豚も「自然に近いエサ」で育てられた肉の方がいいの?問題
その昔に「グラスフェッドの牛肉はなかなかいいよー」って話を書いたわけです。
軽くおさらいすると、グラスフェッドってのは「自然に近いエサで育てられた牛」のことで、おもに牧草で育てられた種類を意味しております。いかにも健康そうですが、実際に穀類で育てられた牛よりも脂質のバランス(オメガ3と6)が良かったり、抗酸化物が多かったりと、いろんなメリットがあることがわかってるんですな。
で、そこでたまに聞かれるのが「豚肉も同じなの?」って問題だったりします。自然で育った牛肉の良いなら、豚肉でも同じなのではないかと思うのは当然でありましょう。
そこで近ごろ参考になったのが、バレンシア工科大学の2013年論文(1)であります。これがどんな研究かとざっくりまとめると、
- いろんな食事法で育てられた豚の脂質バランスを調べてみたよ!
というもの。世の中には、穀類とかイモ類とかいろんなエサで育てられる豚がいるわけですが、なかでも脂質のバランスが良いものはどれなの?ってことですね。
もちろん、お肉の機能性を測る指標としては、他にもビタミンのバランスや抗酸化能なんかも大事ですけど、脂質バランスはそれ以上に重要なポイントですから、かなり参考になるデータではないかと思われます。
具体的にどんな飼料をくらべたのかと言いますと、
- 麦+豆
- タロイモ
- 麦+コーン
- 標準的なエサ
- ドングリ
って感じです。一般的には「ドングリだけで育った豚」などと言われるといかにも美味そうなイメージですが、実際はどんなもんでしょうか?
ってことで、それぞれの豚のオメガ6:オメガ3の比率は以下のようになりました。当然ながら、数字が少ないほうが脂質バランスとしては優秀と考えられます。
- 麦+豆=9.4
- タロイモ=45.3
- 麦+コーン=16.6
- 標準的なエサ=7.2
- ドングリ=18.3
ってことで、まさかの普通のエサが1位。これは欧米で普通に使われてる飼料のことで、ヒトでいうバランス食に近いイメージらしい。うーん、ちょっと意外でしたね。
なんで牛と豚で違いが出たかといえば、豚が雑食性の生き物だからだそうな。なので、シンプルに自然に近いエサなら良い肉ができるってわけでもないんですね(特に脂質バランスについては、その傾向が大きい)。
ってことで、豚に関しては人間の食事と同じ法則が当てはまるのかも。要するに、カロリーの質が高い食品をいろいろ食べたほうがいいよ!ってことですな。いやー、難しいもんです。