脂肪を減らした食事ばかりしているとテストステロンが下がっちゃうぞ!という観察研究の話
男性ホルモンが低下するとヤバい!って話をよく書いてまして、「テストステロンを増やす方法」みたいなのを定期的に紹介してるわけです。なんせテストステロンが下がるとモチベーションはなくなるし、性欲は下がるし、骨密度も下がっちゃうしで、気にしておきたい要素のひとつなんですよね。
で、現時点でテストステロン値が低い人には、薬物療法をやったりダイエットで体重を減らしたりといった方法が取られるんですけど、ここでよく言われるのが、
- テストステロン上昇のために痩せようと思って、脂肪を減らしたらヤバいんじゃじゃないの?
ってポイントです。テストステロンはコレステロールから作られるんで、脂肪を減らしちゃったら逆に濃度が下がる可能性は高いわけです。せっかくの食事療法が逆効果になったらツラいですわな。
というわけで新しいデータ(R)は、「低脂肪食ってテストステロンに良くないのでは?」って問題をガッツリ調べてくれてて有用でした。
これはシカゴ大学などの研究で、アメリカの国民健康・栄養調査からピックアップした3,100人以上の男性に関するデータを分析したものです。このデータには、各参加者のいつもの食事とテストステロンレベルの変化がふくまれていて、「どんな食事がテストステロンに影響するの?」ってとこをある程度まで調べられるわけです。
いちおうデータの内訳を軽く説明しておきますと、
- 全体の14.6%は米国心臓協会(AHA)が定義する「低脂肪食」の基準を満たしていた
- 別の24.4%の男性は、地中海式の食事を実践していた(果物、野菜、全粒穀物の量は多く、脂肪も魚から摂取する)
- 低糖質ダイエットの基準を満たす被験者もいたけど、少数すぎるので分析からは除外
- 平均のテストステロンレベルは435.5 ng/dLだった
みたいになってます。要するに、「低脂肪食と地中海式の健康食は、どっちが優秀なのか?」ってとこを調べてくれた感じですね。
でもって、全員の年齢、BMI、運動量といった他の因子を調整したら、こんな結果になりました。
- 全体では、男性の26.8%がテストステロン値が300ng/dL未満だった
- 低脂肪食はテストステロンの減少と有意に相関したが、地中海食にはテストステロンの低下がなかった
というわけで、大方の予想どおり「やはり 低脂肪食は良くなさそう!」って傾向がでたみたい。まぁ、とは言ってもデータではそこまで劇的な減少が見られてるわけでもないので、「低脂肪食は危険!」と騒ぐほどのもんでもない気はしますが。
いっぽうで、地中海式の食事が良くも悪くもないってのはやや意外で、このデータだと判断はムズいものの、健康的な食事さえすればいいってもんでもないのかもですなぁ。難しいもんです。
こうなると、「テストステロンが足りない人はどんな食事をすればいいの?」ってとこが気になりますが、この研究の著者たちによると、
- 答えはまだよくわからないけど、とりあえず過体重と肥満が良くないのは確実なんで、太ってる人は痩せられる食事ならなんでもいいのかも?
- ただし普通体重の男性については、低脂肪食を避けたほうがいいんじゃないかなぁ……
ぐらいの感じになってました。まだまだ未知な部分は多いものの、普通に健康な男性は、テストステロンを減らさないためにもちゃんと脂肪は食べたほうがよさそうであります。
ちなみに、その他で役に立ちそうな知見としては、
あたりが参考になりましょう。どうぞよしなにー。