瞑想で起きる7つのポジティブな変化と副作用
瞑想には副作用も起こりえる
当ブログではマインドフルネスの効果を取り上げることが多い一方で、瞑想の副作用についても取り上げております。なんせまだ研究の歴史が浅い分野なんで、そこらへんはよくわかってないんですよね。
で、新しく出た論文(1)では、瞑想で起こりえる副作用についていろいろ調べてくれててためになりました。
これはブラウン大学の研究で、60人の瞑想好きと、30人の瞑想エキスパートを対象にしたもの。それぞれに自由回答できる質問をして、瞑想でどんな変化が起きたかを調べたんですな(ポジティブな体験とネガティブな体験の両方をふくむ)。いわゆる定性的研究ですね。
瞑想で起きる7つの変化(ポジティブとネガティブをふくむ)
そのうえですべての答えを分析して、全体的に7つの変化にまとめております。
- 認知の変化:世界の見方が変わったり、超常現象を信じるようになったり、精神の平静がもたらされたり、意思決定の方法が変わったり。
- 知覚の変化:幻覚が起きたり、光や音に敏感になったり。
- 感情の変化:恐怖、不安、パニックが増したり、逆に幸福になったり。
- 体感覚の変化:活力がわいてきたり、睡眠不足になったり、痛みの感覚が増したり、緊張が増したり減ったり。
- 意欲の変化:モチベーションが上がったり、逆に努力する気持ちが失せたり、物事への興味がなくなっあり。
- 自己の変化:自己と他者の境界線が消えたような感覚や、自己が消えちゃったような感覚。
- 社交の変化:他人と上手くコミュニケーションが取れなくなる感覚。特に長期間の瞑想リトリートから帰ってきたあとに起きやすい。
というわけで、瞑想を続けたことがある人なら、一度は経験する内容になっております。瞑想で幸福感が増すケースもあれば、逆に不安や不眠が起きちゃうケースもあるわけですな。私にも心当たりがある話であります。
瞑想は感覚遮断と同じ状態を引き起こす
では、なんで瞑想によって両極端な変化が起きるのかと言いますと、
「リラクゼーション誘発パニック」という現象がある。リラックスしたせいで、逆に不安やパニックが増幅されてしまう状態だ。
瞑想によって不安が増すのは、この現象が関係しているのかもしれない。しかし、「リラクゼーション誘発パニック」が起きるメカニズムはほとんどわかっておらず。なぜ一部の人にだけ発現するのかもわからない。
とのこと。まぁ昔から禅のお坊さんなんかも「禅病って状態があるよー」と言ってるんで、定番の現象なんでしょうね。
いちおう、現時点での仮定としては、
こういった副作用が起きるのは、特定の瞑想テクニック(特に集中系の瞑想)は、感覚遮断に近い状態を生むからかもしれない。
瞑想状態に入った者は、静かな環境でほとんど動かず、目を閉じた状態で意識を特定の物に集中させる。そのような状況下では、人間の感覚は光や音に対して鋭敏になり、幻覚を見る可能性も高くなる。
って感じになっております。アイソレーションタンク なんかで感覚を遮断すると、幻覚が出てきやすくなる現象が有名ですが、あれと同じことが瞑想でも起きるんじゃないか、と。ありそうな話ですよね。
瞑想と睡眠の関係を調べた研究では、結果が食い違うことが多い。この現象は、瞑想を実践した人の一部(特にリトリートのように集中的な瞑想をした人に多い)が、不眠や寝不足を訴えるケースが多いのも原因かもしれない。
ってことで、なかなか瞑想も一筋縄じゃいきませんねぇ。
まとめ
この問題への対処法はいろいろありましょうが、もっともいいのは瞑想の根っこに立ち戻ることでしょうね。つまり、
- 瞑想で不安や痛みが出てきたら、あくまで「あぁ不安や痛みが出てきたなぁ」と傍観者の視点をキープし続ける
ってことです。そもそも瞑想は自己の観察が主目的なんで、もしネガティブな感覚が生まれても飲み込まれないのが大事。
といっても、あまりにネガティブな体験がキツいと、瞑想そのものがイヤになっちゃうので、適度なとこで止めても全く問題はないかと思われます。どうぞよしなに。