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人生の成功に必須な「セルフコントロール能力」を高めたければ「協力状況」を作ろう!という実験の話

 

 

 

なにごともうまくやるにはセルフコントロール能力が大事!って話はさんざん書いてるわけですが、そうはいっても易きに流されてしまうのが人間でございます。

 

 

このブログでも細かいテクニックをいろいろ書いてますけど、「ヤバい集中力」にも書いたとおり、そもそもヒトはセルフコントロールが苦手なのがデフォルト設定なんで、これといった対策がないのが現状なんすよね。

 

 

が、そんな状況下で「セルフコントロール能力が確実に高まる方法はこれだ!」みたいなデータ(R)が出てましたんで、軽くメモっときます。

 

 

これはマックス・プランク研究所などの実験で、被験者として5歳〜6歳の子供たち200人以上を召集。全員ををペアにしたうえで、まずは簡単な風船投げゲームで遊ばせたリラックスムードを作り出したそうな。

 

 

その後、パートナーは別々の部屋に入れられまして、それぞれの子どもの前にクッキーを置いて「いまクッキーを食べずにがまんすれば、2枚目もあげるよ」と申しわたしたらしい。いわゆる「マシュマロテスト」の改訂版っすね(余談ながら、「マシュマロテスト」の現状については、また別エントリをご参照ください)。

 

 

さて、この実験では、1枚目のクッキーをがまんするように言われた子どもたちは、ざっくり2つのグループにわけられております。

 

  1. ソロ状況:「ひとりきりでがまんできたら追加のクッキーをあげるよ!」と指示される
  2. 協力状況:「隣のへやにいるパートナーと一緒に我慢できたら、2人ともクッキーをあげるよ!」と指示される

 

というわけで、ソロ状況では「自分のためにセルフコントロール能力を発揮する能力」が試され、協力状況では「他人のためにもセルフコントロール能力を発揮しなければならない能力」が試されたわけですね。

 

ちなみに、この研究では文化による違いがあるかどうかを確かめるために、

 

  1. ドイツ人の子どもたち
  2. ケニア人の子どもたち

 

という2種類のサンプルを使って同じ実験をしてたりします。ここらへんは周到な感じでよろしいですなぁ。

 

 

でもって、結果は以下のような感じになりました。

 

  • いずれの条件においても、ケニアの子どもはドイツの子どもにくらべて、目の前の誘惑に打ち勝つ能力が高かった

 

  • どちらの文化圏においても、ソロ状況より協力状況のほうが目の前の誘惑に打ち勝つ能力が高かった

 

というわけで、全体的に見れば「人のためにもがんばらねば!」って状況のほうが、長期的なメリットを得られる確率は高くなったみたい。以前にも「『ほかの子もがまんできたよー』と言われた子供はセルフコントロール能力が倍になった」なんて話がありましたけど、結局のところ他人の目が大事ってことになりましょうか。

 

 

研究チームいわく、

 

子どもたちは、お互いのパートナーと顔を合わせたりコミュニケーションをとったりすることができなかったにもかかわらず、相互依存的な状況のほうがセルフコントロールは高まった。これらの事実は、子どもたちの発達の初期段階から、協力的な状況が強い動機づけとなることを証明している。

 

子どもたちは、パートナーを失望させてはいけないと感じたために、満足感を先延ばしにしようとしたのだろう。

 

とのこと。そんなわけで、なんか誘惑に負けそうなときは、「ここで自分が成功しないと仲間に害がおよぶ!」みたいな状況を設定するのがよさげです。たとえば「娘のために禁煙に成功した」なんてのは典型的な事例ですよね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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