みんな「感謝」の威力を甘く見過ぎてるぞ!というシカゴ大学実験
「とにかく感謝が大事だよー」ってのが近年の心理学の結論なわけです。20年前のヒップホップみたいな話ですが、何度もデータで証明されてる事実なんだから仕方がない。
たとえば当ブログで紹介した話だと、
って感じで、とにかく感謝の心がある人は人生ウハウハだというんですな。
といっても、「わかっていてもすぐ忘れちゃう」って声が多いのも「感謝」の難点ではあります。かくいう私も「なんかこっぱずかしい……」って気持ちがありまして、難儀を感じてますからね。
ってところで、新しく出た論文(1)では、「君たちは『ありがとう』の効果を見くびっているのだ!」って結論になってて「そうかもなぁ……」みたいな気分になりました。
これはシカゴ大学の実験で、とてもシンプルなデザインになっております。
- 参加者に「同僚に感謝の手紙を書いてください」と指示する(その同僚がどれぐらい自分の人生に影響を与えてるか、とか)
- 参加者に「相手が手紙を受け取ったら、どれぐらい喜ぶだろう?」または「もしかしたら引いちゃうかも?」などと予想してもらう
- 実際に手紙を同僚に送って、どれぐらい喜んだかを計測
って感じで、相手に感謝したらどうなるか?って予想と現実をくらべたですな。
それでどんな結果が出たかと言いますと、
- ほとんどの参加者は「自分の手紙はポジティブに受け止められるだろう」と予想したが、実際に手紙を読んだ人たちの驚きと喜びは、その予想をはるかにうわまわるレベルだった
- ほとんどの参加者は「手紙なんて送ったら変に思われる」と予想したが、実際にそんな反応が起きる確率はゼロだった
ってことで、研究チームが予想したとおり、「みんな感謝の威力を甘く見ている!」って結論が出たみたい。
さらに、この論文では「なんでみんな感謝を見くびるのか?」って理由を確かめる実験もしてまして、
- たいていの人は、「まぁみんなこちらん感謝に気づいてるだろう」みたいに思うバイアスがある
- ほとんどの人は、自分の感謝の気持ちを伝える能力に自信がないが、実際には大半の人は文章の「暖かさ」と「感謝を伝えたい」という意図”だけ”で判断を行う
って結果が出てたりします。まぁ納得の理由ですよね。
研究者いわく、
(感謝のパワーを見くびるという)現象は、非常に一般的なものだ。おそらく大半の人は、プロソーシャルな行動を当たり前のものだと考えすぎているのだろう。
とのこと。どうも人間には「感謝」を自由に伝えないバイアスがあるみたいなんで、逆に言えば、周囲に感謝を伝えまくるだけでも優位性が得られるってことになりますな。
その意味では、「他人に感謝する」ってのはかなりコスパがいいテクニックなのかもしれませんな。メリットを求めてやる行為でもないでしょうが(笑)