カフェインを超えるパワーアップ機能? 「テアクリン」はどこまで筋トレに使えるのか?問題
テアクリンっていうサプリがあるんですよ。おもにエクササイズのパフォーマンス向上に使われる成分で、筋トレ好きがパワーを出すのに使ったり、ランナーが持久力を増すために使ったりとか、とにかく身体のパフォーマンスが上がる!と考えられてるんですよ。
Primaforce テアクリン 50mg(120カプセル)
なんでこういった効果がうたわれてるのかと言いますと、テアクリンは非常にカフェインに似た化学構造を持ってるからです。カフェインが疲労物質をブロックしてくれるのは有名な話で、このブログでも「カフェインが運動に効く!」ってデータをいくつか紹介したことがありました。
ただし、一部では「テアクリンはカフェインより効き目が長い!」みたいな説もありまして、マニアックな筋トレ好きのあいだではテアクリンを使う人も少なくなかったりします。効き目がながいぶんだけ、筋トレの効率も上がるんじゃないかと考えられてきたんですよ。
では、本当にテアクリンはカフェインより優秀なの?ってことで、そのあたりを調べた研究(R)が行われておりました。
これは12人の男性を対象にした研究で、どんな基準で選ばれたかと言いますと、
- 体重の125%にあたる重量のベンチプレスとスクワットを行うことができる
- 規則的に1日100〜300mgのカフェインを消費している
みたいな感じです。実験デザインは4つの条件を試したクロスオーバーデザインになって、具体的にはは、
- 300mgのテアクリンを飲んで筋トレ
- 300mgのカフェインを飲んで筋トレ
- 150mgのテアクリン+150mgのカフェインを飲んで筋トレ
- プラセボカプセルを飲んで筋トレ
って4パターンを使って、1RM、疲労度、ベンチプレスとスクワットのスピード、エネルギーレベル、集中力、運動へのモチベーションなどがどう変わるかをチェックしております。
その結果、どんな違いが出たのかと言いますと、
- ベンチプレスの1RMについては、どの条件でも特に違いはなかった。よくデータを見るとカフェインまたはテアクリンを飲んだ場合はプラセボをわずかに上回ってるものの、それほどの差でもない感じ。また、ベンチプレスの疲労についてもこれといった差はなかった
- スクワットの1RMについても有意な差が出ず、すべてのパターンで151kg〜148kgだった。スクワットの疲労も有意な効果は認められず、各条件で11〜13回の反復だった
- ベンチプレスとスクワットにおけるパワーとスピードについては、カフェインだけ飲んだ場合に最高値を出す傾向があったが、その差はそれほど大きいわけではない
- サプリを飲んで90分後の主観的なエネルギーレベルは、カフェインだけ飲んだ場合に、テアクリンやプラセボよりも有意に増加した
- 集中力とモチベーションについても、カフェインだけを飲んだ場合は、テアクリンやプラセボよりも有意に増加した
みたいになってます。ってことで、テアクリンがカフェインよりも優秀なことを示す証拠はまったく得られなかった感じっすね。トホホ。
ただ、そもそもテアクリンの研究ってまだ少ないので、今回の結果をどこまで参考にすべきかは難しいところではあります。いちおう先行研究なんかを見てますと、
- 60人の男性に300mgと200mgのテアクリンを8週間ほど飲んでもらったら、4週間の時点でエクササイズの辛さが軽減したよ!(体重や筋肉量には影響なかったけど)(R)
- カフェインは一般に摂取後45~60分で血中濃度のピークに達するけど、テアクリンは摂取後2時間近くでピークに達するよ!(R)
なんてデータも出てまして、おもしろい成分ではあるんですよね。なので、ガチの筋トレ好きであれば、パフォーマンスアップを狙って試す価値もなくはないかなーぐらいの感じじゃないでしょうか。
一方で普通の筋トレ好きぐらいのレベルな方は、いまんとこ目立った証拠がないので、やはりカフェインを使い続けるのが無難だろうと思うわけです。どうぞよしなに。