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今週末の小ネタ:大豆油が脳に悪い説、モナリザ効果、自殺と賃金

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ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

  

 

大豆油が脳に悪いかも問題

大豆油が脳の働きを乱すかもだ!」という恐ろしげなデータ(R)が出ておりました。

 

 

 

といってもまだ動物実験の段階なんでアレですが、大豆油といえば日本で最も広く消費されている油なんで気になるとこではあります。これがどう言う研究だったかと言いますと、

 

  1. マウスたちに大豆油を与える
  2. 脳の遺伝子の発現がどう変わるかをチェックする

 

といった感じです。この研究チームは過去にも似たようなマウス実験をやっていて、

 

  • 大豆油を摂取したマウスは肥満、糖尿、脂肪肝になりやすい

 

みたいな結果を得てたんですよ。そこで今回は新たに脳への影響を調べたわけっすね。

 

 

で、結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 大豆油を摂取したマウスは視床下部におけるオキシトシンの量が低かった
  • ついでに大豆油はざっくり100ぐらいの遺伝子に影響を与えていた

 

だったそうで、チームは「視床下部に異常が起きるせいで太ったり不安を引き起こすのでは?」と推測しておられます。まぁまだ具体的なメカニズムはわからないし、ヒトにどこまで適用できるかもわからんのですが、とりあえず大豆油の摂取量は減らすほうがいいのかなーという気はしますね(もちろん豆腐や納豆はOKですが)。

 

 

 

モナリザ効果って思い込みじゃないの?説

 

モナリザ効果」ってのがありますな。モナリザを鑑賞していると、どの角度から見ても人物の視線がこちらを追ってくるような印象を受ける、という有名な現象であります。

 

 

これは美術界では昔からよく言われてきた話で、アイザックソンの「レオナルド・ダ・ヴィンチ」にも「モナリザ効果はレオナルドの卓越した技術を表すものなのだ!」みたいな話が書いてあったりしました。私も「へー、やっぱレオナルドさんはすごいもんですなぁ」とか思ってたんですが、「それって思い込みでは?」みたいなデータ(R)が出てまして、ちょっとおもしろかったです。

 

 

これは24人の参加者にコンピュータ画面でモナリザを見てもらった実験で、「モナリザの視線はどこを向いてます?」とあらためて評価してもらったんだそうな。モニターの前に定規が数本間隔で置かれてまして、参加者はモナリザの視線がどこに向いたかを数値で伝える仕組みになってます。さらに、ここではモナリザの顔から15パターンの画像を抜き出しまして、頭全体のモナリザや目だけのモナリザなどをランダムに表示して、個々のパーツによる印象の違いもチェックしたそうな。

 

でもって、この方法で2000件以上の評価を集めたところ、結果はこんな感じになりました。

 

参加者たちは、モナリザの視線が彼らの右側を向いているという印象を持った。具体的には、注視角は平均15.4度だった(真正面を向いた視線が0度と考えた場合)。

 

要するに、結局のところモナリザ効果は確認されなかったんだ、と。さらに研究チームいわく、

 

(「モナリザ効果」は)「誰かに注目されたい」や「注目を集めたい」という願望を表しているのかもしれない。たとえあなたがその人を全く知らなくても、誰かと関係を持ちたいという願望だ。

 

とのことで、「あれー?そうなの?」みたいな見解になってました。人間は誰でも注目されたい生き物だから、絵の人物でも自分をつねに見つめてるような錯覚を起こすってのはおもしろい説ですなぁ。

 

 

 

最低賃金が少し上がるだけでも自殺はかなり防げる説

 

日本と同じくアメリカでも自殺の多さは社会的な問題なんですけど、「最低賃金が上がるだけでも自殺率は改善するぞ!」という興味深いデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはエモリー大学の研究で、アメリカ50州の失業率と自殺率、最低時給のデータをチェックしたもの。分析は18歳から64歳を対象として、1990年から20115年までの最低賃金の変化を調べたらしい。

 

 

そこでどんな傾向が確認されたかと言いますと、

 

  • 高校までの教育を受けた者の場合、最低賃金が1ドル上昇するごとに自殺者が3.5〜6%減少する
  • ただし、大学を卒業した者の自殺率には最低賃金の引き上げは影響しない(これは金銭以外のストレスが要因になってるからだと考えられる)

 

みたいになってます。やはりお金のストレスってのはかなり人間を追い込むのだなぁ……という印象ですね。チームに推計だと、最低賃金が1ドル上がっただけで2009〜2015年のあいだに13,800人の自殺が食い止められた計算になるそうな。これはデカい。

 

 

アメリカの調査なんで日本にどこまで当てはまるかは謎ですけど、「やっぱ人命のためにも経済政策は超大事!」ってとこをあらためて思い知らされるデータではありました。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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