッドミルランニング
の3つ。有酸素運動で脳にどんな変化が出るかを徹底的に調べたわけっすな。
実験の期間は3〜24カ月の幅に広がっていて、運動の回数は週に2〜5回ほど。大半のデータでは、中高強度身体活動ぐらいのキツさの運動が採用されております。要は早歩きからランニングぐらいの負荷ですね。
運動で記憶力のエリアがデカくなった
さて、その結論をざっくり申し上げますと、
- 有酸素運動は海馬全体のボリュームには影響を与えない
- ただし、海馬の左エリアのサイズを有意に増やす
って感じです。海馬は脳の記憶とか学習に関わるエリアで、新しく覚えたことが保存されていく大事な部位。だいたいの人は40才を超えたあたりから年に5%の割合で脳が縮んでいくそうなんで、やっぱエクササイズは大事なんですなぁ。
研究者いわく、
今回のデータは、「エクササイズが脳の健康に良い」という現時点でもっとも決定的な証拠だ。
とのこと。その原因は当ブログでもおなじみBDNFで、こいつのおかげで脳の神経がどんどん増えてくのが原因だそうな。前から言われてたことですが、改めて決定的な証拠が出たわけですね。
脳をデカすくするための(一応の)運動ライン
では、具体的にどれぐらいの運動がいいのかってとこですが、残念ながらこの研究から最適なレベルを導き出すのはムリっぽい感じです。ただ、全体のデータからいちおうのガイドラインを紹介しとくと、
- 軽い運動の場合:1回40分のウォーキングを週に3回。最大心拍数の50〜60%ぐらいを目指す。これを6〜12カ月続ける
- やや負荷の高い運動の場合:1回30〜60分のジョギング、またはサイクリングを週3回。最大心拍数の80%ぐらい目指す。これを3〜6カ月続ける
といったところ。ウォーキングぐらいの運動でも、半年ぐらい続ければ十分に頭は良くなりそうであります(このへんはまだ確定じゃないですが)。
ってことで、特に私のようなアラフォーは、脳を縮小させないためにもエクササイズが必須。最低でもウォーキングぐらいはしときたいとこですねー。