今週の小ネタ:自撮りの魅力、ファビングで人間関係崩壊、ネット中毒のヤバさ
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
あなたの自撮りはあなたが思うほど魅力的ではない!
まずはトロント大学の論文(1)で、198人の学生を対象にしております。そのうち100人は定期的に自撮りをしてる人で、残りの98人は普段からあんま自撮りをしてない人を選んだらしい。
で、これがどんな実験だったかというと、
- スマホで参加者に自撮りをしてもらう
- 自撮り画像を178人の第三者にわたす
- 自撮りの魅力度をお互いに採点してもらう
って感じです。シンプルですね。
さて、そこでどんな結論が出たかと言いますと、
- みんな自分の自撮りを過大評価してた!
だったらしい。普段から自撮りをよくする人も、いつもはあんま自撮りをしない人も、どちらも同じぐらい「自分の画像はいいはずだ!」と思ってたんだけど、他人から見たら別にそうでもなかったらしい。
研究者いわく、
自撮りをする人たちは、他人から見るよりも自分の写真は魅力的で好感度が高いと信じていた。ところが現実では、第三者の採点は思ったよりも低く、よりナルシストだと受け止められやすかった。これは自己奉仕バイアスと呼ばれる現象だ。
とのこと。人間には自分のことを実際よりも良く考えがちな傾向があるのは有名ですが、これは自撮りにも影響するんだ、と。
といっても、他方では「自撮りをすると幸せになれるよ!」ってデータも結構ありますんで、他人の目を気にせずにガンガン自撮りをしちゃえばいいのかもしれませんが。
現代社会でもっとも人間関係を破壊するのはファビングだ!
お次はケント大学の実験(2)で、「ファビング」の悪影響について調べたもの。ファビングってのは「他人とのコミュニケーション中にデジタルデバイスをいじること」で、いかにも相手への印象が悪そうな行為を意味しております。
実験では、19歳ぐらいの学生128人に3分ぐらいのアニメを見てもらっております。このとき、アニメの内容が3パターンに分かれてまして、
- アニメのキャラが普通に会話
- キャラの一方がたびたびスマホを見る
- キャラの一方がスマホを見まくり
って感じで、「どう思いますか?」と聞いたところ、相手がスマホを見れば見るほどコミュニケーションの質が低下し、関係性も崩壊すると回答したそうな。って、そりゃそうですよね。
では、なんでファビングがここまで良くないかというと、
- 会話中のスマホはイジメの一種だとみなされるから!
ってことらしい。どうやら、相手がファビングをしているのを見ると、ヒトの脳は自動的に「オレは社会から仲間外れにされている!」と判断しちゃうらしいんですな。
「孤独感は人生の質に大ダメージだ!」ってのは「最高の体調」にも書いてますが、ファビングがこの問題を加速化しちゃうわけっすな。たとえ悪気がなくても人間関係に大ダメージがありますんで、ファビングにはご注意ください。
ネット中毒は自殺と密接にかかわってるぞ!
最後は長庚大學醫學院の研究(3)で、「ネット中毒ってどれぐらいヤバいの?」って問題を調べた論文になっております。
これは23件の横断研究から270,596人分のデータをまとめたメタ分析で、研究の質はそこそこ高め。具体的には「ネット中毒の人と自殺」の相関を調べてて、ありそうでなかった研究じゃないかと。
その結論をざっくり申し上げますと、
- ネット中毒の人は……
- 自殺を考えることが多い(OR = 2.95)
- 自殺の計画を立てることも多い (OR = 3.17)
- 自殺率も高い (OR = 2.81).
ってことで、かなりのオッズ比が出てますねー。ちなみに、ここでいう「ネット中毒」ってのには明確な利用時間の定義があるわけじゃなくて、
- ネットから離れるとなんとなくイライラする……。怒りっぽくなるなぁ……。
- ネットで口論ばっかしてたり、仕事にも悪影響が出てるなぁ……。
ぐらいの人のことを指しております。もちろん、もともとストレスフルな人ほどネットにハマりやすいって面もあるでしょうから、いちがいに「インターネットは悪!」ってわけじゃございませんので。
いずれにせよ、スマホやネットがないと落ち着かない気分になるような人は、ちょっと中毒の入り口にさしかかってるかもですんで、ご注意いただければ幸甚です。